働きやすいプロジェクト環境のために
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〜「へぇ〜!」から始めるチームづくり〜

ねこやなぎ(ペンネーム):9月号

 新しいチームができたとき、または新しいメンバーが入ってきたとき、どうやって自己紹介しますか?多くの場合は「○○部から来ました△△です。よろしくお願いします」くらいでしょうか。実際にその人のことを知るのは、その後のランチタイムや飲み会だったりで、ちょっと時間がかかります。先日、実際に私のチームで実践した、「職場のメンバーと早く仲間になるためのツール」をご紹介します。

 共通点があると盛り上がる

 初めて会う人と話すときは、誰でも緊張します。天気とか、ニュースとかあたりさわりのないことを話しながら、少しずつ共通する話題を探していきます。偶然、共通点が見つかれば盛り上がりますが、そうでないときは、なんとなく気まずい時間になってしまいますよね。そこで、今回のツールです。それは、「自分の大好きなものマップ※」。
 先日、私の所属するチームでとにかく体験してみよう!ということでやってみました。

Step1 マップを書く:A4の紙を使って、自分の好きなもの・ことを書く

マップ  A4の紙を用意します。自分の好きなもの、好きなこと、好きな過ごし方など、なんでもどんどん書いていきます。私のチームのメンバーは、それらを思い浮かべることにまず、かなり苦労していたようでした。でき上がったマップを眺めてみると、私は食べ物のことが多かったです。これは自分のことを認識するいい機会となりますね。  ちょっと恥ずかしいですが、私のマップを大公開します。


Step2 ペアになってマップを見せ合いながら会話する

 ペアになって、お互いマップを見せ合い、話しをします。ペアで話す時間は、1回3分程度にし、3分経ったらペアを交代していく形をとりました。初めから、想像以上の大盛り上がり!普段、静かなフロアで仕事をしているので、皆、そんなに大きな声が出るものなのかとビックリしました。また、「へぇ〜」と言ってしまうような意外な趣味を持っている人もたくさんいました。どのペアも話が途切れることもなく、時間がきても話が止まらないくらいでした。
 ストップウォッチを持っていた私も、楽しすぎてスタートボタンを押し忘れたまま、話しこんでいました。終わってからメンバーに聞いたところ、時間制限がなかったら、ずっと話していられたかも、と言っていたくらい楽しい会話だったようです。皆の顔も楽しそうでした。

 共通点が人間関係の距離を縮める

 今回は、自分の好きなものを書いて披露しあっただけです。それだけなのに、なぜこんなにも楽しく話ができたのでしょうか。  見せられた側は、相手のマップにあるたくさんの言葉の中から、自分が好きなものがパッと最初に目に飛び込んでくるものなので、自然にそこから会話や質問を始めます。こんなふうに、一瞬にしてお互いの共通点から話し始めることができるのです。話が盛り上がるのも当たり前ですね。
 人は自分の好きなことを話していると、目をキラキラさせて話をします。さらに、相手が興味を持って聞いてくれるとなれば、なおさらです。加えて、相手も同じものが好きであったらならば、もう最高です。
 相手との共通点を見つけることは、人間関係の距離を縮めるためにとても有効な方法です。PS研究会では、いつも「作業の前に人間関係」とうたっています。このマップを使ってコミュニケーションするということは、チーム内で本音の話しができる土壌を作り、チームの雰囲気を良くするきっかけになるでしょう。
 今回は時間の関係上、全員のメンバーとマップ交換ができなかったので、また機会を見つけて他のメンバーとやってみたいと思っています。皆さんもぜひ一度お試しあれ!

※1:明治大学の齋藤孝教授が提唱しているコミュニケーションメソッド:「偏愛マップ」です。


 編集者コーナー
 このコーナーの編集担当二人が語ります。
花水木(はなみずき、以下「は」)「偏愛マップっていうのねー。偏愛って字のとおり、“かたよって愛する”ってことなんだね。辞書ひいちゃったよー。」
木犀草(もくせいそう、以下「も」)「そうそう、この偏愛マップ、いっぺんに相手のことがわかって面白そうだよね。」
は:「うん。・・・私自身は書くのが怖いなぁ。自己開示が怖いのかも…。」
も:「へー。人のマップを見るのはどう??」
は:「うーん、それも微妙!!すごく見たい人とそうでない人がいるかも…」
も:「あちゃー、それは自己紹介以前の問題ちゃう?」
は:「あら、バレちゃった? 笑。まぁ、チームづくりには共通の話題が必要ってことは、ホントよくわかるよね。ねぇねぇ、もくちゃんの偏愛するものって?」
も:「それは________にきまっているやん」
は:「ふーん。私はね、“昼寝”。もう、真ん中に大きな字で書いちゃう」
も:「そっちかー、もう! 笑」


 著者:猫柳(ねこやなぎ:ペンネーム)
 PS研究会メンバー。某メーカーの技術部門でプロジェクト支援業務に従事。現在は働く仲間が活き活きと働くための場作りに、日々奮闘中。
 編集チーム:花水木(はなみずき:ペンネーム)
PS研究会メンバーで本業はIT企業の技術職。現在は、教育企画部門に所属し、現場に役立つ研修を試行錯誤している。長年にわたり、プロジェクトという閉ざされた空間で、いかに個人が幸せに過ごすかを追求中。花水木の花言葉は「私の思いを受けてください」と「華やかな恋」。当コラムの編集チームの編集長。
 編集チーム:木犀草(もくせいそう:ペンネーム)
関西弁バリバリのPS研究会メンバー。キャリア形成をメインテーマに研究活動中。木犀草の花言葉は「陽気、快活」。プロジェクトをサポートする木犀草になりたいな。当コラムの副編集長。
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Partner Satisfaction PS研究会について:PS研究会は、財団法人日本科学技術連盟のソフトウェア生産管理(SPC:Software Production Control)研究会のひとつで、2002年から動機付け(モティベーション)に関する研究を続けています。2003年から、PMAJ(旧:JPMF)のIT-SIGのひとつ「パートナー満足と人材活用(PS&HM)ワーキンググループ」としても活動しています。詳しい紹介はこの連載の第1回目をご覧ください。
 バックナンバー
第1回目2006年9月号  〜このコーナーのご紹介〜(花水木)
第2回目2006年10月号  〜ソフトウェア技術者が働きやすい作業場所とは?〜(楠木)
第3回目2006年11月号  〜プロジェクトチームにおける新人の居場所〜(菜の花)
第4回目2006年12月号  〜挨拶は“安全な仲間”のシルシ〜(木犀草)
第5回目2007年1月号  〜うまくほめて正しく叱る〜(花水木)
第6回目2007年2月号  〜私にとっての働きやすさとは〜(杉の木)
第7回目2007年3月号  〜笑顔の効力〜(銀杏)
第8回目2007年4月号  〜モティベーションをコントロールしよう〜(向日葵)
第9回目2007年5月号  〜人を動かす物語、心に宿る物語〜(孔雀草)
第10回目2007年6月号  〜デトックスしませんか〜(木犀草)
第11回目2007年7月号  〜ビジョンとメンバーの関係は?〜(楠木)
第12回目2007年8月号  〜寝て見る夢、起きて見る夢〜(杉の木)
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