今月のひとこと
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 気になる本屋さん 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :10月号

 お彼岸を過ぎると、いきなり秋がやってきました。いつもはお彼岸前に満開となる彼岸花(曼殊沙華)がかなり遅れはしましたが漸く咲き始め、朝晩もめっきり涼しくなりました。そんな季節の移ろいを楽しみつつ、10月1日は日本酒の日です。燗酒の気分はもうちょっと先かもしれませんが、例年通り日本酒も楽しみたいと思います。

 この欄で数回ご紹介したことがある、事務所近くの麻布台ヒルズという複合商業施設にある大型書店が気になっていました。先月の初め、P2M標準ガイドブック改訂4版が発刊されましたので、ディスプレイの様子を見がてら覗いてきました。自分が読む本は、書店で手に取ってから買いたいという思いがあるので、近くに大型書店ができたこと自体嬉しかったのです。ガイドブックはこの書店で購入しました。
 平日の昼時というお客さんが少ない時間帯ということもありましたが、他の大型書店に比べて何だか落ちついた雰囲気なのです。平積みにしている本が少なく、大型書店でよく見かける何十冊も重ねて高く積み上げるということもやっていないので、本が静かにしているといった感じです。アメ横(安売りで有名な商店街)では、商品を山積みにしてお客さんの購買意欲を刺激します。大型書店でも、安売りこそしませんが、いつの頃からか売れ筋の本を山積みにして、お客さんの目につきやすいディスプレイをするようになってきました。麻布台ヒルズのこの書店では、そのあたりが違っているようです。店員さんに聞いてみると、京都周辺で店舗展開をしている本屋さんで、50店舗目にして初めて東京(麻布台ヒルズ)に進出してきたとのことです。
 最近は、本離れの傾向が強くなるとともに本を買うだけであればWEB経由という人が増え、廃店する本屋さんが多くなっています。そんな状況下にわざわざ東京に進出してきたというところに興味を惹かれました。本屋さんの名は「大垣書店」といいます。さらに調べれば、10年間で店舗数を2倍に増やしているそうです。
 「地域と人を結ぶ」を基本コンセプトに店舗立地に合わせた店づくりを指向しているとWEB上では紹介されています。最近の書店で流行の有料飲食スペースが組み込まれていました。まだ利用していないので、それが書店の魅力に繋がるのかどうか編集子にはよく分かりません。また、本の配置に何やら工夫があるということです。確かにちょっと戸惑うレイアウトではありました。ギャラリースペースでイベントが行われますが、楽しめるかどうかは参加してみてということでしょうか。目指す方向は、お目当ての本を買うだけの本屋ではなく、そこで快適な時間を過ごせる知的な空間を提供する本屋さんということのようです。それが本屋さんから離れた人々を呼び戻すのか、全く新しい種類の客層を開拓することになるのかは予測できません。京都で当たった方式が東京でも上手くいくのかという野次馬的な楽しみ方もあるかなとは思います。
 なお、この本屋さんが創造する新たな空間のファンになれるかどうかは分かりませんが、本を購入するという実用面では満足しています。ホームページがいたってシンプルで、右上にある在庫検索からP2M標準ガイドブックの在庫を簡単に確認することができました。
以上

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