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〜寝て見る夢、起きて見る夢〜

杉の木:8月号

 よく「夢を持つことは大切だよ」といわれます。みなさんにとって「夢」はどんな存在でしょうか。今回は、私が布団の中で見た「夢」と、実現させたいなぁと思っている「夢」について書いてみたいと思います。

 白球を追う夢

 カキーン!
 白球が、大きな弧を描き飛んでいく。大きな歓声が沸き起こり、ランナーがグラウンドを走る。私は、ただマウンドにつっ立ってボールの行方を追う・・・。
 私はピッチャー、やっとスタメンで出場できた試合。チームメンバーも私も絶好調で、相手チームからバッタバッタと三振を奪い、2点リードで迎えた最終回。「よーし、勝ちは目前だ。」と思った瞬間、突然コントロールが乱れだし、相手チームにサヨナラ満塁ホームランを許してしまったのです。目の前で勝利を逃した我チーム。がっくり肩を落とす仲間たち。私は、溢れる涙を止めることができませんでした。

 実はこれ、私が先日見た夢なのです。惜敗を喫した野球の試合で大泣きをしている自分の夢。翌朝の目覚めは、さぞかし気分が悪いんじゃないの?と思われるかもしれません。ところが、意外なことに、その日の朝は、すっきりと爽やかな気分で目覚めたのです。なぜ、すっきりしていたのでしょうか。

 夢を思い出した私

 私は野球をしたことはありませんが、テレビで試合を見るのは大好きです。先日も斉藤選手の活躍が見たくて野球ニュースに釘付けでした。といっても、実は、私の野球ファン暦はとても短いのです。野球ファンになったきっかけは、息子が少年野球に入部したからです。最初はそれほど興味もなく練習に付き合っていたのですが、一生懸命に練習する子供たちを近くでみているうちに、昔の夢を思い出したのです。
 子供の頃、近所に少年野球団がありました。みんなと一緒に野球をやってみたいなぁ、と密かに夢に見ていました。その夢を思い出したのです。あの夢をみたのは、ちょうどその頃でした。起きているときに見ていた“夢”を思い出したとたん、寝ている間に“夢”を見たのでした。
 野球をやりたいという夢を、いつの間にか忘れていた私。その私が、あの夢の中ではエースとして試合に出場し、相手チームのバッターに対して、剛速球を投げているのです。苦しい練習とそれを支えてくれたチームメイトの笑顔、それは目覚めても鮮明に私のイメージに残りました。
 夢が覚めたときに、すっきりと爽やかな気持ちだった理由がわかりました。夢の中とはいえ、ずっとやりたかったことを実現できたのです。

 夢みる力はあきらめない

 「近頃の子供たちは夢がない」といわれますが、毎日、白球を追いかける子供たちは目をきらきらとさせて夢を語ります。甲子園に出場したい子や、プロ野球選手になりたい子。イチロー選手に会うのが夢なんだ、と、ニコニコしながらサインを見せてくれた子もいます。子供たちの夢には、「次の地区大会で2回戦を突破する」といったハッキリした目標もあれば、漠然としたあこがれのようなものもあります。しかし、どんな形にしろ、夢を持っている子供たちは、厳しい練習に果敢に取り組んでいます。転んでも立ち上がってボールを追いかけます。
 子供たちと話しているうちに、うっかり忘れていた夢をもうひとつ思い出しました。数年前、今の部署に異動したときに持った夢、それは「この職場を明るく楽しくしたい!」というものです。夢というより個人的な目標かもしれません。いずれにしても、目指そう、実現しよう、と強く思ったはずでした。しかし、毎日の生活に追われているうちに、仕事は楽しむものではなく、こなすものに変わり、最初に持った思いをすっかり忘れていました。
 鬼コーチならぬ、鬼上司、山のような仕事、厳しい納期と、乗り越えるべきハードルはたくさんあります。しかし、夢を思い出した私は、すぐにあきらめません。毎日、少しずつでも、できることから取り組んでいきたいと思っています。そのための第一歩として、机の前に「いつも笑顔で応対する」と張り紙をしました。この夢は、寝ているときではなく、起きている現実の世界で実現させたいと思っています。

