今月のひとこと
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 沖縄からのメッセージ 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :3月号

寒緋桜
美ら(ちゅら)さくらまつり

 沖縄PMセミナー2024の翌日、出発まで時間があったので漫湖公園で開催されていた「美ら(ちゅら)さくらまつり」を覗いてみました。漫湖は那覇空港から那覇市内に向かう途中にある干潟です。満開とまではいきませんでしたが、漫湖のほとりのマングローブをバックに濃いピンク色の寒緋桜を楽しめました。
 まつりの主催者によると、茂みに覆われて真昼でも暗かった漫湖公園を憩いの場にしようと、那覇市の有志によって約20年前に公園整備の取組みが始まったとのことで、さくらまつりはその一環だそうです。確かに、手作り感満載のお祭りで、特設の野外舞台では子供たちの歌や踊りのプログラムが準備されており、家族連れや若い人たちのグループなど大勢の市民が集まっていました。公園内は普段は禁酒なのですが、この日だけは解禁ということで、編集子も地元のオリオンビールをおいしくいただきました。

 全国各地で開催してきたPMセミナーは、2020年以前は会場のみでの開催でした。地方に住むPM関係者向けに最新のPM情報を伝えるということを狙いとして東京で話題になった講演の再演(講演者に出向いてもらったり、ビデオ上演)を組込むこともありました。ところが、オンライン化してからは、全国どこからでも居ながらにして参加できるということで、各地から全国に向けて発信という色合いが濃くなってきました。PMの最新情報という点においても、全国の方が視聴されているので開催日における最新情報を準備しなければならなくなりました。

 沖縄PMセミナー2024は、沖縄PM研究部会の皆さんの努力の甲斐もあり、「地域からの発信」「最新のPM情報」のいずれをも満たすセミナーとなりました。
 基調講演として、広島修道大学の佐藤達男教授に「次世代のプログラム & プロジェクトマネジメント~PMの新潮流を沖縄の視点で考える~」をご講演いただきました。佐藤教授は、現在進行中の「P2M標準ガイドブック第4版」改訂委員の一人であり、読者の皆さんにP2Mをより深く理解していただけるようにと、日々知恵を絞って執筆に取組んでおられます。講演の中では、沖縄県の事業環境を俯瞰したうえで「計画性のプロジェクト」と「創発性のプロジェクト」という概念を紹介し、さらに「新たな価値共創のマネジメント」においてはこの2つのプロジェクトが混在すると解説されました。
  1. ○ 計画性のプロジェクト :
    明確な要求をインプットし、計画的なプロセスを経て、期待したアウトプットを得る。
  2. ○ 創発性のプロジェクト :
    曖昧な要求をインプットし、創発的なプロセスを経て、多様なアウトプットを得る。

 基調講演に続いて、沖縄ITイノベーション戦略センターの北嶋修氏、及びPMAJ法人会員から地元の3社(SCSK株式会社:川端卓氏、株式会社オーシーシー:浜田茂治氏、株式会社国際システム:鈴木智洋氏)の4名の講演者が登壇されました。
 この中で、SCSKの本社は東京なのでおやっと思われた方もいるかもしれませんが、同社と沖縄県とは30年以上の関係があります。そうした歴史を踏まえて、2019年に焼失した首里城復興に関して沖縄県との間で「首里城復興におけるDX推進に関する連携協定」を結び復興プロジェクトの一翼を担っているのです。参加された方の多くが(事前に講演概要を読んでいたはずですが)首里城復興に同社が参画し、重要な役割を担っているということに驚きを感じたのではないでしょうか。さらに、首里城復興プロジェクトが、首里城の再建だけに留まらず、首里城公園及び周辺地域における新しいまちづくりであり、オーバーツーリズム等の社会課題対策を含む「あるべき姿(to be)」を目指すプログラムであることに2度目の驚きを感じたと思います。

 沖縄は既に暑く、熱く燃えています。
以上

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