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個人で仕事を得る力 ~独立初年度の学び~

井上 多恵子 [プロフィール] :1月号

 2023年3月末、大学卒業以来務めていたソニーを退職した。それまでも副業はしていたが、完全な個人事業主になったのは、その時が初めてだった。その3か月前の2022年12月末。私は不安で一杯だった。「仕事が無くて、毎日、暇を持て余すんじゃないか。。。」「人と接することが極端に減ってしまう。。。」そんな考えが頭の中をグルグル巡っていた。以前からやっていた副業の仕事は、月に数日のみだったからだ。
 蓋をあけてみると、心配は杞憂だった。副業以外にも仕事は広がり、会社員時代よりも、充実した日々を過ごすことができている。何が寄与したのか、学びの多かった独立初年度を振り返ってみたい。

1.仕事の大半は、私を知っている方の紹介が起点
 仕事の中心となっているのが、某企業の役員の皆さんと社員の皆さんに対する英語コ―チングだ。ほぼ毎日オンラインでレッスンを提供しており、時々対面でも実施している。数十名を担当しているおかげで、寂しさを感じる事はない。それどころか、コーチングを通じて、私自身、彼らの業務や関心事項について知る機会があり、関心を持つ世界が広がった。
 この仕事は、私のソニーでの仕事ぶりを知っていた方に相談を持ち掛け、形になったものだ。「仕事ぶりを知っている」=「安心して紹介できる」ことに繋がった。そして、現在コーチングを受けている役員さんが、「コーチングを受けたポジティブな感想」を関連企業の役員さんに対し共有してくれたことにより、そこの企業からの依頼に繋がった。

2.仕事ぶりを知っている方が紹介してくれることのメリット
 通常新しい仕事を開拓する際は、企画書を作成し説明することが必要となる。それに対し先程の例では、オンラインで少しお話をしただけで、決定権を持っている先方の役員さんがゴーサインを出してくれた。担当の方と私に、進め方を一任してくれたのだ。だから、「企画書を作成しても断られるかも。。。」と不安に思うことが全くなく、労力を実際のコーチング・セッションの充実化に注ぐことができたのだ。
 全幅の信頼のもと一任されたからこそ、その期待に応えたいと取り組むことができ、役立つセッションを届けることができていると思う。

3.次の仕事に繋げるためにやっていること
 多くの労力を伴う新しい仕事の開拓と比較して、既存の仕事を継続することは容易だ。だから、今やっている仕事を継続できるように、そして、少しでも規模を拡大できるようにすることがポイントになる。仕事だと思えないぐらい楽しくやらせてもらっている前述した英語コーチングは、有難いことに、来年も継続することが決まった。規模も、少し拡大するかもしれない。
 一方で、初年度依頼を受けた仕事の中には、今後は避けたいものもある。「自分で選ぶ自由」を持つ個人事業主として、そういう場合は、その旨正直にお伝えしようと思っている。
 減らす仕事を補いつつ、新しいチャレンジを見つけるために、新しい仕事のチャンスは探している。私の場合は、「これは!」と思う方と接点を持つようにしている。もちろん、一年たっても仕事という形にならない関係性もあるが、どこかで繋がる可能性もある。10月に接点を持った方とその後昼食をご一緒し、その一か月後にはお客様をご紹介して頂いたこともある。2023年も、何名か関係性を続けたい方との出会いがあった。花開く日を楽しみにしたい。

4. 私が力を注がなくなったこと
 これまで取り組んできたものの、今年後半力を注がなくなったこともある。一つ目は、異業種交流会への参加だ。もちろん、全ての異業種交流会に意味が無いわけではない。すごい出会いもあるかもしれない。しかし、私の場合、数多く名刺交換をしても、誰と話したかわからない。仮に、その中の数名に連絡を取ってみても、相手から返事も来ないということが大半だった。単にそこに行く時間と費用に見合うリターンが無いことがほとんどだったということだ。交流会に行くということは、他の何かを諦めること。時間の有限さを感じるようになった今、どの機会を選ぶのか、吟味するようになった。
 だから、私は、講演や通訳などをしている私を見て、私が提供する価値を実際にわかってくださっている方や、誰かに紹介してもらった方と接点を持つようにしている。
 英文履歴書コンサルタントレジュメプロのウエブサイトは以前作成したが、ホームページを通じた集客も、今はほとんどしていない。ウエブを通じた集客セミナーにも参加し、知識ベースでのノウハウは得たが、元々ウエブは私の得意領域でないこともあり、活用していない。私の場合は、ウエブサイトを改善するよりは、紹介を通じた拡大が効果的だと感じている。

 2023年は、想像以上の素晴らしい年になった。2024年にもこの勢いを続けていけるよう、一つ一つの仕事に丁寧に取り組んでいきたい。

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