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ITベンチマーキングSIGの活動のご紹介

ITベンチマーキングSIG代表 富士通株式会社 久保野 邦子 [プロフィール] :2月号

 このコーナーでは、「ITベンチマーキングSIG(略称 IT-SIG)」の活動内容とメンバーの思いをご紹介しています。今回は、年の初めの恒例として、SIGの活動をまとめてご紹介します。

 IT-SIGでは、PMの実務経験と見識・知見のある方々がリーダーとなって、テーマごとにWGを組んで研究活動をしています。WGのリーダーをメンバーとする「コアメンバー会議」と称するステアリング会議があります。ここで、SIGの方向性の議論、それぞれのWGの活動状況や成果の共有、成果物のレビュー、新たなテーマの検討などをしています。SIGを立上げた時から2ヶ月ごとに休まず開催してきました。
 この「コアメンバー会議」が昨年9月、50回目を迎えました。当日は横浜のCIJさんで定例会議を行い、会議終了後、全員で中華街に繰り出して50回目の節目を祝いました。まさに「継続は力なり」を実感しています。

 今年もSIGの趣旨である 『IT分野に関わりのある企業・組織に共通なPMに関わる問題・課題をとりあげて、広く社会に提言し解決して、IT産業の発展とPMの向上に貢献する!』 をめざして活動をしていきたいと思います。

 活動中のWGに参加したい、新たなテーマでWGを組んで活動してみたい、という熱意と意欲をお持ちの方、是非ご参加ください。SIGの趣旨に賛同してくださる方なら、どなたでも大歓迎です。
 自分のPM経験や知見を広く世の中に役立てたい、プロマネスキルのレベルアップを図りたい、いろいろな価値観の人たちと意見を交換して切磋琢磨したい、新たな気づきを得たい、仲間を作りたい、などなど目的はいろいろあるかと思います。肩肘張らずに自由に意見交換ができる場が待っています。特に、多くの若い方々(自認もOK)に、ご参加いただきたいと思います。
 WG活動の成果物である出版物やセミナーも、是非、ご活用ください。

★ WGのご紹介
 IT-SIGの研究領域は、超上流および運用を含めたライフサイクル全般です。テーマはPMの仕組み、技術、人材育成など様々です。PM領域だけでなく、エンジニアリング領域も対象としています。

 現在、次の6テーマのWGが活動中です。(【】内はWGのリーダー)

1.IT分野でのP2M活用研究  【(株)ゆうちょ銀行 近藤 洋司】
 IT分野ではプロジェクトマネジメントが普及、定着しつつありますが、一方では、プロジェクトの高度化、複雑化、更には経営と直結した案件も取り扱うようになり、従来のプロジェクトマネジメント手法だけでは限界を感じるようになってきたのではないでしょうか。依頼者側とベンダー側とを一体的にマネジメントし、最適解(機能、納期、コスト、成果)を求める仕組み・やり方が求められつつあります。
本WGは、P2MがIT分野でのこれら要求に応えられるのか、また、応えるためにはどうしたら良いかを研究しています。その研究状況をPMシンポジウム2010でご報告しています。

2.TPS(トヨタ生産方式)に学ぶPM  【(株)富士通アドバンストエンジニアリング 小原 由紀夫】
 トヨタ生産方式(以下、TPS)について、カンバンなどのツールが有名です。本WGでは、ツールを適用する背景にある人間系スキル(人間性尊重+知恵と改善)と共有を焦点に、ITプロジェクトへの活用を研究しています。
 これまでの研究成果として、ITプロジェクトのためのなぜなぜ5回(階)をPMシンポジウムなどで発表してきました。
今後は、ITプロジェクトにおける共有の概念が、TPSツール適用の有効性に寄与することを明確にし、プロジェクトメンバーの判断基準の共有化形成に、人間系スキルの向上が密接に関係することを研究致します。
 そして、価値を共有して、現場と組織が共に幸せになるための提言をまとめていきます。

