日本危機の認識とプログラム・マネジメントの活用
東京P2M研究会 芝 安曇 : 1月号
芝 安曇
読者の皆さん、明けましておめでとうございます。
しかし、ご承知のように世界中はコロナ禍の複雑な環境の中でご苦労様です。
私がこの問題を取り上げたのは、「タックス・イーター ―消えていく税金―」 大蔵省の官僚が「このままでは日本はつぶれるよ」と苦言を吐いているような状況を踏まえてです。
Ⅰ. タックスイーターを鳥瞰する。
- ⅰ)上図を見ると一目瞭然である。1990年までの日本人は、製造業が世界1となり、胸を張っていた。残念ながら1989年で昭和が終わってしまった。そして世は平成に変わった。
昭和は苦労人が一生懸命働いた。それを見ていた次代の平成人はおおらかに、少しづつ生活の向上を楽しむようになった。生活の向上を意識し、平和文明を楽しんだが、この表を見れば、お金が無くなるのは当然である。でも平成人は平和と文化を謳歌し始めた。
注意:ここで日本人は何をするべきかという発想がでなかった。当時の日本人は、はじめてやってきたバブルに酔いしれて、世界一を維持することを考えなかった。
第二の問題は.1995年に現れたインターネットいう怪物の持つ意味がわからなかった。
米国は世界中にインターネットの網をかぶせることを考えていた。しかし、私たち日本人は、アメリカ人が世界一の国にしたと考えていたが、本当はユダヤ人が世界一の国を作ってくれていた。ユダヤ人は収入が多くなり、華やかに金を使うと、いじめられた恨みを忘れず、アメリカのドルを支配してしまった。ユダヤ人は国を持たないという思想で切磋琢磨して世界の富の過半数を懐にしまった。まさに他の人種は“シマッタ”と思ったが祭りの後であった。そのためユダヤ民族は国をつくらない人種として天下泰平に過ごしている。
次に通信網を創りあげたのもユダヤ人である。それができたのも、真っ先に通信がつながり、ひそかに富を積み上げていた。また、最後に財布の紐を解き、厳しい集金能力で、ドルという餌は更にスピードある能力に圧倒され集められてしまう。
- 2.今の日本の内閣なら何をするのだろうか? 思うに現内閣は兵力を強化することで、覇者に協力するコトを考えている。私が考えるのは覇者の弱みと、日本の強みを計算して、モノで勝負するのではなく、コトで勝負することを求める。そこに日本人の工夫が求められる。しかしその努力に掛けると、日本の先は危ない。平成の時代は、ITだと騒がれながら、多くの経営者はアナログで逃げ回った。恥ずかしい限りであった。くれぐれも、モノを先に出すと危険性がある。コトでの交渉は危険性が薄いと思う。その意味で日本はモノという概念が先に走るので心配である。コトは優秀な人材が適宜いれば、失敗は少ない。コトの交渉は知恵者がいるとスピードがあるという利点がある。
- ⅱ)アベノミクスの納めどころなどが、これから出てくると思う。
- ⅲ)新しい発想【幸福の論理】を採用すること、ジョセフ・E ・スティグリッツ博士の本をこれから読むことにする。
【平成時代の政治活動の認識と課題への取り組み(1990年~2011年)】
テーマ 1 1990~2000年:何が問題であったか。
- ① この時期の世界情勢を説明する。最大の変化は1991年ソビエト連邦の崩壊であった。
この時米国の世界一が決定的に認識されたが、ソ連の崩壊で、軍事的な対立が少なくなり、友好性を構築できる機会ができた。世界はデフレ期に入っていった。
- Z. 1990~1995:この時期、日本の製造業は質・量ともども世界1となり、快挙であった。快挙の二つ目は、財テクの奨めであった。新進気鋭の経済学者が誘いをかけた財テクが成功し、かなりの日本人が財テクで金持ちになった。そのため、この時期に謙虚な日本人が雰囲気にのまれて、自分たちは【中流から中流の上】に駆け上がったと、多くの人々が気勢を上げたところだった。1990から1995までが日本国の最盛期であった。
- ●1995~2000:この時の日本経済はデフレで破綻に近い状態であったが、誰も気が付かず、1997年に山一証券の自己破産宣言が発せられて、日本人の中流上位という意識は一瞬にして消滅した。日本国で偉大な成果を上げてきた大蔵省は、この突然の変化に遭遇し、プライドの高さが災いし、トラウマ状態となったらしい。それ以降は金融と財務が切り離された。2001年に勇名をはせた大蔵省は名称が財務省となった。
テーマ 2 : 1995年インターネット通信網世界中に広がる
ソ連の崩壊で資本主義世界の覇者米国は世界中の国々、世界中の人々との交流をはかるため、最も安定性のある通信網を世界中に構築した。
- ⅰ)インターネットの特徴は何か:
国境がないことは、覇者である米国がすべての模範を示すことができる。そのご各国からの入手情報を解析する
- ① 各国は暗号レターのための設備が必要となる
- ② 国境不在のメリットを考えること
- ③ 国境不在のデメリットをかんがえること
上記の規則を肝に銘じて行動しないと大きな損害をうける