 おわりに

 みなさんには、夢がありますか?すぐに思いつかなくても、私のように何かのきっかけで思い出すこともあるでしょうし、すでに、ハッキリとした目標になっている人もいるでしょう。夢は旅人の北極星みたいなものだと思います。雲にかくれることもありますが、いつか雲が晴れて星が輝きます。夢だから手が届かない、とあきらめないでください。目指すものがある、それだけで、単調な毎日を変える第一歩を踏み出す力が生まれるのです。


 編集者コーナー
 このコーナーの編集担当二人が語ります。
花水木(はなみずき、以下「は」)「」
木犀草(もくせいそう、以下「も」)「・・」
は:「もくちゃん、顔にシワがついてるけど、何のシワ?笑」
も:「あっ!さっき机でうたた寝したときに、ペンケースでシワができちゃった〜!」
は:「そ、それは・・・シワがつくほど寝るなんて、うたた寝レベルじゃないよー。笑。」
も:「それがさ、面白い夢を見てん。あんまり面白かったから起きるのが勿体なくて寝ててんけど、起きたらすっかり忘れてんのよ。」
は:「あるある、そういう夢。起きてるときに心に浮かべてる夢は消えちゃ困るけどね。」
も:「このコラムをプロジェクトの憩いの場にする!っていう編集長の夢は忘れてませんよ!」
は:「あたしは、この前、トラぶってるプロジェクトのリーダに“コラム読んでます。気分転換にいいですね。”って言われる夢を見たよ♪」
も:「それ、正夢になるといいね。クチに出すと現実になるっていうものね。あたしは一攫千金の夢をみたいなー。笑」
は:「はいはい。その前に、私の夢の実現を手伝ってもらうわよ!来月の原稿もヨロシクね。」
も:「やっぱり編集長には敵いませんわ・・・笑」


 著者:杉の木(ペンネーム)
PS研究会メンバー。職場では品質監理を担当。プロジェクトメンバーがイキイキと仕事ができる環境をつくりだすことを現実の夢としている。屋久島の「縄文杉」のように、大きく、力強い、PSの木を職場に育てたいと願っています。
 編集チーム:花水木(はなみずき:ペンネーム)
PS研究会メンバーで本業はIT企業の技術職。現在は、教育企画部門に所属し、現場に役立つ研修を試行錯誤している。長年にわたり、プロジェクトという閉ざされた空間で、いかに個人が幸せに過ごすかを追求中。花水木の花言葉は「私の思いを受けてください」と「華やかな恋」。当コラムの編集チームの編集長。
 編集チーム:木犀草(もくせいそう:ペンネーム)
関西弁バリバリのPS研究会メンバー。キャリア形成をメインテーマに研究活動中。木犀草の花言葉は「陽気、快活」。プロジェクトをサポートする木犀草になりたいな。当コラムの副編集長。
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Partner Satisfaction PS研究会について:PS研究会は、財団法人日本科学技術連盟のソフトウェア生産管理(SPC:Software Production Control)研究会のひとつで、2002年から動機付け(モティベーション)に関する研究を続けています。2003年から、PMAJ(旧:JPMF)のIT-SIGのひとつ「パートナー満足と人材活用(PS&HM)ワーキンググループ」としても活動しています。詳しい紹介はこの連載の第1回目をご覧ください。
 バックナンバー
第1回目2006年9月号  〜このコーナーのご紹介〜(花水木)
第2回目2006年10月号  〜ソフトウェア技術者が働きやすい作業場所とは?〜(楠木)
第3回目2006年11月号  〜プロジェクトチームにおける新人の居場所〜(菜の花)
第4回目2006年12月号  〜挨拶は“安全な仲間”のシルシ〜(木犀草)
第5回目2007年1月号  〜うまくほめて正しく叱る〜(花水木)
第6回目2007年2月号  〜私にとっての働きやすさとは〜(杉の木)
第7回目2007年3月号  〜笑顔の効力〜(銀杏)
第8回目2007年4月号  〜モティベーションをコントロールしよう〜(向日葵)
第9回目2007年5月号  〜人を動かす物語、心に宿る物語〜(孔雀草)
第10回目2007年6月号  〜デトックスしませんか〜(木犀草)
第11回目2007年7月号  〜ビジョンとメンバーの関係は?〜(楠木)
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