今月のひとこと
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 びわ湖ブルー 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :6月号

 「旅酒」というスタンプラリー企画を知ったのは、地酒を求めて入ったある地方の酒販店の店先です。ラベルに「旅酒」と書かれた300CCの小瓶が並べられていました。人のよさそうな店主の説明によると、北海道から沖縄(石垣島)までの都道府県で展開されるスタンプラリーで、そこを訪れないと飲めない日本酒が50余種類あるのだそうです。各県で1銘柄だけの「旅酒」があります(大分・沖縄・神奈川・福島は各2エリアに分かれており2銘柄)。また、参加する酒販店は各県に数カ店だけということですので、全ての銘柄のスタンプを獲得するのは、かなり難度が高いと思われます。2010年前後に始まったようですが、全国制覇を達成した方はこれまでに僅か5名とのことです。
 全国百名山登坂達成と聞くと凄いですねと賞賛されますが、この5名の皆さんはどうだったのでしょうか。

 近江商人の経営理念といわれる「三方良し『売り手によし、買い手によし、世間によし』」は、価値創造を通して目指すべきP2Mの理念ともいえます。その三方良しの聖地滋賀県彦根市では、2025年の国民体育大会(国体)開催に向けて急ピッチで準備が進められています。
 そのシンボルが陸上競技場です。かつてあった競技場を取り壊し、国体開催基準を満たした競技場に立て替えました。国立競技場とは較べるべくもないのですが15千人収容のスタジアムはなかなか立派なものです。既に建物はできており、周囲の施設整備のかたわら試合や練習に使われています。また、日中は誰でも自由に見学できるようになっています。彦根城の外堀に沿ったスポーツ公園内にあり、さまざまな場所から彦根城が望めるような設計になっています。そのトラックの色は青色で、市民の皆さんは「びわ湖ブルー」と呼んでいました。
 かつて、トラックの色はアンツーカーの赤が殆どでした。スポーツ心理学の研究に基づくと運動には青色が効果的ということで新しいトラックでは青色の採用が増えているそうです。滋賀県では、幸せを呼ぶ琵琶湖の青「びわ湖ブループロジェクト」という地域活性プロジェクトに取り組んでおり、偶然かもしれませんが、「びわ湖ブルー」という呼称がピッタリの陸上競技場です。
 国体を契機にスポーツ施設の整備に取り組む自治体においては、国体終了後の施設活用が大きな課題となります。いわゆるハコモノとして使われなくなることのないように、計画的に取り組んで欲しいと思います。100Mで日本人初の9秒台を記録した桐生祥秀選手は彦根市の出身です。この競技場を舞台に第2、第3の桐生を育てるような態勢作りが望まれます。また、サッカーJFLの「レイラック滋賀FC」は彦根市をホームタウンに追加したとのことです。こちらも、この競技場を舞台に活躍して欲しいと祈ります。
彦根城天守閣より競技場を望む
彦根城天守閣より競技場を望む
以上

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