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「エンタテイメント論」(200)

川勝 良昭 Yoshiaki Kawakatsu [プロフィール] :1月号

エンタテイメント論


第 2 部 エンタテイメント論の本質

7 本質
●前々号、前号、本号での解説
 前々号では、①監督官庁がセガ社のエンタメ施設への風俗営業法適用を除外する事を認めない事、②認めない限り、セガ式テーマパーク事業は100%失敗する事、③監督官庁に適用除外を認めて貰う方法を幾ら考えても思い付かず、苦悩・苦闘した事、④しかし頑張り抜いた末、或る日、「閃き」と「直観」が沸き、適用除外を認めざるを得ない方法を見付けた事などを述べた。

 前号では、筆者が2か月間、無投稿した事を謝罪し、其の理由を述べた。その理由とは、筆者がコロナに感染し、重度の肺炎を患い、死の危機に直面。しかし幸運にも奇跡的生還を果たす事が出来た事を述べた。

 本号では、「セガ式テーマパークを如何に作ったか?」を解説すると前号の最後の文で予告したので、其の内容を順を追って述べる積りであった。しかしそうする前に是非、述べたい事がある。もし此の事が読者の参考になれば大変幸せである。

●順を追って述べる前に解説したいこと:「その1」
1 多くの企業人(社長&社員)の問題解決や課題創造を阻む「深刻な問題」

 日本の多くの企業人は、業種、業態、規模などを問わず、自社の既存事業の改善や新規事業の達成(実現&成功)のため日々挑戦している。

 彼等は此の挑戦過程で直面する問題解決や課題創造を阻む「深刻な事態」に直面した時、どの様に対処してきたのだろうか? また現在、どの様に対処しているのだろうか? 大変気になる。此の機会に本稿の読者から其の対処法を是非、聞かせて欲しい。

出典:深刻な問題
出典:深刻な問題
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 筆者の場合、解決すべき問題や創造すべき課題の特質、種類、形態などに依って「最適な対処法」を探し、選択し、活用して対処している。また筆者が「考案した対処法(夢工学など)」でも対処している。

 特に風俗営業法適用除外の問題解決には苦戦した。公開されているあらゆる対処法を活用する一方、筆者が約30年前に考案した「夢工学」や夢工学から派生した「夢工学式実践論」も徹底的に活用した。それでも解決策が見付からず苦悩・苦闘した。この経験から分かった事は、「対処法」を活用するだけでは問題は解決しないと云う事であった。半年~1年又はそれ以上、苦悩・苦闘しながら考え抜くと云う「知的努力」が必要であったと云う事である。

2 「在り方(Being)」と「やり方(Doing)」
 さて順を追って解説する前に解説したい事とは、筆者が上記の様々な対処法の活用とは別に、昔から実践してきた「或る事」である。「或る事」とは、「在り方(Being)」と「やり方(Doing)」の事である。筆者は此の事を実践する事で問題解決や課題創造の失敗を防ぎ、成功の確率を大きく高めてきた。また風俗営業法適用の除外方法を考える時にも役立った(後述)。

 何故、筆者は此の事を実践する様になったのか?昔、筆者の某友人が涙ながらに筆者に語った事がある。其れは①彼の父が経営に大失敗をした事、②彼の父の経営の「やり方」は正しかったが、「在り方」を間違えたと云う事だった。筆者は此の実話を聞いた時から「やり方」だけでなく、「在り方」を最も重視する様になった。

 「在り方」とは、言うまでもなく、「基本的考え方」や「方向性(位置性)」を云う。「夢(理念、目的、好きな事、やりたい事など)」や「価値観」などが「在り方」を背後で支えている。「やり方」とは、「具体的な方法論」を云う。実践的、効果的な問題解決や課題創造の方法は、一にも二にも「優れた発想(アイデア)」に依って生み出される。

 日本の多くの企業人は、問題解決や課題創造のための「やり方」をどうするか?此の事を重視し、懸命になって探し、実践する。一方「在り方」をどうするか?此の事を軽視し、懸命になって探さず、実践しない。

 また「在り方」を重視し、実践する場合であっても、「在り方」の内容を抽象的にしか捉えず、具体性、現実性、実態性等が欠ける場合が極めて多い。一方「やり方」を重視し、実践する場合、具体性、現実性、実態性等が十分ある。しかし活用する「やり方」の本質、功罪、問題点などを理論的に解析し、評価する事が欠ける場合が極めて多い。

 在り方への軽視とやり方への重視と云う「アンバランス」を是正しないと、経営(事業プロジェクトを含む)の失敗を防ぎ、成功の確率を高める事は出来ない。

出典:アンバランス
出典:アンバランス
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3 「氷山」に例えられる「在り方」と「やり方」
 在り方とやり方が「氷山」に例えられる事が実に多い。海水面下の目に見えない巨大な「氷の塊」を「在り方」と云い、海水面上の目に見える美しい「氷の山」を「やり方」と云う。筆者も本稿で以前、此の例え方をした様に記憶する。

