理事長コーナー
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P2Mガイドブック

PMAJ 理事長 加藤 亨 [プロフィール] :4月号

 PMAJの論理的基盤を支えるP2Mガイドブック(プロジェクト&プログラムマネジメント標準ガイドブック)の最初の版は、2001年11月に、財団法人エンジニアリング振興協会、プロジェクトマネジメント導入開発委員会から発行されています。
 その版の最初に『P2Mの開発と発刊にあたって』という一文があり、その中の「日本版プロジェクトマネジメント」というサブタイトルの記述に次のようなものがあります。
 「P2Mは、日本版プロジェクトマネジメント標準形式として、知識情報化社会で求められる「現状打破」の意識と必要な「実践力」を育成することを念頭に作成されている。(中略)プロジェクトマネジメントの標準的解釈は、特定テーマについてチーム編成により期限を区切って着実に価値を実現する思考、知恵、手順、方法の体系である。 P2Mでは、世界標準でほとんど記述のないプログラムマネジメントの領域に初めて切り込んでいるが、その理由は現代社会の複雑な課題をプログラムに複合してこそ解決できると考えるからである。その仕組みは、「企圃づくり」「システムづくり」[利用づくり」の3種のプロジェクトを認識し、相乗効果のある多様で創造的なビジネスモデルの創成である。
 P2Mのこの先見性は、2001年に日本で開催された“International Project Management Congress Tokyo 2001”で紹介され、その後の世界のプログラム標準に大きな影響を与えたと聞いていますが、残念ながら、現在の日本の状況を見ると、この「複雑な課題をプログラムに統合して解決」を図るという思想は、十分に浸透していないと思います。
 PMAJは、プログラムマネジメントの先駆者として、この「複雑な課題をプログラムに統合して解決」を図るという思想を普及推進する責任があると考え、このほど、「P2M普及・推進部会」を新しい部会として設置し、その重要性を社会に改めてアピールすることにいたしました。
 現在、メンバーを募集中ですので、ご興味のある方はぜひご参加ください。

 また、P2M普及・推進部会の最初の企画として、
 2023年4月27日(木)19時から、PMAJの佐藤義男 副理事長による講演を無料でライブ配信します。テーマは、次の通りです。
「DX時代に必要なマネジメントとは ~プログラムマネジメント~」
 申し込みはこちらのサイトから受け付けていますので、ぜひご視聴ください。

 さて、先ほどの「日本版プロジェクトマネジメント」の続きに、「企業価値を高める『ひとづくり』ガイド 」というサブタイトルがあり、こんな記述があります。
 「プログラムマネジメントに必要な人材は、「広い視野と高い視点」と洞察力をもつミドルマネジャーとP2M全般の基礎知識を習得した個別の専門的な人材である。幸い、日本企業の強みは、探求心、関心、チームワーク、組織愛着の特性をもつ人材である。
(中略)P2Mは、このような意図に沿って 「ひとづくり」教育と専門資格認定制度を準備し、さらなるプロジェクトマネジメントの発展に貢献することを目指している。」

 PMAJの2023年の事業計画策定作業の中で、「PMAJのミッションは『使命達成型職業人』の生涯学習に貢献することではないか」と考え、PMAJニュービジョンとして、
「PMAJは、使命達成型職業人に対し生涯学習の「場」と「手段」と「指針」を提供することで、活力ある社会の醸成に貢献する。」
という方向性を打ち出したのですが、あらためて、先の「日本版プロジェクトマネジメント」の文章に触れてみて、その方向性に間違いはなかったと感じています。
 ここで、「場」とはPMコミュニティのことであり、PMシンポジウムなどのイベントの開催や、部会・SIG、地域のPM研究会などの会員活動全般を指しています。
 「手段」とは、PM資格・試験制度と、講習会を指しています。
 そして、「指針」が「P2M標準ガイドブック 」の提供であり、その普及や維持、社会環境の変化に対応した改訂を指しています。
 PMAJには、その普及・維持・改訂を行う責任があり、その責任を果たすべく、現在、P2M標準ガイドブック 第4版の改訂作業を行っています。今後、その状況についても、様々な機会を通してお知らせして行きますので、ご注目ください。

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