今月のひとこと
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 ビジネスパーソンに必要な力量 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :2月号

 PMAJ事務局の近くに「麻布台ヒルズ」という大規模な複合商業施設が開業しました。まだ開店していないお店も多く、本格的な営業は春が来てからということですが、新しもの好きな人々でそこそこの賑わいです。寒い季節なのでモコモコの黒っぽいコートを着る人が多く、くすんだ感じがするのはしようがないのかもしれません。ビルの間には植栽が多く、温かくなったらコートを脱ぎ棄てて華やかな服装が溢れるはずです。春が来るのが待ち遠しいです。

 書店で「新装版 外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント」(山口周:大和書房2023.6.25)という本が目につきました。プロジェクトマネジメント(PM)に関する書籍が以前に比べて少なくなっているので興味が湧いたのです。また、山口周氏にはPMシンポジウム2015や新春PMセミナー2022などでの講演もいただいていました。
 1ページ目の「はじめに」の冒頭に次のように書かれています。
いきなりですが、筆者は、今後、すべてのビジネスパーソンにはプロジェクトマネジャーとしての力量が求められるようになるだろうと考えています。
 PMがビジネススキルの一つであるといった趣旨の解説は従来からもありましたが、ここまでストレートに謳った文章は初めてです。
 この本はPMの解説本ではなく、プロジェクトの現場でPMを実践してきたプロジェクトマネジャー(プロマネ)を応援する本でもあると編集子は解釈します。PMの解説本では、プロジェクトがスタートしてからどのようにプロジェクトを運営していくかについて記述されているものが多いのですが、この本では、プロマネが仕事を進める際の姿勢や考え方が、一般の方にも分かるように書かれています。プロジェクトが始まる前や序盤に多くのページが割かれているのですが、書かれている内容はプロジェクトの現場を経験してきたプロマネであれば、思い当たることばかりです。例えば、プロジェクト目的やメンバー人選の重要さについて、プロマネ経験者であればよく分かっているはずです。ただ、実際のプロジェクトではプロマネは孤立無援、なかなか主張を聞き入れてもらえなかったという経験をお持ちの方が多いのではないでしょうか。山口氏流の論理展開を応用できればと思います。
 プロマネのリーダーシップについても言及されています。プロマネはプロジェクトの運営にあたってはメンバーやステークホルダーに対してリーダーシップを発揮しなければなりません。編集子の勝手な解釈ですが、ビジネスマンにはPMスキルが求められているという山口氏の主張はプロマネを勇気づけてくれますが、残念なことに、リーダーシップに関して日本のプロマネはもう少し努力が必要かもしれません。メンバーに対して完璧なリーダーであっても、ステークホルダーに対してはそうでもない人が多いように思います。内弁慶の人が多いのでしょうか。
以上

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