3.育成  【富士通(株) 木野 高史】
 本WGではPMの実戦力を育成する手法に焦点をあて研究を進めています。
PMBOKの普及に伴い、それらに基づくPMの基礎教育(セオリの教育)は整備が進んできました。しかし実際のプロジェクトではそれだけではPMとして成功することは難しい。そこで必要な実戦力を身につけていくためにはPM経験を積んでいくしかないというのが、これまでの常識的な考え方であり、一面の真理でもあろう。しかし現在のプロジェクトの現場はそのように経験を積む場が与えられているのであろうか? また場があったとしても、リーダー自身が若手に経験させ育てる余裕があるのだろうか? そのジレンマを打開するため本WGでは実プロジェクトに基づいてPMの実戦力を育成する方策を研究し、方向性を見出したいと考えています。
ところで、このような育成策は現在でも各企業において、いろいろなやり方が試みられています。しかし、それぞれのやり方は確固とした方法論に基づいているということではなく、手探りの中で進めているということが現状ではないかと考えています。このような点にも光を当て何らかの道標になるような成果があげられればと考えています。
現在、研究成果の執筆まとめに入っています。

4.ITプロジェクト・マネジャーの成功条件  【(株)ピーエム・アラインメント 佐藤 義男】
当WGは、日本におけるITプロジェクト・マネジャーの成功条件をまとめるために、2006年11月より活動しています。
2007年4月にはアンケート調査(プロジェクト・マネジャー、プロジェクトリーダー、上位管理者)を実施し、成功するプロジェクト・マネジャー像を探りました。 昨年、追加の「ヒヤリング調査まとめ」、「ITプロジェクト・マネジャーの備えるべきコンピテンシー」、「人材育成法」を含む報告書をまとめました。
現在、IT企業のPM力強化に資するために、研究成果を活用したセミナーを開催しています。

5.PS研究会「MM4タスク」  【富士通(株) 松田 浩一】
かつて、作業の勢いや、仕事のやりがいといった動作と心の持ちようは、企業文化に支えられていた面がありました。昨今、プロジェクト型の作業が増えた結果、作業者ひとりひとりが単純稼動量として見積もられ、計画した作業を計画した通りに消化する部品と見られる傾向があります。このような職場では作業者個々のベクトルが合わず、気持ちが離れ、メンバーの力が発揮されないため、プロジェクトマネジャーは計画通りに進まない結果に悩むことになります。
PS研究会ではチーム形成の重要性に着目し、プロジェクトを牽引する理想的なリーダーを育成するためのOJTに代わるトップガン育成メニューを研究しています。また、MM4タスクはPS研究会のサブWGとしてプロジェクトメンバー個々のモチベーションをPS(Partner・Satisfaction)として定義し、アンケートによって測定することと、測定したPSを向上させることでプロジェクトの円滑な運営を目指します。
これまでの研究成果を活用した講演会やセミナーを開催しています。

6.リスクマネジメント 【元新日鉄ソリューションズ(株) 浅田 誠】
 2004年秋にスタートした当WGは、活動成果として「ITプロジェクト 実践リスクマネジメント・ガイドブック」を2007年夏に刊行しました。
その後その活用の普及を進めておりますが、より使いやすくする為の補足版として2008年秋から、メンバー6〜7名で「ITプロジェクト 実践リスクマネジメント・ガイドブック−Ⅱ 〜疑問に答える〜」の作成に取り組み、昨年秋に刊行しました。第1版と同様、大いに活用していただきたいと思います。普及のためのセミナーも開催しています。

 次のWGは、活動は既に終了していますが、その研究成果は出版物やセミナーになっています。
   『RFPベンチマーク』  【富士通(株) 梅村 良】
   『ヒューマン・コミュニケーションプロトコル』  【元富士通(株) 板倉 稔】
   『PMナレッジ』  【日本NCR(株) 山本 哲也】

★ WG活動の成果物
 WGでは研究成果を出版物にして、広く関係者が活用できるようにしています。また、例会、国内外のシンポジウムでの発表や「IT-SIG特別講座」のセミナーなどを通して、広く世の中に普及を図っています。
 出版物は、PMAJ事務局から入手可能です。セミナーの内容および開催日時は、PMAJホームページの「セミナー開催案内」をご覧ください。

 出版物
   『RFPベンチマーク報告書 −ITシステム構築に関するRFPの実態と改善提案−』
   『SEのための ヒューマン・コミュニケーション技術とコミュニケーション・プロトコル』『参考資料集』
   『ITプロジェクト実践リスクマネジメント・ガイドブック』
   『ITプロジェクト?? 実践リスクマネジメント・ガイドブック ‐ II 〜 疑問に答える 〜』(略称GB-2)

 セミナー (IT-SIG特別講座)
   『PM技術とヒューマン・コミュニケーション』
   『ITプロジェクト実践リスクマネジメント』
   『ITプロジェクト・マネジャーの成功条件』

  IT-SIG,内容にご意見ある方、参加申し込みされたい方は こちらまでメールください。歓迎します。

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