理事長コーナー
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他団体連携

PMAJ 理事長 加藤 亨 [プロフィール] :5月号

 PMAJの事業計画の基本方針に、毎年「他団体との連携を拡大する」という方針を入れています。この方針の目的は、PMAJのミッションである「PM実践家の育成と企業・団体および自治体等の経営活動におけるPMの普及を図り、わが国産業の国際競争力の強化および活力ある経済社会の発展など、広く公益の増進に寄与する。」を真に実現するのであれば、とても1団体の活動だけでは力不足であり、様々な関連団体が力を合わせ、その特徴を生かして「価値を共創」する必要があると考えているからです。
 その具体的な活動として、私はできる限り多くの関連団体の全体的なイベントに参加するようにしているのですが、4月20日に、国際P2M学会の「2024年度春季研究発表大会」に参加してきました。国際P2M学会は、その名が示す通り、「P2Mの普及」を目指すという点でPMAJと共通の目的を持った学会で、毎年2回の研究発表大会を実施されているとのことでした。
 私は初めての参加ですので、例年のプログラム構成がどうなっていたかは分かりませんが、今年の構成の概要を紹介しますと、トラックが「地域創生・SDGs・ODA」「ビジネスマネジメント」「教育・人材育成」の3つに分かれていて、各トラックで、午前中は5~6件の論文等の発表と質疑、午後はラウンドテーブルという形で、トラックのテーマについて参加者が自由に意見交換をするという内容でした。最後に全トラック共通の基調講演として、千葉工業大学の学事顧問の小宮一仁教授による「教育改革による大学力強化」というご講演があり、その後、懇親会という構成でした。
 私は、2月のオンラインジャーナルで述べたように、「地方創生とプログラムマネジメント」という課題に興味を持っていたので、「地域創生・SDGs・ODA」トラックに通して参加していました。
 参加する前は、「研究発表大会」という名称でしたので、文献調査のような内容が主なのかなと勝手に想定していたのですが、実際には、どの発表もP2Mを実際に社会課題解決に適用し、その有用性についてP2Mのフレームワークの観点から検証するという実務的な内容になっており、今後のP2Mの方向性に多くのヒントを得ることが出来、わたしにとっては、非常に有益な内容の多いすばらしい発表だったと感じました。
 懇親会にも参加させていただき、多くの参加者、発表者、先生方と会話をさせていただきましたが、その場で私が「地方創生とプログラムマネジメント」について興味を持っているという発言をしたところ、「地域活性化未来戦略」という書籍を、共著者の方からご紹介を受けました。この書籍は「地域活性学会」の有志の方が出版されたものだと知り、さっそく拝読してみましたが、地域活性化の課題が網羅的にまとめられており、多くの示唆を受けることが出来ました。それとともに、「地方創生とプログラムマネジメント」という観点について、同じように重要性を認識し、活発に活動されている学会の存在を知ることが出来、非常に心強く感じました。
 「山高ければ、裾野広し」という言葉がありますが、今回の経験を通して、改めて、世の中には様々な活動をされている個人・組織が多く存在していることを知り、より多くの幅ひろいステークホルダーの皆さまと、「連携」し、「力を合わせていく」ことの重要性を改めて確認しました。
 いまや、地域活性化の問題にとどまらず、日本の様々な社会課題、国際紛争、地球環境などどの問題をとっても1つの組織や1つの業界の活動だけでは力が及ばないことは明らかで、すべてのステークホルダーが「連携」し「力を合わせていく」ことでようやくその入り口に立てるという状況だと思っています。そしてその推進のためには価値を共創するプログラムマネジメントが有効であり、その普及促進を目指すPMAJの存在意義はそこにあると思います。
 PMAJは、今期も他団体連携を積極的にすすめて参りますので、皆様のご参加を心よりお願いします。

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