理事長コーナー
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「未来に備える」

PMAJ 理事長 加藤 亨 [プロフィール] :9月号

 今、世界は100年に一度の大変革時期を迎えています。
 ドッグイヤー(過去の7年間が、現在の1年間に相当する)と言われるデジタル化した社会においては、700年に一度の大変革時期ということになるのかもしれません。
 何を言っているのかと思うかもしれませんが、そんな可能性のある2020年代なのだという事を、私たちは意識しておく必要があると思っています。
 2019年に発症したCOVID-19は、2020年に緊急事態宣言が発せられる状況を引き起こし、東京オリンピック2020が1年延期となりました。
 オリンピックは2021年に「東京オリンピック2020」として無観客で開催され、様々な議論はありましたが、大きな感動を残して幕を閉じたことが、もうかなり以前の記憶となってしまいました。今、注目は、来年開催されるパリオリンピックの日本代表が誰になるか・・・・。
 その2021年に、PMシンポジウム2021が完全リモートで開催され、私は主催者講演として、「サステナブル・リカバリへの処方箋~DXを牽引するプログラムマネジメント~」というタイトルで、「パンデミックは100年に一度の大変革を引き起こす!」という歴史の教訓を、14世紀のペスト、19世紀のスペイン風邪などを引用して紹介したことを、覚えている方もいらっしゃるかもしれません。
 たとえば、イタリアの14世紀のペストでは、イタリアの人口の4分の1の人が亡くなり、農民が少なくなったことで、農民の賃金、地位が向上し、人間性の復活から、ルネサンスへとつながったと言われています。
 20世紀の初め、第一次世界大戦真っただ中で発生したスペイン風邪では、5千万人の死者を出し、結果として戦える戦士がいなくなったため第一次世界大戦を終結に導きました。2003年に中国で発生したSAASは、中国国民の外出を控えさせ、その結果中国でのネット通販の急速な拡大となり、中国のネット企業の躍進につながり、その後の通信技術の中で中国が急速に発言力を強めるきっかけになっています。
 5月8日にコロナの感染症としての認定が5類となり、日本においても外国人旅行者が急激に目立つようになり、通勤電車の混雑も戻りつつあり、マスクをする人の姿もかなり少なくなってきているという変化を感じている人も多いと思います。
 しかし、実際にテールリスク(めったに起きないことが起きること)の影響というのは、中にいる人々は変化の中にいるため、その大きさに気が付かないかもしれませんが、後から振り返ると「あの年に変わった」と言われることが多いようです。
 2023年は、まさに、100年後の人々に「あの年に、大きく変わったんだよ!」と言われる年になるのかもしれません。
 では何が大きく変わるのか、言うまでもなく「デジタル革命」が「デジタル大革命」になるという事でしょう。
 そして、そんな年だからからこそ、「未来に備える」ということを、じっくりと、地に足をつけて、見つめなおす必要があるのだと思います。
 9月7日8日に、PMシンポジウム2023が、タワーホール船堀にて開催されます。
 今年は、会場での視聴、オンラインでの視聴、そしてその後1か月間のオンデマンド視聴を組み合わせた、「ハイフレックス方式」での実施となります。この「ハイフレックス方式」というのも、言ってみればパンデミックが加速させたデジタル変革の好例なのかもしれません。
 また、我々、PMを生業とするビジネスパーソンも、このデジタル大変革が、今後のプログラム・プロジェクトマネジメントにどのように影響するかを理解しておく必要があります。そのような観点から、PMシンポジウム2023のサブテーマは
 「~次世代のプログラム・プロジェクトマネジメントについて共に考える~」
となっています。

 私も、エンジニアリング企業の中で、あるいはPMコミュニティの中で、40年以上にわたって実務者としてPMとかかわってきた観点から、主催者講演として
 「プロジェクトマネジメントの潮流とP2Mガイドブック改訂」
 というタイトルで講演させていただきます。
 少しでも皆様の活動の今後のヒントになれば幸いです。

 皆様のご参加を、心よりお待ち申し上げております。

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