投稿コーナー
先号   次号

「日本再生“アベノミクス”を成功させるために何が必要か」 (22)
地政学的戦略を考えよう (10)

東京P2M研究会 渡辺 貢成: 1月号

A. P2Mでは、プログラムは多義性、拡張性、複雑性、不確実性を取り扱い、複数の課題解決が求められている。この解決策として21世紀の競争を支配する場をつくるプラットフォームマネジメントが求められている。先月は平野敦士著「プラットフォーム戦略~21世紀の競争を支配する『場をつくる』技術」の内容説明をした。
プラットフォーム構築のための問題点
ステークホルダーとして選ばれる複数企業
戦略思考型の人材
プラットフォームビジネスの5つの機能
勝てるプラットフォーム3つの特徴、プラットフォーム構築のための9つのフレームワークの教科書的な内容の解説をした。
本書は初心者でもわかる課題解決の手順を教えてくれた。しかし実践的な具体的事例を学ばないと、読者はプラットフォームを活用することができない。そこで今月は実践的で具体的な内容が書かれた尾崎和啓著「ザ・プラットフォーム」の解説を Kさんにお願いする。
K. 先月に続き、尾原和啓著「ザ・プラットフォーム」2015.6.初版をお手本に、プラットフォームマネジメントの説明をします。本書の具体的内容を理解して頂いたら、来月は今“アベノミクス”が求めている、地方創生を書かれた笹谷 秀光著「~ビジネス思考の日本創生・地方創生『協創力が稼ぐ時代』の説明をします。これら3冊の本の解説が終わった段階で、3書の整合性を取ることを考えています。この段階でできれば、読者の皆さんに地方創生の具体例を提示しますので、自分の周辺のコミュニティを見回し、どのような課題が存在しているか。その課題解決の優先順位は何かを考えていただきたいと思います。特にPMR資格者は自社のプラットフォームマネジメントは何か、周辺のコミュニティの問題は何かを考えてみてください。最後にPMAJのP2M研究会は地方自治の 1 事例をとりあげて、理想的なコミュニティを創出する具体案を提供する予定でいます。具体案は國際P2M学会で発表する予定です。
では、尾原和啓著「ザ・プラットフォーム」の解説をします。本の内容には下記のテーマが書かれていますが、紙面の都合上、第1章、第2章、第3章、第4章の説明は省略します。
第 1 章 プラットフォームとは何か?
第 2 章 プラットフォームの「共有価値観」
巨大IT企業のプラットフォームの特徴
1 ) グーグル
2 ) アップル
3 ) フェースブック
第 3 章 プラットフォームは世界の何を変えるのか
1 ) 3D プリンター
2 ) 教育
3 ) シェアリングエコニミーの原理
第 4 章 プラットフォームは悪なのか?
第 5 章 日本型プラットフォームの可能性
1 ) リクルート
2 ) i モード (省略)
3 ) 楽天
第 6 章 コミュニケーション消費とは何か
第 7 章 人生を幸せにするプラットフォーム
1 ) 「リベラルアーツ」としてのプラットフォーム
2 ) 人生を幸せにするプラットフォーム
3 ) 未来に楽観的であること
4 ) 自己実現のプラットフォームへ

1. 日本型プラットフォームの説明
ザ・プラットフォーム第5章 日本型プラットフォームの可能性に「リクルート」、「楽天」の説明があります。まず、ザ・プラットフォームなりの説明をします。「 i モード」は省略します。

従来の経済戦争はBM (有効なビジネスモデルの開発) が決め手でした。しかし先進国に比べ、新興国の成長能力が高く、経済進展がはやいことから、当面の必要品の購入が進み、不景気状態を示し始めました。
これからのビジネスは 1 社やその系列会社と一体となる経済体制では成長を求められず、数社の企業の優位性を集めて、グローバル競争に打ち勝つ動きが活発化しています。この複数社で共同して経済活動をするやり方が、主流となります。その時のビジネスの勝利者は自社のプラットフォームに多くの有力な参加者を集め、優れた「共通価値観」をつくりあげたところだろうと考えられています。それが今月のテーマです。
今月は日本型プラットフォームの成功者について解析していきます。
5.日本型プラットフォームの可能性-リクルート、iモード、楽天
2. リクルートの「共通価値観」について
リクルートプラットフォームの「共通価値観」は 『未だ、ここにない』 BMを提案し、関係者を育て上げていくものです。
5.2 リクルートの「共通価値観」:『まだ、ここにない、出会い』(1/5)
戦後早々に結婚ビジネスという仕組みを考えた江副社長の手腕のお話をします。

5.2 リクルートの「共通価値観」(2/5)

5.2 リクルートの「共通価値観」(3/5)
結婚式という家庭で実施していたものに、誰もが安心して、専門家に任せる仕組みをつくり、新しいビジネスをつくりあげ、結婚式関連のビジネスを総括してゼクシーと命名し、ブランド化したこと。そしてその仕組みが維持できる環境整備をした内容を上記に説明した。

5.2 リクルートの「共通価値観」(4/5)
リクルートはさらに収穫逓増の法則を編み出し、ユーザーが増えればサプライアーが増え、更にユーザーが増える仕組みを確立し、配電盤モデルと命名した。

5.2 リクルートの「共通価値観」(5/5)
3. 楽天の共通価値観
Webによるビジネスは厳しい競争がある。理由は極端に言えばパソコンがあればビジネスが始められる。頭脳の勝負である。そこに最大の秘訣がある。楽天のノウハウを図表にしました。
2.19 プラットフォームとしての「楽天」(1/4)
共通価値観の優劣によりビジネスが決まる。

5.19 プラットフォームとしての「楽天」(2/4)
また、勝利のためのノウハウも重要である。
楽天は各店舗にコンサルタント社員をつけ、売り上げ向上に努めている。
顧客と店舗がコミュニケーションを通じた中から売れ筋商品が生まれている。
他の業者にないコミュニケーション消費という活動が効果的に活きている。
ユーザーの心の中に物語を提供し、商品を買いたくなる仕組みをつくっている。
欧米のウェブビジネスは必要なものを検索買いしている。楽天の顧客は良いものがないか、探索買いしている。

楽天の商品はアマゾンより品揃えが優れている。
理由は楽天の店舗は年 2 回全国会議を行い、店舗同士が競争をするのではなく、棲み分けを協議し、双方が食べていける努力をしているため、消費者にとっては割安商品、中級商品、高級商品を品ぞろえが進んで、楽天市場をにぎやかなものにしている。

2.19 プラットフォーマーとしての「楽天」(3/4)

2.19 プラットフォーマーとしての「楽天」(4/4)
楽天は楽天経済圏の店舗に対し、自主的に協力関係を強化させることで、品揃えという消費者にとって選択肢の大きいモールであることを価値の高さとして活用している。

6. コミュニケーション消費とは何か
日本人は買い物にも遊びの精神が入り込んで、生活を豊かにする生活の知恵をもっている。
この小さな遊び心は江戸時代からのものであり、金がなくても幸福を掴むことができる工夫を凝らしてきました。欧米では求められないコミュニケーション消費も日本的な現象のようで、拡大する可能性があります。次にクール・ジャパン化されて海外へ遊びに出かけ、日本贔屓の外国人を増やすだろうと考えています。

7. 人を幸せにするプラットフォーム
最期に大事なテーマとして、日本型プラットフォームが人を幸福にする基盤として存在する可能性が高まっています。日本国は庶民の生活活性化力が強く、クール・ジャパンが益々盛んになると思われます。プラットフォームが人の幸せに貢献できることを筆者も大きく望んでいます。

以上

ページトップに戻る