働きやすいプロジェクト環境のために
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〜コミュニケーションのきっかけ〜

山桜桃梅(ゆすらうめ:ペンネーム) [プロフィール] :10月号

 環境変化の激しい時代の中、私たちの職場環境も常に変わっています。部署異動のような小さなものから、転職や組織変更のように大きなものまで、変化の度合いは様々です。もし自分の職場環境に変化があったとき、どのように人とのつながりを作ればよいのでしょうか。今回は筆者の経験から、新しい環境に対応するためのノウハウをお伝えしたいと思います。

  話しかけてもらうきっかけ提供

 「よろしくお願いします。」当たり前ですが、この一言から、私の新しい職場での生活がスタートしました。新鮮な環境にわくわくする反面、周りはまったく知らない人ばかり。これからどんなことをするのか、誰がどんな知識を持っているのかまったくわからない状態でした。
 私は日ごろから「仕事を楽しむにはまずは人間関係をよくしないと!」と思っていましたので、いろいろな人と積極的に話をしました。当初はもの珍しさから、先方から声をかけてもらうこともありました。しばらくすると、それもなくなってきました。こういうときは、自分から話しかけることがベストなのですが、なかなか話のきっかけが見つかりません。さてどうしようと考えて、ふと気付いたのです。
 話せないなら話しかけてもらおう!
 自分から話しかけるのではなく、話しかけてもらうきっかけを作るようにしたのです。パソコンの壁紙を自分の趣味のものに変える、卓上カレンダーに毎日シールを貼ってみる、髪の色を変えるなどなど。小さなことでいいので『変化』を作るのです。そうするとその変化に対して気づき、話しかけてくれる人がいます。そのことをきっかけとして話を膨らませて、仲良くなっていきました。

 お菓子はチームを救う

 ところが、変化に気づかないメンバーとは、話をすることができないままです。そこで次の手を考えました。お菓子を買ってきて、「よかったらどうぞ」と言って渡すことです。
 たったそれだけ?と思うかもしれませんが、はい、それだけです。まずは何かを話すことが大事だと思います。最初は一言だけかもしれませんが、続けることで会話が徐々に増えていきます。
 お菓子には別の効果もあります。まず、知的労働に疲れたときの脳の栄養補給にお菓子は最適です。それ以上に、同じものを食べることによって、仲間意識が醸成できるのです。おいしいものを一緒に食べると、それだけで仲良くなれます。時にはメンバーからお返しがくることもあります。それをきっかけに更に仲良くなることができます。
 ただし、お菓子を一方的に渡し続けていると人間関係のバランスが崩れてしまいますので、ほどほどにしましょう。

 笑顔で会話

 最後の一手は、笑顔です。メンバーと話をするときに笑顔を意識します。
 笑顔には話しやすい雰囲気を作る効果や、会話を盛り上げる効果もあるといわれます。無理に笑い顔を作ることが大事なのではなく、表情筋をゆるめて笑顔でいようと意識することが大事です。意識をすることで笑顔がより自然になります。表情筋が緩むことで、話しやすい雰囲気になり、他人が話しかけるハードルを下げることができます。
 自分が逆の立場になって、誰かに質問したいと思うときのことを考えても、相手が業務に没頭していたり、イライラしていたりすると話しかけにくいものです。話しかけたときに相手が笑顔で対応してくれれば気軽に話しができるようになります。
 さて、これまで自分の職場環境が変化したときについてお話してきましたが、これらの作戦は変化の少ない環境にも応用できると思います。コミュニケーションが活発になることで、仕事を円滑に進めることができますし、新しいアイデアが生まれることもあります。そのための方法として、自分からコミュニケーションを始めることを意識してみてはどうでしょうか。

 編集者コーナー
 このコーナーの編集担当二人が語ります。
花水木(はなみずき、以下「は」):「もくちゃん、眉間にセロファンテープなんて貼ってどうしたの?」
木犀草(もくせいそう、以下「も」):「最近“眉間にシワ”が固定化してきてるねん。怖そうに見えるから、シワを伸ばそうと思って」
は:「ああー、わかる。私も眉間のシワが深くなってきてるの。さっそく真似しようっと。テープは何センチに切ればいいの?」
も:「・・・実はネタやねんけど。」
は:「は?」
も:「話すきっかけよー。ツッコミネタを提供せよって話だったから。マジノリで反応しちゃいやん。笑」
は:「え!?なんだー、そういうこと!?ボケだったのね、気づかなかった。笑」
も:「わはは、せっかく知恵を絞ってボケたのに、編集長の天然ボケには、かなわないなぁ!ま、どっちにしても、話すきっかけと笑いにはなったから、結果オーライかな。笑」
は:「笑うとテンションだけじゃなくて、体温も上がるんだってよ。健康にもいいし、職場の空気も和むし、いいことづくし!」
も:「ついでに、甘いもので脳に栄養補給もしよーよ。はい、チョコ♪」
は:「お、サンキュウ!よっしゃ、これで午後も仕事が頑張れるね。はい、これ今日中でお願いね!!」
も:「おーっと。またまたやられちゃったな。ほんと、編集長には勝てんわ。笑」


 編集チーム:花水木(はなみずき:ペンネーム)
PS研究会メンバーで、本業はIT企業の技術職。長年にわたり、プロジェクトという閉ざされた空間で、いかに個人が幸せに過ごすかを追求中。花水木の花言葉は「私の思いを受けて下さい」と「華やかな恋」。当コラムの編集チームの編集長。
 編集チーム:木犀草(もくせいそう:ペンネーム)
関西弁バリバリのPS研究会メンバー。キャリア形成をメインテーマに研究活動中。本業ではIT企業の人材育成企画と並行してPMOを担当。現場を走り回ってます。木犀草の花言葉は「陽気、快活」。プロジェクトをサポートする木犀草になりたいな。当コラムの副編集長。
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Partner Satisfaction PS研究会について:PS研究会は、財団法人日本科学技術連盟のソフトウェア生産管理(SPC:Software Production Control)研究会のひとつで、2002年から動機付け(モティベーション)に関する研究を続けています。2003年から、PMAJ(旧:JPMF)のIT-SIGのひとつ「パートナー満足と人材活用(PS&HM)ワーキンググループ」としても活動しています。詳しい紹介はこの連載の第1回目をご覧ください。
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第36回目2009年8月号  〜サポートチームと開発現場との愛のある関係〜(覇王樹)
第35回目2009年7月号  〜苦しい時には待ってみる〜(扁桃)
第34回目2009年6月号  〜ポジティブな雰囲気を醸し出すリーダシップ〜(木犀草)
第33回目2009年5月号  〜「終わりよければ‥・」は真にあらず〜(はなみずき)
第32回目2009年4月号  〜『ダイバーシティ & インクルージョン』を推進しよう〜(とりかぶと)
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