投稿コーナー
先号   次号

Chat GPTを使う力

井上 多恵子 [プロフィール] :6月号

 「Chat GPTを使って本を出版しませんか?」というお誘いメールをある出版社から受け取った。これまで何かを調べる際にChat GPTを使ったことはあったが、文章を書いてもらったことはない。本当に「私」の分身として、私のスタイルで文章を書いてくれるのだろうか?興味がわいたので、Chat GPTを使って文章作成をトライしてみた。

  1. ■最初の試み
    Chat GPTへの依頼文:
    オンラインジャーナルのURLを提示して、「井上多恵子が書いた原稿を読んで、2000文字で要約してください。」と依頼。
    回答:
    ウェブサイトへのアクセス機能を持っていないため原稿を読むことができないが、要約の要点についての情報があれば、回答できるとの回答。

  2. ■二回目の試み
    Chat GPTへの依頼文:
    実際の原稿をコピーして、「そこに書かれた以外で、海外の人達と仲良くなる方法について教えてください。」と依頼。
    回答:
    追加のポイントを列挙したが、私自身の文章のスタイルとは合っていなかった。

  3. ■三回目の試み
    Chat GPTへの依頼文:
    「追加のポイントについて、原稿を書いた井上多恵子のスタイルで書いてください。」と依頼
    回答:
    「私のスタイルで書いて」という依頼を誤解したのか、私の経験を参照し、私を褒める形で文章を作成。
    例えば、
    「共感と共有の力を活かすこと」の項目で、「井上多恵子さんも、自身の経験や感情を率直に伝えることで、海外の人々との共感を生み出し、心のつながりを築いています。」
    「受容と寛容の心を持つこと」の項目で、「井上多恵子さんのように、相手の多様性を認め、包容力のある姿勢を持つことが大切です。」
     私が求めていたものに合った回答ではなかったが、これまでの取り組みをこんな形で褒められ、あたかも私がロールモデルであるかのようなことを書かれると、相手がChat GPTであっても、とても嬉しい。読み手の自己肯定感を気持ちよく高める文章を書くことができるのなら、褒めるための例文をChat GPTに考えてもらうと、効果的な感じがした。
    また、キーポイントが抜けていないかのチェックには良さそうだ。今回提示してくれた追加ポイントは、前述した「共感と共有の力を活かすこと」と、「受容と寛容の心を持つこと」に加えて、「積極的な交流の場に参加すること」、「地理、伝統、食文化などについて調べ、理解を深めること」、「相手との対話を通じて新たな視点を得ること」だった。どれも、取り上げるにふさわしい大事なポイントだ。
     ちなみに、数年前の情報の勉強をもとに回答しているChat GPT と異なり、ウエブサイトを検索して情報を集めるBingであれば最近のことでも大丈夫と聞き、トライしてみた。しかし、「残念ながら、私はその原稿を読んでいないため、要約することはできません。」と、言い方はソフトではあるものの、対応できないというという回答だった。

  4. ■四回目の試み
    Chat GPTへの依頼文:
    「井上多恵子の文章を書くスタイルで、海外の人々と仲良くなる力に関する追加のポイントを井上多恵子が書いたように伝えてください。」と依頼。
    回答:
    「皆さん、こんにちは。井上多恵子です。海外の人々との関係を築くためには、さまざまなポイントに気を配る必要があります。私が長年の経験から学んだことをお伝えします。

    まず第一に、相手の文化に対する敬意を持つことが重要です。私は常に相手の文化に興味を持ち、尊重の念を持って接するよう努めています。文化は人々のアイデンティティの一部であり、それを尊重することで相手とのつながりを深めることができます。

    また、コミュニケーションの重要性も言及しておきたいと思います。言葉の壁がある場合でも、身振りや表情、さらには翻訳ツールを活用することで、相手とのコミュニケーションを円滑にすることができます。私は常に相手の表現を理解しようと努め、お互いの意思疎通を図ることを心掛けています。

     (この後、共通の関心事や趣味を通じて関係を深めることの大切さについて述べた後、)

     最後に、謙虚さと寛容さを持つことをお勧めします。異文化交流では、自身の文化や習慣が絶対的なものではないことを認識しましょう。私は常に相手の意見や習慣に対して謙虚な姿勢を持ち、自分自身を柔軟に変えることもあります。相手の文化に興味を持ち、尊重しながら交流することで、良好な関係を築くことができます。

     以上が、私が海外の人々と仲良くなる力について大切だと考えているポイントです。」

 ■Chat GPTを用いて文章を作成した所感
 私は「です」「ます」調を使わないのに、「です」「ます」調で書いてきているのには違和感を覚えたが、大事な点としてあげられたのは、私が普段考えている点でもある。その意味では、Chat GPTに下書きを書いてもらい、それを手直しすれば、使えるという感触は得ることができた。但し、よく言われているように、Chat GPTが適切に回答しやすいように依頼文を工夫することの必要性も今回よくわかった。トライ&エラーで上達していきたい。

ページトップに戻る