Ⅰ. |
ドイツ方式 IoT(Internet of Things) 8月号参照のこと |
・ |
ドイツInd4.0は単独ではなく、産業全体を俯瞰することで機動力を高め、顧客への付加価値や事業効率性をさらに向上することを狙いとしている。 |
・ |
開発からアフターサービスまでバリューチェーン全体のシームレスな連携、個社でなくプレーヤーをまたいだ連携、10年、20年後を含めた将来の見える化によって、産業全体の認識力を高めている。 |
・ |
産業全体を俯瞰することで、リソースの最適配置による効率的な事業拡大、頻繁なトライアルエラーによる顧客への付加価値向上が可能、事前の織り込みによる迅速な商品、サービス提供が可能 |
・ |
工場の生産ラインを流れる部品、湿度や気温を測定するセンサーなど、あらゆるものがネットに接続する。機械同志が「会話」し、人手を介さずに、ラインを組み替え、在庫に応じて、生産量を自動で調整する。部品工場から組み立て工場、物流のトラックから販売インターネット会社まで様々な現場が結びつき、一体化する。
これは単なる生産の効率化や省人かではなく、やり取りされる儒応報のスピードや量が、人手時代に比べて数千倍になり、3つの新しい改革が行われる。
①カスタムメード量産時代
②車のモデルチェンジの概念の変更
③膨大なデータを操るIT企業の活躍
|
Ⅱ. |
GEが意図している改革
IoTはすべての既成概念を破壊する要素を持っている。
GEの改革には従来の製造業を激変させる3つの切り札がある。 |
① |
インダストリアル・インターネット:『ソフトで引き出すハードの潜在力』
・ |
航空会社はGE製のソフトを利用することで年間の燃料消費を低減してきた。すなわち航空機に搭載する数百個のセンサーから出される、エンジンの稼働状況、温度、燃料消費量などの多様なデータを収集し、解析することで、理想的な飛行機の操縦方法を指南し、燃料費削減やその他運用費用や保守費の削減を提案できる。しかし更に重要なことは従来捨てていた膨大なデータから、このソフトの活用でハードが持つ潜在的価値を引き出すことを実施しようとしている。 |
・ |
GEのインダストリアル・インターネットの根幹をなす技術は同社が独自に開発したソフトで、このソフトは燃費向上だけでなく、航空会社の課題解決に役立つソフトを次々に製品化し、顧客を獲得している。この活動は航空会社だけでなく、発電用タービンにおいても、病院や様々な顧客企業から集まる膨大なデータを解析し、運用の効率化や改善や最適化につなげ、新たな価値を引き出すための道具になっている。 |
・ |
センサーから集まるビッグデータの価値は機械の保守や効率改善にとどまらない。食品や日用品のメーカー、インフラ企業などあらゆる業種で、在庫、物流の最適化、需要予測に威力を発揮する。そこで解析を担うソフトを多くの企業に提供すれば、データ解析を通じて、GEには様々な業界のノウハウが集まってくる。 |
・ |
これらの業務を通じて、GEは多様な産業機器を取りとめる共通プラットフォームとなる“Predix”を2014年オープン化して、社外企業にも提供していくことを決めている。このソフト開発に1,200億円を投入している。
|
|
② |
アドバンスト・マニュファクチャリング:『極小工場』へ3Dプリンターの活用
・ |
機械やクルマ、インフラなどがインターネットに繋がる時代。IT企業がその覇権を握る試みをしているが、IT企業はハード面に弱い欠点がある。GEがIT企業差別化するには、ソフト面だけでなく、ハード面のモノつくり技術を一段と進化させる必要があるとして、既に量産部品の生産に踏み込んでいる。 |
・ |
事例1. |
「航空機エンジンのタービン重量を2割削減」を目標に実施している。
顧客に密着した討議で、3Dプリンターを活用し、開発を容易にした。労働コストの削減にも貢献している。 |
|
・ |
事例2. |
欧州エアバス社の次世代旅客機「A320neo」などに搭載されるエンジンLEAPで3Dプリンターでつくった約20個の燃料ノズルが搭載される。3Dプリンターで溶接回数を1/5に、耐久力を従来の5倍に高めた。 |
|
・ |
事例3. |
2014年に米コネティカット州にアドバンスト・マニュファクトリー・ラボを開設:電力関連新製品開発に取り組む。 |
|
|
☆ |
アドバンスト・マニュファクチャリングの究極の目的は顧客に密着した生産体制として『マイクロ・ファクトリー(極小工場)』という構想で、ネットワーク化された小規模工場を世界に分散させ、3Dプリンターやロボットなどの先端技術を活用して、顧客が求める製品を、顧客のそばで、迅速に開発、生産するというものである。
例えば航空機のジェットエンジンや、発電用のタービンは高温・高圧の過酷な環境で使用されるため部品が摩耗しやすい。顧客に近い小型工場で必要なときに必要な補修部品を供給すれば、顧客満足につながり、在庫リスクも減らせる。
|
|
|
③ |
ファストワーク:『スタートアップ流で開発を迅速化』:実用最小限の試作品「MVP」 新製品開発素早く行う新しい手法である。
・ |
インダストリアル・インターネットでは、機械類(例えばジェットエンジン)の運用データからハードの持つ新たな価値を発見し、機械の持つ能力の向上(燃焼効率の改善)や、自社が関与しない着陸時のフラップの操作方法で、燃費の削減を提案した。 |
・ |
アドバンスト・マニュファクチャリングではデータ分析から得られた結果を具体化するために「極小工場」を顧客に接近した場所に設置し、実物を3Dプリンターで製作し、顧客と一緒に改善活動を行ってきた。 |
・ |
ファストワークでは開発者の思い込みで顧客にとって価値のないものを製作する過ちが多く見られた。この過ちを防ぐために顧客が求める製品を迅速に創り上げること目指す。
具体的には顧客と相談して顧客が望む、実用最小限の試作品「MVP」の製作を90日程度で実施する(万能な製品を試作化しない)。
次に半年か1年でバーションアップしていく方式。
開発プロセスは以下のとおりである。 |
|
事例4. |
①「顧客の要望や悩みを理解する」→②「製品の成功に不可欠な要素を探す」→③「実用最小限の製品を定義する」→④「顧客の要望などから課題を探す」→⑤「製品を改善する」 |
|
|
重要事項: |
21世紀型【電子・ビジネスモデル(バーチャル→リアル)空間】戦略で重要なのはバーチャルで(誰よりも早く)企画することである。早く手を付けたものが世界一の座を勝ち取り、世界一だけが大儲けできるグローバル社会をいま巨大企業は画策しているからだ。 |
|
|