出典:氷山

4 「大昔の大海での航海」に例えた「在り方」と「やり方」
 今回は、より分り易く解説するため「氷山」ではなく、「六分儀」と「羅針盤」に依る「大昔の大海での航海」に例えた。現在は、周知の通り、大海での航海は人工衛星等からの電波情報で極めて正確に行われている。しかし両者共に「航海の基本論」は同じである。

 大昔の大海の航海に於いて「六分儀」は自分の現在の「位置性」を知らしめる。「羅針盤」は自分が到達したい場所への「方向性」を知らしめる。従って同航海の「在り方」とは、「六分儀」と「羅針盤」そのものであると言い換えられる。「やり方」とは、自分が到達したい目的地に自分を運ぶ「方法」を意味するので「船」そのものにあると言い換えられる。

出典:六分儀 羅針盤
出典:六分儀:wikipedia.org/wiki/selectedIndex=0&ajaxserp
:羅針盤:wikipedia.org/Compass-IMG_6031.JPG
出典:帆船
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 筆者は「在り方」と「やり方」を共に重視する。何故なら夫々が役割を分担し、相俟って目的を達成させ、成功を遂げるからだ。しかし「最も重視される事は何か?」と問われれば、其れは「在り方」である。何故なら事業の在り方を筆者の某友人の父が間違えて事業で失敗したためである。また大海での航海で自分の位置を見誤り、進むべき方向を間違えば、船はとんでもない場所に自分を運ぶ事になるためである。

●順を追って述べる前に解説したいこと:「その2」
1 筆者の幸運と強運に関わる「経営成功の経験知」

 筆者は日本と海外の多くの企業人から要請を受け、「経営コンサル&経営顧問(アドバイザー)」として起用され、様々な経営支援指導を長年に実施してきた。更に臨時又は緊急の要請を受けた各種の経営相談にも長年対応してきた。その結果、筆者は経営(事業プロジェクト等を含む)に関する極めて貴重な「経験知」を数多く体得する事が出来た。彼等が要請と云う「幸運」を筆者にもたらしてくれたお陰である。深く感謝している。

 また前号で述べた通り、筆者はコロナ感染と重度の肺炎を患った。ICU医師団と看護師達は、献身的な救命努力で筆者を死の危機から脱出させてくれた。心から感謝している。彼等は筆者の事を「奇跡的生還」であり、「強運の持ち主」と噂した。言い換えれば、救命治療を開始した時からヤバイと評価していたからだろう。

 前号で書かなかった事がある。其れは、奇跡的生還の強運は「夢工学」がもたらしたものであると云う事である。筆者は①ICUのベッドで「夢工学」を構築した時の頃の事を思い出し、その教えを徹底的に吟味し、咀嚼した。②其の結果、死から脱出し、生還する「夢」を描き、必ず此の夢は実現すると信じる事が出来た。③信じた事で「死への恐怖」が希薄化された。④此の時を境に症状が少しずつ改善されてきたのである。

 さて筆者の幸運と強運は読者に分け与える事はできない。しかし筆者の幸運と強運に関わる「経営成功の経験知」なら与える事が出来る。紙面の制約からほんの一部であるが紹介する。

 其れは、①筆者の奇跡的生還をもたらした「夢工学(夢工学式実践論を含む)」を体得し、経営に活用する事、②経営の「在り方(基本コンセプトと方向性・位置性)」を最も重視し、実践する事、③経営のマネジメントは可能な限り部下に任せる「やり方」を実践する事、④部下のマネジメントの失敗の責任は全て自ら負う「やり方」も実践する事である。

2 夢工学(夢工学式実践論を含む)を体得し、経営に活用する事
 夢工学(夢工学式実践論を含む)の内容は、本稿で過去に何度か解説している。しかし紙面の余裕があっても簡単に解説出来ない。申し訳ないが、夢工学の専門書やWEB情報などを基に 体得し、実行して欲しい。

 なお読者がPMAJ事務局を通じて筆者に連絡すれば、夢工学(夢工学式実践論を含む)に関する資料を送る一方、夢工学の講演、研修、講義を対面会議又はZOOM会議で有料又は無料で実施する。

3 経営の在り方(基本コンセプトと方向性・位置性)を最も重視し、実践する事
 経営の「在り方」とは、①挑戦する経営の「基本的考え方(基本コンセプト)」を具体的に明らかにする事、②今後の「方向性(位置性)」を見誤らず、具体的に示す事を云う。此の内容は上記の通り、一応解説したのでこれ以上詳しく説明しない。

