理事長コーナー
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2025年の抱負

PMAJ 理事長 加藤 亨 [プロフィール] :1月号

  あけましておめでとうございます。今年もPMAJをよろしくお願いします。
 今年は巳年(蛇年)。蛇は皮を脱ぎ捨て新たな姿に生まれ変わることから、巳年は新しい挑戦や変化に対して前向きな姿勢を示す年ともいわれています。まさに、結成20周年を迎え、また、P2M標準ガイドブック改訂4版を発行し、新たに生まれ変わろうとしているPMAJを象徴する年となる、そんな予感がします。
 2025年と言えば、まず頭に浮かぶのが「2025年の崖」でしょうか。これは、経済産業省の「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」で使われた言葉であることは、多くのビジネスパーソンの記憶にまだ残っていると思います。
 念のため、ポイントを簡単に紹介しておきますと、「DXによりビジネスをどう変えるかという課題に取り組む前に、これまでの既存システムの老朽化・複雑化・ブラックボックス化を解決せずにDXを進めても、データの利活用・連携が限定的であるため、最大で12兆円/年の損失を被る。」という内容でした。
 今年、その2025年を迎えますが、果たして「2025年の崖」は回避できたのでしょうか?最近、この言葉を聞くことも少なくなりましたので、もしかすると多くの企業で回避されているのかもしれません。
 ただ、スイスのIMD(国際経営開発研究所)が発表する「世界競争力年鑑」の評価では、2024年の日本の国際競争力は調査対象国67カ国中38位であり、ここ数年、継続して低下傾向を示していることから推察すると、その効果はまだ出ていないという事なのかもしれません。
 私自身はどちらかというと気が短いので、既存の課題解決をするよりも、「DXによりビジネスをどう変えるか」という課題に取り組む方が先決なのではないかと思ってしまいます。
 2025年は、言うまでもなく21世紀になってから四半世紀が過ぎたという事ですが、その21世紀の最初の年、2001年にP2M標準ガイドブックの初版が発行されました。
 その冒頭に「日本企業は『ものづくり』中心の発想から転換して、『仕組みづくり』による再生に注力しなければならない」と警鐘を鳴らしていることは、このコーナーでも何回か紹介しています。また、「現代社会の複雑な課題はプログラムに融合してこそ解決できる」との思想から、プロジェクトマネジメントとプログラムマネジメントを統合した、P2M体系を確立し、そのための「ひとづくり」の教育と専門資格認定制度をも含めて、日本再生のための「しくみ」を準備しました。それを受け継いだのが現在のPMAJになります。
 私がPMAJの理事長に就任したのは2019年の7月。そしてその翌年の2020年に、COVID-19によるパンデミックが始まりました。その後の数年間はその対応に追われた期間となりますが、ようやくニューノーマルの環境も落ち着き、PMAJ結成20周年の節目を迎え、P2M標準ガイドブック改訂4版も出版されました。巳年という「新たに生まれ変わる年」を迎え、さらには私自身もまた年男として変化を進めて行きたいと思っています。さまざまなめぐりあわせの重なる2025の年頭に当たり、改めて世界から必要とされるPMAJとなるように新たなビジネスモデルを定義し、体制を整備し、サステナブルなPMAJを確立する年としていきたいと思っています。
 今年も、みなさまのご指導、ご支援、そしてご協力をよろしくお願い致します。

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