今月のひとこと
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 P2Mとリスキリング 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :12月号

 今年も秋を素通りして冬になったという感じがします。TVのお天気おじさん・おねえさんたちは、先月の末あたりから平年並みの気温を記録するようになったと報じていますが、数日前までは夏日でしたので気温差が大きすぎます。紅葉が見られるようになったということですが、鮮やかさが今一でなかなか盛り上がれません。サンマの値段が下がってきたというのは朗報ですので、遅い秋を楽しみましょうか。

 PMシンポジウム2024を特集したPMAJジャーナル(11月発刊)には、基調講演と特別講演合せて12本の講演記が載りました。「変革の時代に備える」という大会テーマに沿った聴き応えのある講演が揃い、講演記を読むと、スポーツ報道のような熱気とは異質の静かな感動を覚えます。
 PMシンポジウム直前に発刊した改訂4版P2M標準ガイドブックの改訂委員長当麻哲哉慶応大学大学院教授による特別講演では、改訂のポイントを分かり易く紹介されています。講演の中で当麻教授が推薦されたこともあり、改訂ポイントを図表中心にまとめた小冊子「P2Mの栞」をPMAJのHPからダウンロードされる方が多く、P2Mへの関心の高さを改めて感じています。
 「P2Mを学んで自らのリスキリングに繋げていただこうという」主旨だったかどうか定かではありませんが、特別講演にはリスキリングという言葉がテーマに入っている講演が2つありました。
  1. ○ 「AI時代のリスキリング ~1人ひとりが学際的スキル(IDスキル)を持つ重要性~」
    一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事 後藤 宗明 様
  2. ○ 「リ・スキリングの前に人生のリ・デザインから ~人生100年、豊かに生きるマインドとスキルとは~」
    法政大学 キャリアデザイン学部 教授 廣川 進 様
 2つの講演は、異なる切り口からリスキリングについて講演していただいているのですが、共通するのは「何のためにリスキリングするのか」を明確にすべきという点です。後藤宗明様は、「わが社もDXしろ」と部下に丸投げしている会社を例に挙げ、それではDX研修を何人が受講するといった学習することが目標になるだけで終わると語られました。
 また、リスキリング成功のポイントとして、リスキリング後の行動についても言及されています。例えばデジタル分野のリスキリングを行ったとしても、リスキリング直後は経験もないので活躍の場はなく、リスキリングしただけで終わってしまいます。デジタル分野で活躍することが目標だったはずなので、その関連分野の方々と出会う機会に自分から飛び込んでいかなければならないと強調されました。
 後藤様も廣川様も、リスキリングにP2Mを適用すべきと直接語られた訳ではありませんが、講演記を読み返して、まさにP2Mの適用事例ではないかと思いました。
☆ リスキリングプログラムにおける3Sモデル
  1. ① スキームモデルプロジェクト
    企業における事業戦略あるいは自身のキャリアデザインに基づき、どの分野におけるどのようなリスキリングを行うかの目標を立て、計画する。
  2. ② システムモデルプロジェクト
    計画に沿って、リスキリングを実施する。
  3. ③ サービスモデルプロジェクト
    リスキリングで身に着けたスキルをさらに磨くあるいは活かすための場を探す。
    * 後藤様は新たな人間関係を広げることが有効だと語っています。
以上

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