理事長コーナー
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新年のご挨拶

PMAJ 理事長 加藤 亨 [プロフィール] :1月号

 あけましておめでとうございます。本年も、PMAJをよろしくお願いします。
 2023年は卯(うさぎ)年。中国の『漢書 律暦志』では、卯年は、もともとは「おおう」を意味する「冒」があてられていて、草木が伸び出て地面を覆うようになった状態を表していると解釈されています。2023年が、世界が平和と笑顔で覆われる一年になることを心より祈りたいと思います。

 さて、2019年の12月に発生したCOVID-19ですが、感染状況は納まったとはいえない中でも、旅行支援の効果もあり、年末年始も重なり、街は多くの人出でにぎわっています。いよいよ、ウイズコロナの世の中が本格化していくのだと思います。
 歴史的にみると、「パンデミックの後には大変革が起こる」と言われています。おそらくこれからの10年、20年は、後から振り返るとものすごく大きな変革期だったと、言われるのかもしれません。ただ、その真っただ中にいる我々には、VUCAの時代という、将来の予測が困難な時代と映るのかもしれません。
 そんな中、私も少しでも将来のヒントを得ようと、年末年始の機会に、いろいろな本を乱読してみました。その中の一冊に「21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由」(佐宗邦威氏著、クロスメディアパブリッシング発行)がありました。その中で「イノベーションを担う3つの輪」という言葉が眼に留まりました。その意味は、「デザイン、ビジネス、エンジニアリングの3つの要素が協働することでイノベーションを生み出すことができる」という、欧米のデザインスクールの基本的な考えを表しているようです。
 なんだかP2Mの3Sモデルに似ていますね。デザインをスキームモデル(構想・企画)、ビジネスをサービスモデル(利用・運用)、エンジニアリングをシステムモデル(実行)に置き換えると、3Sモデルそのものになってしまいます。
 さらに「これは、デザインファームIDEO(米国カリフォルニア州パロアルトに本拠を置くデザインコンサルタント会社)の提唱する『イノベーションに不可欠な3つの要素(構想、実現、商売)がそろってはじめて新たな価値が作り出される』という考え方に符合しています。」(同書p24)という記述を読むと、ますますP2Mの概念が、デザイン思考やイノベーションの概念と親和性がかなり高いように思えました。先ばかり読もうとするのではなく、もう一度、プログラム・プロジェクトマネジメントの原点に立ち返って学びなおしてみることの重要性を、改めて痛感した次第です。
 だからというわけではないですが、2023年9月から10月にかけて開催する「PMシンポジウム2023」のテーマを、
 「未来に備える~次世代のプログラム・プロジェクトマネジメントについて共に考える」とすることが12月の企画会議で決定されました。
 これから起こるであろう大変革に備えるためにも、改めて、プログラム・プロジェクトマネジメントの原点を見直し、そして次の時代を構築して行くプログラム・プロジェクトマネジメントを、一緒に考えていきたいという想いから設定しています。少し先の話になりますが、PMシンポジウム2023にご期待ください。

 ところで、十二支では卯ですが十干と組み合わせると2023年の干支は「癸卯(みずのとう)」になるそうです。「癸」は「種子が計ることができるほどの大きさになり、春の間近でつぼみが花開く直前である」という意味だと言われていて、「卯」という字は、形が「門が開いている様子」を連想させることから「冬の門が開き、飛び出る」という意味があると言われています。この2つの組み合わせである癸卯には、「これまでの努力が花開き、実り始めること」という、縁起の良い意味が含まれていると言われています。
 この一年が、皆様やご家族、お勤めの企業にとって、そしてPMAJにとっても、これまでの活動の成果が実り、大きく発展する年となるように心より祈念して、新年のご挨拶とさせていただきます。  重ねてとなりますが、PMAJを今年もどうぞよろしくお願いします。

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