グローバルフォーラム
先号   次号

「グローバルPMへの窓」(第183回)
Green Project Management (つづき)

グローバルPMアナリスト  田中 弘 [プロフィール] :1月号

 このブログを3カ月休稿させていただいた。9月から11月までで4本の海外研修生の研修があり、各研修で、この原稿を書く月末に課題ワークショップを組んであるため、時間がとれないというのが理由であるが、1回休むと休み癖がつくというのも偽らざるとこころである。
 PMAJの(月)例会とオンラインジャーナルは毎月決して休むことなく続いている。つくづく継続は力であると感じる。
 
 休稿の間に行っていたことを散文風に書いてみる。
 
4件の研修のうち、AOTSで実施したPPTP 2週間研修は、私が20年来磨いているPBL (Project-based Learning) 教育法が冴えた最大の舞台で、14ヵ国・27名から編成した4組のPBL演習成果は素晴らしく、クオリティーでは2000年代後半のパリの大学院でのMBAあるいはPM専攻の学生達の成果と並ぶほどの出来であった。PMAJの講師が2週間で教えたコンテンツが見事に反映された嬉しいパフォーマンスであった。このPPTP研修を含めた、今年は、自分としてこれまでで最高の演習成果を引き出せた研修が3件あった。
 
AOTS PPTP 2024 研修研修生一同(2024年10月)
AOTS PPTP 2024 研修研修生一同(2024年10月)
 
 9月の本稿のタイトルが「Green Project Management」であり、海外ではPM界の対象領域のコアがGreen Project Management に移っていると書いたが、この3つの演習成功例では、研修生からGreen Project Management の具体的な提案が出た。
 
 研修が一段落して、今やっているのが、Green Project Management の田中流テキストの作成で、3月に某国のある分野の経営者・部長職が東京に来ててセミナーを行うなかで、最後の2日間の研修を受け持つことになり、そのための準備もかねている。
 
 あとは、スペイン語の勉強、ラテンアメリカの情報収集、ストリートフードの研究である。今遠方への旅行はできないので、オンライン学習であるが。
 
 トワイライト人生になってなぜスペイン語かというと、英語は研修に必要なレベルを、劣化を最小限にして維持しているが、他の外国語では、フランス語、インドネシア語、ポルトガル語、中国語と一応取り組んではみたものの満足するほどのレベルには達せず、結局、20代前半までの筆者の第一外国語であったスペイン語は土台は残っているので、これを復活させて楽しもうという狙いである。現在は、月千円未満の外国語会話オンライン学習サイトがあるし、なによりPCにはAI学習機能があるので、You Tubeのスペイン語のコンテンツはいくらでも手繰り寄せることができる。 研修で、ラテンアメリカの研修生には年に6回くらい会うが、半年くらいスペイン語の勉強をやり直したおかげで、最近は研修生との休み時間の会話も順調にできるようになった。
 
 ラテンアメリカの情報収集では、いろいろ見る中で、特に何人かの大統領の言動をウォッチしている。メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領(左派)、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領(左派)、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領(超右派)などだ。特にメキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は、筆者が見るところ、完全なポートフォリオ・プログラム・プロジェクトマネジメント(3PM)方式で政府運営をしており、毎日、Mañanera del Pueblo と称する朝礼会(プレスコンファレンス)を自ら主催しており、2~3政策テーマごとに、関係閣僚と専門家からの政策内容の説明あるいは達成状況を報告して、質疑応答に応じている。世界にはこのような民主的で透明度の高い政府運営もある。
 
 そして、ストリードフードのオンライン見物が面白い。ストリートフードは屋台、あるいは簡易食堂の提供する安価で地元民が愛する食べ物である。元々食いしん坊でなんでも食べられる筆者は、60年代のペルーと70年代のシンガポールでストリートフードにハマって以来の付き合いである。シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナムの庶民は三食ともに外食が多く、アジアのストリートフードチャンピオンで、多種多様なメニューによだれが出る。
 
 いま毎日見ているのはラテンアメリカのストリートフード紹介ビデオで、アルゼンチン、メキシコ、ペルーが圧倒的に多い。アルゼンチンはAsado あるいはParilla という肉のグリル料理に豊富なバラエティーがある。また、イタリア移民が多い国であるので、地方ごとに特色のあるピザ系、パスタ系フードも素晴らしい。そして、エンパナーダ(Empanada)という世界的に有名なジューシーなミートパイもある。メキシコはなんでもトルティーヤ(トウモロコシをすりつぶした粉を練り、薄く伸ばして焼いた主食)でこれに肉や野菜、サルサソースをのせた国民食、タコスの感がある。ちょっと単調だ。
 
 ペルー料理は一番繊細であり、リマの有名レストランは何度か美食世界一アワードを受けたことがある。調味料、ソース、料理法が複雑で、元々繊細であったインカ帝国時代の料理法にスペイン風(クレオール料理)、アジア風(中華風、日本風)、アフリカ風が混合してできた料理である。ストリートフードの代表格はセビチェ(白身魚と玉ねぎなどのマリネ)、アンティクーチョ(マリネした牛心臓の串焼き)であり、学生時代にリマに住んでいたときの筆者のソウルフードであった。日本には出稼ぎ(スペイン語でもDekasegi)のペルー人が多く住む地区もあり、わが町田市にも3件くらいペルー料理店がある。
 
アンティクーチョ 出典:Wikipedia
アンティクーチョ 出典:Wikipedia
 
 
ページトップに戻る