組織アジリティSIGコーナー
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「品質を組み込むPMBOK®8」

小原 由紀夫 [プロフィール] : 9月号

 PMBOK®第8版の原理原則に「プロセスと成果物に品質を組み込む」が示されている。

図3-4.プロセスと成果物に品質を組み込むPMBOK@第8版デジタル先行版
図3-4. プロセスと成果物に品質を組み込むPMBOK®第8版デジタル先行版
また、「継続的改善マインドセットを採用することにより、プロセスは最適化され、効率性が向上するとともに、組織全体の成熟度の成長が促進される」と示されている。
 プロジェクトマネジメントにおける「品質を組み込む」について日本で生まれたリーン(トヨタ生産方式)を踏まえて述べる。

1. 品質の組み込み対象
 原理原則は「プロセスと成果物に品質を組み込む」なので、対象は以下の2つである。
  • 成果物 : 受け入れ基準を満たすことを焦点として品質を組み込む
  • プロセス : プロジェクトの目的を満たし、以下3点と整合した成果を確保する。
  1. ① ステークホルダーの期待を満たす
  2. ② プロジェクトやプロダクトの要求事項を満たす
  3. ③ できる限り適切で効果的にする

2. プロジェクトの独自性と組織
 プロジェクトには外部からの調達を含めて組織の多様な分野から知識が提供される。プロジェクトには独自性があるため、提供された知識をそのまま適用しただけでは受け入れ基準を満たせないこと、または、非効率なプロセスになってしまうことが発生する。これらの事象に対して既存のプロセスを「徹底する」対策は、プロセスに品質を組み込んでいない。プロセスに品質を組み込むためには既存のプロセスを成長させる対策が必要になる。また、プロジェクト開始時に全てを把握できないので、継続的改善の実践が必要になる。
 プロジェクト期間中に継続的改善されたプロセスは、プロジェクト終結時に教訓として組織に提供される。人材や知財を提供した組織は、得られた教訓により組織の成熟度の成長を促進できることを期待している。

3. 継続的改善とリーン(トヨタ生産方式)
 継続的改善(Continuous Improvement)はカイゼンの訳語であり、トヨタ生産方式導入当時は該当する単語がないので、Kaizenが使われていた。つまり、英語圏の人々はカイゼンとImprovement(改善)の差異を理解していた。日本語圏においても継続的改善(Continuous Improvement)と訳されたカイゼンと改善の差異について理解する必要がある。改善として「既存のプロセスを徹底する」対策は精神論であり、徹底すれば効果を実現できたプロセスを故意に徹底しなかった告白と考えることができる。カイゼンでは、人間の弱さを素直に認めて徹底できなかった要因を探して除去するため行動を既存のプロセスに組み込むことである。さらに、品質を組み込んだプロセスを実施する時の人間の弱さの影響を除去するために管理者と組織運営者の行動をプロセスに組み込む。この分析をするために、「なぜなぜ5回」があり、「1つのなぜを始めると、最後は、企業の利益と働きがいの本質について自問自答することになる(「トヨタ生産方式」大野耐一著)」ので、プロジェクトと組織全体が学び、成長することができる。

プロジェクトにおける継続的改善(カイゼン)の実践の教訓は企業理念の実現に有効

 プロジェクトにおける継続的改善(カイゼン)の実践の教訓は企業理念の実現に有効であり、組織全体の成熟度向上が促進される。

 上記の階層毎に動詞を変えて利益と働きがいの本質を自問自答する「なぜなぜ5回」について10月23日(金)にPMAJ特別企画講座 「実践!なぜなぜ5回(階)」を開催します。
また、PMシンポジウム2026において「B-10 アジャイルをチームから組織へ ~日本の特性を生かす組織アジリティの向上~」を動画配信します。
 さらに、PMAJ組織アジリティSIGでは、組織として変化への俊敏性である「組織アジリティ」とDX推進に必須な風土・組織への重要な取り組みを研究しています。ご興味のある方は、一緒に研究しましょう。
~「なぜなぜ5回」についての参考情報~
「実践!なぜなぜ5回」 ~目から鱗が落ちて隠れた原因が見えた~
「失敗から学ぶ」
「失敗を追体験する質問方法」
「『徹底する』対策リスクへの戦略」

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