理事長コーナー
先号   次号

使命達成型職業人とは?
~プログラムマネジメントの重要性~

PMAJ 理事長 加藤 亨 [プロフィール] :8月号

 先月号の理事長コーナーで、「組織のミッションを達成する高度な視点、広い視野を有する使命達成型職業人の育成に貢献する。」という記述をしたところ、「使命達成型職業人とは何ですか?」という質問を受けましたので、補足しておきたいと思います。

 P2M標準ガイドブックの初版は、2001年11月に発行されましたが、その「はじめに」の中に、
 「現代社会では、弁護士、技術士、会計士など多種類の職業人が組織の縦断的個別分野で活躍しているが、一方で、横断的テーマに責任をもって問題解決できる職業人が必要とされている。とりわけハードウェアとソフトウェアなど、複数の異なる領域で横断的融合が加速している知識情報化分野では、このような“使命達成型職業人”の活躍の場は広範囲にわたり、その人材育成と資格認定が急務となっている。」という一文があります。

 つまり、使命達成型職業人とは、PMAJの論理的基盤であるP2Mガイドブックが初版からロールモデルとしている人材像であり、「組織の横断的テーマに責任をもって問題解決できる職業人。」と規定されています。
 この、「横断的テーマに責任をもって解決する」という組織の壁を横通しするというニュアンスが私は好きで、「使命達成型職業人」という言葉を好んで使っています。
 ではなぜ、「横断的テーマ」という、「縦割り組織の壁を破って横通しする」というニュアンスが好きかと言えば、現代の日本社会の多くの課題の原因が、高度成長時代に「超高品質」を達成するために確立された専門分野縦割りという産業構造の延長線にあると感じているからです。

 今年の6月に、国際経営開発研究所 (IMD) が2023年の「世界競争力ランキング」を発表しました。世界64カ国を対象に、「企業がビジネスでどれだけ競争力を発揮しやすい環境が整っているか」を順位付けした調査と言われています。日本は、昨年より1つ順位を落とし、64カ国中35位と、過去最低の順位となりました。
 指標別の順位では、「経済状況」が26位(前年は20位)、「政府の効率性」が42位(同39位)、「ビジネスの効率性」が47位(同51位)、「インフラ」が23位(同22位)となっています。
 日本の構造の効率性の低さのすべての原因が「縦割り組織」にあるわけでも無いとは思いますが、最近のマイナンバーカードのシステム化のトラブルを見ていても、利用者目線に降りていない、専門分野の限られた目線の中で要件が決められているように思えてなりません。
 PMAJがプログラムマネジメントの必要性を強調するのも、今まさに、「横断的テーマに責任をもって解決する」使命達成型職業人の重要性が高まっていると感じているからです。

 現在、プログラムマネジメントの重要性を広めたい、という思いを込めて、「P2M普及推進部会」が活発に活動を進めています。
8月3日(木)に、P2M普及推進部会セミナー、
「DX時代に必要なマネジメントとは -プログラムマネジメント-」
~全ライフサイクルを支援し、組織の目的を具現化する実践アプローチ~ 第3回
を開催します。Peatix のサイトから、当日まで申し込み可能ですので、ぜひ、ご視聴ください。

ページトップに戻る