今我々に突き付けられているのは、パンデミック、地球温暖化による異常気象や海面上昇、格差拡大による貧困層の増大、少子高齢化による社会保障の低下など、今までの延長では対応できない命題ばかりです。これらの課題解決には「持続可能な開発目標」達成に向けた、社会と企業の取組みが欠かせません。
　2020年はCOVID19が世界的に感染拡大し、組織（社会）的経験と準備が足りず大きな混乱が発生しました。そこから得られる教訓は「今までのやり方や考え方を変えなければ生きて行けない」ではないでしょうか。従って、今求められるのは「企業を変え、社会を変え、生き方を変えて」対応することです。
　一方、IT技術の進歩により「DX（デジタル変革）」が多くの企業で取り組まれていますが、それは単なるIT技術の応用（Digitization）ではなく、その本質はビジネスの持続的発展のための企業変革です。それにより、サプライチェーンなどの産業構造の変革や新ビジネスモデルが創出され、社会においては行政手続きの一元化、個人においては場所と時間に縛られない働き方など、今までの常識を超えた変化が起きています。
　このようなDX時代では、プロジェクト・マネジャーに期待される役割が変化しています。DX時代は変化に適応する組織アジリティが求められており、プロジェクト・マネジャーは組織の変革を支援する責務があります。さらに、不確定で先が見えない予測不能な未来に備え、持続可能社会を実現するためにこそ「プログラム&プロジェクトマネジメント」が必要です。
　今回のシンポジウムではDX時代を生き抜く鍵となる組織変革の取組みや、社会課題の解決、人材育成などの事例紹介を通して、DXを効果的に計画し推進する知識を獲得する場を設けました。