今月のひとこと
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 P2M活用事例集 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :7月号

 先月は暑い日が続いたせいか、せっかく開いたアジサイの花もあっという間にしおれてしまいました。それでも、夏は始まったばかりです。太平洋高気圧の動きやら台風の発生頻度など、例年と異なる動きが出そうだという予報も聞かれます。天気予報というものは100%当たるということは決してないのですが、当たることもあるのでつい頼ってしまいます。天気予報を取り上げたTV番組の中で、欧州、米国、日本のスーパーコンピュータが出した長期予報を比較するというコーナがありましたが、見事にバラバラでした。長期天気予報の精度は、プロジェクトの成功確率とどっこいだと思ってみると、ストレスをあまり感じずにすむかもしれませんね。

 PMAJ20周年企画の一環として、「P2Mを仕事に活かしている方々の声」を集めた活用事例集を発刊することになりました。同様の企画は2009年に実施していますので、16年ぶりということになりますが、事例数を倍にして、9月開催のPMシンポジウムの場で披露する予定です。すでに、先月の中程までに全体の半分くらいの原稿が集まっています。期待してお待ちいただきたいと思います。
 内容については、発刊された事例集を新鮮な気持ちで読んでいただきたいので控えさせていただきますが、予告代わりに編集子の感想をお伝えします。
 まず、2009年版に比べてP2M適用範囲の広がっていることに驚きました。集まっている事例の数はまだ、2009年版と同じ程度なのですが、様々な分野に話が広がっています。PMシンポジウムやPMセミナー、月例講演会などでも実践事例を多く取り上げていますが、P2Mの適用事例はあまり多くはありませんでした。「実体として」のプログラムマネジメントやプロジェクトマネジメントが行われているケースを語っていただくケースが殆どです。事例集の場合は、P2Mの実践事例そのものです。執筆者全員がP2M関係者(PMSやPMRといったP2M資格者、P2M研究者、P2M指導者といった方々)です。P2M標準ガイドブック初版が2001年に刊行されて四半世紀が経ち、様々な分野に拡がって活用されていることがよく分かります。
 続いて思うのは、P2Mを、仕事を進めるためのツールとして使うだけでなく、人生を過ごすうえでの指針というか教養というかご自身の思想の一部に取り込んでいるといった感じの方が見受けられることです。確かに四半世紀も経っているので、かつてはプロジェクトの最前線で活躍されていた方が、経営を担う立場になっているということもあります。経営陣の一角となって、To Beを見やりながら、様々なことを考慮するという習慣が身についているというのは、P2Mを実践された方にとっては不思議なことではありません。PMAJでは従来から「若い頃に建設やIT等の分野で専門技術を駆使して活躍された方が年齢を重ねて、さらに高度な専門家の道を進もうと、組織を束ねる立場になろうと、いずれの道を選んでもP2Mを身に着けておけば必ず役に立つ」といった趣旨の説明をしてきましたが、それが事例集上で実証されていると思いました。
 事例集は、1話が1千文字以内となっていますので、より詳しい話を聞きたいという声が大きければ、セミナー等での講演も企画したいと思います。そちらもご期待ください。
以上

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