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〜プロジェクトチームにおける新人の居場所〜

菜の花:11月号

チームに配属された新人は、交流が少ない先輩方に囲まれて、緊張と不安で一杯。チームの役に立つ技術もない。そんな状況では“居場所がない”と思うのも当たり前です。しかし、できれば早くチーム内に自分の居場所を感じて、充実したワークライフを送りたいと思っています。
そこで、今年の四月に社会人になった私のこの数ヶ月の経験から、新人がチーム内で居場所を感じるときについて書かせていただこうと思います。

 新人がチームで居場所を感じるとき

 新人がチームで居場所を感じるときは、大きく分けて2つあると思います。
 ひとつ目は、周囲の人から精神的に「必要とされている」と感じるときです。例えば、「菜の花さんがいると、チーム内が明るくなるね」と言われると、“自分は望まれてここにいるんだ”と思うことができ、“自分はここにいていいんだ”と感じることができます。
 ふたつ目は、周囲の人を物理的にサポートしているときです。例えば、「じゃあ、菜の花さん、これ配っといてくれる?」と言われ、一生懸命手足を動かして働いていると、たとえ任された仕事が雑務であっても、“自分も少しはチームの役に立っている”と思うことができ、“自分はここにいていいんだ”と感じることができます。
 しかし、誰もがこのような状況で自分の居場所、つまり存在意義を感じるかというとそうではないでしょう。
 ひとつ目の「菜の花さんがいるとチームが明るくなるね」の例では、人によっては、ほめ言葉を素直に受け取れず「私に気を使って言っているんだろうな」と感じてしまう人もいるのではないでしょうか。そんな新人は、目に見えない壁を感じて、まだチームに溶け込めていないのです。先輩の皆様は、たくさん会話をして、気持ちをほぐしてから、改めて会話の中でほめてくださったら、と思います。
 また、ふたつ目の例では、雑用から存在意義を感じることができず「こんな雑用だったら、自分じゃなくてもいいのでは?」と感じてしまう人もいるのではないでしょうか。そんな新人は、「ありがとう」の一言で役に立ったと実感できたりします。また、先輩の皆様が過去の経験から、今やっていることの意味や、将来の仕事にどうプラスにつながるか、なんて話をしてもらえたら、十分に嬉しくなったりすると思います。このように、先の対応しだいで、新人は居場所を見つけることができるのです。

 先輩からこんなアドバイスをしてほしい!

 先輩が、個性的な新人のひとりひとりに適した対応をするためには、新人それぞれが今抱えている不満や、職場への希望を聞き出さなくてはいけません。
 しかし、ただ新人を集めて「何か悩みないの?」と聞くのでは、求める答えは出てきません。新人は、「自分の不満や希望を先輩に積極的に言うべきではない」と思っていることがよくあります。ましてや同期の前では言いづらいことも多々あります。ですから、聞き出すときには、大勢の前ではなく一対一のほうが、気が楽になります。休憩室でお茶でも飲みながら、先輩が新人時代に感じていた不満や希望を話してもらえたら、新人のほうも自分の考えをとても話しやすいです。
 例えば下のようなことです。
 「私が新人だったときは雑用ばかりで、別に私がやらなくてもアルバイトがやればいいんじゃない?とか思ってたよ。○○さんはそう思うことない?」とか、
 「今こんな仕事をやってるんだけど、加わってみたいと思う?」とか。
 少し馴れ馴れしいくらいの口調で話してもらえたほうが、正直な気持ちを話しやすく感じます。
 そして、新人が正直な気持ちを話したとしたら、それを否定したり、説教しないでいてください。新人は、自分が不満を持っていること自体がいけないことのように感じていることがあります。「そう思うこともあるよね。」と、共感しているように振舞ってもらえると、それだけで安心感を得るものです。 その後で、新人が居場所を見つけるためにどうすべきかを、じっくり話してみてほしいと思います。私も、自分の考えや思いを先輩に伝えて、そして色んなことを吸収して、早く一人前になりたいなと思っています。


 編集者コーナー
 このコーナーの編集担当二人が語ります。
花水木(はなみずき、以下「は」)「フレッシュだね〜。みずみずしい感じがするね。」
木犀草(もくせいそう、以下「も」)「新人の頃を思い出すね。私も緊張しながら挨拶したものだわぁ・・・(遠い目)。」
は:「えーっ!モクちゃんでも緊張したんだ(笑)。」
も:「当たり前やん(笑)。新人じゃなくても、プロジェクトで初めての勤務場所に行くときは緊張するでー。居場所を探す、って感覚わかるわ。東京転勤したとき、受け入れてもらえるかなって、ドキドキしたよ。」
は:「仲間として認めてもらえるかどうか、ってことだもんね、そりゃあドキドキするよね。まぁ、そこまで大げさじゃなくても、自分を受け入れてもらえることって単純に嬉しいよね。よし、このチームで頑張ろうって思うし。」
も:「そうそう。チームの一員だって思えるかどうか、って意外と、やる気に影響するねん。」
は:「まさに、PS研究会がテーマにしてる部分だよね。」
も:「せやねー。あ、PS研究会といえば、11月にチーム作りとリーダーシップをテーマにした1日セミナーがあるやん。」
は:「ああ、11月28日のIT-SIG特別講座ね。」
も:「メンバーの心に働きかけるリーダーシップのセミナーです。詳細はこちら!」
は:「ちゃっかり宣伝するなぁ(笑)。・・・さて、ご好評いただいているこの連載ですが、次回は、またまた面白い展開が期待できそうですよ。どうぞお楽しみに!」


 著者:菜の花(なのはな:ペンネーム)
PS研究会メンバー。大学時代にソフトウェア開発技術者のモティベーションについて研究したのがきっかけで、研究会に参加しました。この春IT企業に技術職として就職しました。これから新人らしい元気さを生かし、先輩方を盛り上げていきたいと思っています。
 編集チーム:花水木(はなみずき:ペンネーム)
IT企業の技術職で、現在もソフトウェア開発のプロジェクトチームに参加中。プロジェクトという閉ざされた空間で、いかに個人が幸せに過ごすかを追求している。PS研究会メンバーであり、当コラムの編集長。
 編集チーム:木犀草(もくせいそう:ペンネーム)
関西弁バリバリのPS研究会メンバー。キャリア形成をメインテーマに研究活動中。木犀草の花言葉は「陽気、快活」。プロジェクトをサポートする木犀草になりたいな。当コラムの編集メンバー。
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Partner Satisfaction PS研究会について:PS研究会は、財団法人日本科学技術連盟のソフトウェア生産管理(SPC:Software Production Control)研究会のひとつで、2002年から動機付け(モティベーション)に関する研究を続けています。2003年から、PMAJ(旧:JPMF)のIT-SIGのひとつ「パートナー満足と人材活用(PS&HM)ワーキンググループ」としても活動しています。詳しい紹介はこの連載の第1回目をご覧ください。
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第1回目 〜このコーナーのご紹介〜
第2回目 〜ソフトウェア技術者が働きやすい作業場所とは?〜
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