出典:経営の基本コンセプト、方向性

4 経営のマネジメントを可能な限り部下に任せる「やり方」を実践する事(エンパワメント)
4-1 「エンパワメント(権限移譲&付与)」の定義

 此れは、社長が経営の目標を達成するため部下である組織のメンバーに経営の権限の一部を移譲・付与し、自律的に行動する力を与える事を云う。

出典:権限移譲
出典:権限移譲
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4-2 社長一人で経営する事は不可能。そうする為には「エンパワメント」は必須
 小企業でない限り社長一人で全ての経営行為をする事は不可能である。社長が全て意思決定をしたら、部下は思考停止し、社長の判断を仰ぐ受け身スタイルになる。また社長自身が自分自身のための時間を失う。

 従って自分が信じる人物を選定し、経営のマネジメントに関する権限を可能な限り、部下に委譲・付与するエンパワメントは重要且つ必要不可欠である。

 しかしエンパワメントを一切せず、全て自分で意思決定し、実行する独裁的ワンマン経営に依って自社の事業を成功させた人物は、日本や海外に数多くいる。何故、その様な人物が成功したのか?その理由は、経営の「在り方」である経営の基本コンセプトと方向性が時代の潮流と合致した為、部下に自分の命令を100%従わせる「やり方」が出来た為などである。

 しかし独裁的ワンマン経営者が病気、老化、反社会的行動(違法行為等)に依って社長の座を退くと、当該企業はみるみるうちに傾き、最悪の場合、倒産や消滅をする。此の事実を多くの経営史が証明している。

 独裁的ワンマン経営者が持つ最大の弱点の1つが「裸の王様」になる事である。自分の気に入った部下ばかりに高い地位を与え、重要な仕事を命じる。一方自分の意見に反論したり、都合の悪い事実でも敢えて報告し、対処法を提案して来る部下を嫌い、遠ざけ、切り捨てる。その結果、当該経営者は自分や自社に不都合、不利益、害となる社内情報も、社外情報も知らない「裸のバカ者」となる。

 余談であるが、周知の事でもあるが、以上の事は「経営の世界」だけで起る事ではない。「政治の世界」でも、「国家元首の世界」でも起っている。中国の習近平、ロシアのプーチン、北朝鮮の金正日などは「裸の王様」だ。しかし彼等は超用心深く、誰も信じない。顕在的又は潜在的な抵抗者を巧妙な極秘の殺処分をしながら生き抜いている。

出典:裸の王様
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4-3 スピーディな意思決定が求められる時代に対応する為には「エンパワメント」は必須
 多くの企業でのリーダーシップ・スタイルは「命令管理型」が主流。命令する側と命令を受け取る側は明確に分かれ、権限と責任は命令側に集中。

 しかしビジネスを取り巻く環境の変化が激しく、スピーディな意思決定とアクションが求められる今の時代、社長が全ての案件や問題などを主体的に関わることは避けるべきである。思い切って部下に任せるエンパワメントは必須である。何故なら社長は自分の時間を確保し、自己研鑽する一方、企業の「在り方」を探究し、実践する必要性があるからだ。

4-4 顧客満足度の向上の為には「エンパワメント」は必須
 現場に近い社員にエンパワメントを付与することで顧客の満足度が向上する事を多くの企業人は知るべきである。例えばクレームの顧客がいた場合、顧客と直接接点のある社員がエンパワメントの権限を持っていると、スピーディに状況を判断し、クレームの解決策を考え、対応できる。此の事で顧客満足度を向上させられるからだ。

4-5 リーダー人材の育成とモチベーション向上の為めには「エンパワメント」は必須
 現在の日本では、優れたリーダー人材が不足する企業が数多くある。エンパワメントする事で、将来のリーダー人材を育成する効果がある。何故なら権限委譲された本人は、自ら考えて取り組み、主体的に行動するため「リーダーとしての能力」が鍛えられるからだ。またエンパワメントされた本人は、期待に応えて頑張ろうと云う「モチベーション」が向上するからだ。なおエンパワメントに「育成」の観点がある為、本人の能力よりも少し背伸びした権限と責任を与える所謂「ストレッチ・ゴール」を設定する事を薦める。

4―6 社長が達成したい「在り方」を共有させる「エンパワメント」が必須
 エンパワメントの対象者を決定したら、社長は対象者に達成したい「在り方(基本的コンセプト、目的となるゴール、その方向)」を共有させる事が重要である。また対象者の業務遂行の「やり方」を尊重する事は更に重要である。また対象者はエンパワメントされた業務の進捗状況を正しく把握し、定期的に社長に報告する事が必要且つ重要である。

 本号で「セガ式テーマパークを如何に作ったか?」を、順を追って述べる積りであった。しかし「順を追って述べる前に解説したいこと」の「その1」と「その2(途中まで)」を述べた。その結果、紙面の制約から約束を果たせなくなった。申し訳ない。次号で約束を果たす。

出典:謝罪
出典:謝罪
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つづく

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