① リスクの特定
起こると予想されるどの事象がリスクとしてプロジェクト業務のどこに影響を与えるかをPJ特性と自社・自分の経験の有無、技術、自分を取り巻く人材や協力会社の特性等々を考慮し、過去のデータベースやベテランの意見を聞きながらその特定作業を行います。
② リスクの影響
そのリスクがどの程度の確率で起こり得るか、そして、どの程度の影響力を持つかをプロジェクト初期で特定し、契約条件、保険及びその他プロジェクト特性への対応策を示し、契約書及び関連付属書にて対処することが必要です。
③ 不確定な要件
プロジェクトでの不確定要件に対する顧客(ユーザ)の求める目指すべき姿の検討の甘さや、それに対する対応の甘さが原因となり大きなリスクを招くことが多くみられます。特に、プロジェクト開始時での詰めの甘さがリスク発生とその影響が最大となることが良くわかります。すなわち、外的リスクやプロジェクトチームの統制や影響の及ばないリスクもその範疇に入ります。プロジェクトの規模が大きく、特に海外プロジェクトの場合はリスク事象の増大はさらに多くなります。
例えば、特に以下のようなことが考えられます。
① 経済変動及び市場変動さらに新たな市場要請への進出等予期しない出来事への対応でこれまでの経験知識の及ばない範疇のリスク、すなわち不確実性への対応には契約知識への対応能力が必要となることも多いです。特に海外事案におけるカントリーリスク等への対応を含めた問題には交渉能力も必要となります。
② 為替の変動や金融関係にかかわる基礎知識を少なくともプロジェクトをリードする人たちが持っていなければならない。例えば為替変動などは提案時に為替ヘッジなども考慮したうえで常に為替レートを気にしながら対応していく必要もあります。このような予期できぬ事象に対しても契約条項での抑えとファイナンス関係での対応が必要となります。
③ 特に海外事案におけるカントリーリスクは会社としても対応が無理なケースもあり、このような場合は契約書に示される不可抗力の対応策となります。このような場合はプロマネ判断での対応が困難となりうるので法律家(弁護士)を入れた対応が必要となるでしょう。
① コストプラスフィー方式
工事の実費(コスト)を実費精算とし、これにあらかじめ合意された報酬(フィー)を加算して支払う契約。工事においては施工業者のコスト(外注費、材料費、労務費等)とフィー(報酬)をガラス張りで開示する契約方法
② レインバーサブル方式(実費償還)
受注者が顧客(ユーザ)の代行者としてプロジェクトを遂行・マネジメントし、発注者がコストを含めた責任を負うパターンで、コスト・レインバース契約と言います。 顧客(ユーザ)は、アサインメンバー1人1人に高水準での業務遂行と、説明責任を常に求めます。本契約と①は同じであるが、扱いが①と少し異なりかなり高度なマネジメントが必要となる。
①と②は要件が明確になるまでプロジェクトの全体像が見えないので見えるまでの期間は人件費やそのほかの機材、経費を顧客に期間(毎月)を決めて提案する方法です。以降はコストプラスフィー契約を中心に説明していきます。
その他に③としてランプサム方式というのがありますが、顧客要求が明確であり、顧客(ユーザ)から与えられたRFP(Request For Proposal)に従い提案書をプロジェクト計画、提案コスト、提案技術そしてプロジェクト目標を明確に示し、この提案書に従い付帯する契約書に従い責任をもってプロジェクトを完遂する方法です。
これまでは③に示す方法が最も一般的であったが、①及び②の結果で生成された顧客(ユーザ)条件や仕様そして技術仕様が明確になったプロジェクト要件をベースにランプサム方式にてプロジェクトを進めるやり方もあります。
昨今のプロジェクト環境の変化に伴い①及び②でプロジェクトを進めなければならないすなわち、顧客(ユーザ)要件設定がないままプロジェクトが進められるケースが特にIT 業界では多くなっています。これは顧客側(ユーザー側)に問題がありこれを請負側がうまく対応できないことにも原因があります。
特に、金融系のプロジェクトではプロジェクト完了後での支払いとなり、双方とも目標設定もできないままでのプロジェクト実行となり、大きなリスクを負ってのプロジェクトとなっているケースもあります。そこで考えられた方法が先にも述べた請負方法ですが、この方法は顧客側(ユーザー側)および請負側にとっても有効な方法と思います。