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IT技術者と食事法

(社)日本技術士会 川畑 真一:10月号

 ITの分野を含め科学技術で中国,韓国とインドが力をつけています。
 日本は負けてしまうのでしょうか?

 私は負けないと考えています。理由は食事法です。
 日本の食事はご飯とおかずを交互に口に入れ、口の中で混ぜて味を楽しみ?ながら食べる「口中調味」という方法です。
 「口中調味」でご飯とおかずを交互に口に入れるためにはご飯の残量とおかずの残量を計り,かつ,味が単調にならないように,おかずはあれを食べ,これを食べと考えながら食べています。日本人の食事法は和洋中にかかわらず三度の食事を考えながら食べているのです。
 天丼やカツ丼などの丼ものも表面から順番に食べません。具だけ食べるとたれのかかったご飯だけが残るので,普通は手前から鉛直方向に,具を食べ,具の下のご飯を食べ,と繰り返して食べています。その間,添えられた漬物で味覚をリフレッシュします。早い安いの牛丼ですら紅しょうがを載せて味の違いを作り出し,牛肉を食べる,ご飯を食べる,紅しょうがを食べると無意識に順番を考えながら食べています。皆さんも安い鰻丼を頼んだら鰻のかけらがご飯の上に数個載っている丼で,直ぐに鰻がなくなり,甘辛いたれのかかったご飯ばかり残って閉口した経験はありませんか?

 さて,ライバルはどうでしょうか?
 インドではカレーを朝,昼,晩と毎食食べます。お弁当もカレーが漏らないようにした弁当箱?で運びます。毎食カレーかと思われるでしょうが,日本語にはカレーという言葉しかないので「カレーを食べている」と表現するしかなく,必ずしも同じ献立を食べているのではありません。インドの人は手で食べます。楽しく会話をしながら食べますが,何故か会話の最中に右手でカレーとご飯をひたすら混ぜ続けます。こうなると食事の後半は同じ味を食べ続けることになります。もちろん,福神漬けもラッキョウもありません。
 日本人の大多数はカレーを食べるとき,ご飯とカレーの量を一匙ごとに変えながらが味の違いを楽しみ,カレー味に慣れてくると福神漬け,ラッキョウ等で味をリフレッシュすることを考えながら食べているのではないでしょうか?
 韓国はどうでしょうか?韓国の食事の仕方は日本によく似ていますが,全く違う驚くべき食べ方があります。日本の焼肉屋にも普及したビビンバです。ビビンバの語源は「混ぜる」の意だと聞いたことがありますが,きれいに盛られたナムル,錦糸卵,そぼろ肉などを食べる前に匙で掻き回して,同じ味にしてから食べるのだそうです。私は焼肉屋で食事のときはビビンバを食べることが多かったのですが,掻き回さずナムルとご飯,錦糸卵とご飯,そぼろ肉とご飯と次は何を味わおうかと考えながら食べていました。韓国の人からみみっちい変な食べ方と見えたかも知れません。
 そして中国にはチャーハンがあります。ご飯と具材を混ぜ合わせて同じ味にします。日本ではチャーハンを頼むと必ずと言っていいほどザーサイの漬物が添えられます。味をリフレッシュするためです。中国でもチャーハンにはザーサイの漬物が付くのか?寡聞にして知りません。
 日本にだってちらし寿司があるではないかと異論もありましょうが,ちらし寿司の上には海苔の他,錦糸卵,絹さやなどを載せ,それらがごちゃごちゃに混ざらないよう考えながら食べているのではないでしょうか?

 皆様,お分かりでしょう,日本人は三度の食事に頭脳の体操をしながら食べているのです。混ぜ合わせて同じ味にして食べるのであれば頭脳をあまり使いません。
 私は日本人が三度の食事を考えながら摂る限り,頭脳の鍛錬をしている日本人は諸外国の人に負けないと考えています。三度の食事をきちんと摂って海外との競争に勝ち抜きましょう。
−以上−

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