- ④ 日本はまだグローバリゼーション時代の世界との付き合い方の手法を持っていない
テーマ 3 : 2000年~2005年:バブル崩壊後の立て直し手法とゾンビ企業の取り扱い法
(国家政策に対する米国の在り方と日本の在り方の相違)
- A. 健全企業として合格
- B. 1部不完全部分を削除し、健全企業として合格
- C. 一部不完全部分を削除後健全企業と合併する
- D. ゾンビ企業として不合格とする
例外 : 日本企業の曖昧性を認知するゾンビ企業の認知
- ⅰ)バブル崩壊後政府は破産想定の企業の種分けをA.B.C.D.とした。Aは健全企業、B.には不健全領域があり、不健全部門の排除後、企業縮小で活躍させる。C.は不健全領域を削除し、健全部分を大会社に吸収合併させる。D.はゾンビ会社の解体である。しかしここでゼネコンを選ぶことは容易でない。不景気時代に実施するのは景気対策であり、ゼネコンは景気対策の主役である。更に日本は後にオリンピックが控えている。ここでは思い切って全社復帰させようという発想が生まれてもおかしくない。公共投資には向いている。これで次期オリンピック関連の設備構築ができ、オリンピックを放棄しなくて済む。目出度い施設の構築は人々に大きな幸福感をあたえる。このような状況が浮かび上がると人々は集まり、人々は溌溂となり、事業は成功する兆しが見えてくる。そこで公共事業への増築に人々は全力を尽くすことができた。結果的には東日本大震災の修復工事に投入されるゼネコンは傘下の現場工事管理会社を助けたが、全員を参加させるまでにはならなかった。
ここでの公共投資は財務省傘下の企業に委ねられていたが、オリンピック施設の建設には間に合わせてくれた。財務省はこの対策で200兆円規模の公共投資工事の発注を関係企業に委ねた。
- ⅱ)しかし、私は今の日本の現状は老齢者の拡大と人口減少という危機感がある。それにも関わらず、昭和期の大成功で、平成になり気が緩み、霞が関村とそれを取り巻く大企業集団の交流が国内だけにとどまり始めたことに危惧している。
理由の第1は日本の製造業のヒエラルキーの構築に問題がある。
平成に入って180度変わったことは何だろうか?グローバリゼーションに対する積極的な対策である。国内の交流を高めてもグローバリゼーションの勝者にはなれない。他方韓国サムスンはアジア各国に1名以上の人材を派遣し、当地のビジネス環境を明確につかみ、その国の収入に応じた商品の製造と風土に合わせた商品を提供している。サムスンは派遣された人材が、現地化された考えで本国の考案者へ情報を送っていた。この時期に日本人は何をベースに仕事をしていたか、何をベースに本社を動かしてきたか調べてもいなかった。これでは「昭和の日本人は平成人の行動を見て、泣くにもなけない。第2次大戦後の日本人はお先真っ暗な環境から、歯を食いしばって、小さな光を後継者に遺産として残してくれた。昭和第2世代は、その遺産を頑張って宝物にしてくれた。
- ⅲ)昭和天皇が崩御されて、平成天皇は世界行脚して、世界中に謙虚な日本人像を売ってあるいてくださった。その成果もあり、世界中は日本人好きが増えている。しかし、平成の政治家は「グローバリゼーション時代」で何が大切かを誰も模索していない。クール・ジャパンを見ていると日本人に対する好意に、私たち日本人も感動する。私は1995年以降の日本が求めるグローバリゼーションへの道筋を平成天皇が開いてくださったと思っている。この道筋をどのように広めていくかが、日本の進むべき道とおもっている。求める方向は【小さな幸福】だと思う。理由は簡単である。幸福が得られるほどの収入と、自分も、近隣の人たちと楽しく交流できる等身大の大げさなものではない。これがかなえられるのは日本人という近隣人及び遠隔人にも共通な態度で接し、双方で小さくてもいい幸福を楽しむ訓練ができた幸福に満足を見出している。お手本は橘玲著【幸福の資本論】で面白い。
- ⅳ)一方今のグローバリゼーションは巨人が激しく戦うことに執念をもやしている巨人の戦いである。日本ではアマゾンがアマゾン券を発行し、翌日到着するシステムが成功すると、日本の本屋が90%閉店した。
今の欧州は常に戦いが続いている。人間の欲が精神の楽しみより大きい人々が増えているからだ。これでは小さな戦争がグローバリゼーション信奉者の楽しみになっている。最大の楽しみが、金儲けという遊びの競争だからだ。
これに対し、日本ができることは【素晴らしく生きる】ことではないか。苦しさとの付き合いの中でも小さな楽しさを見つけ、高望みせず、生きることの中から、面白さを導き出す趣味を持つと楽しさの中で生きることができる。この問題は感動する仕方に課題があると思う。理由は簡単だ。米国という国が、ヨーロッパという狭い地域での土地争奪戦争から逃れて、未開発の大陸を発見し、苦労の末にアメリカ大陸の北半分を手中に収めた。米国は賢く、欧州諸国の植民地争いに参加しないことを国民に誓って、武力ではなく、北米のあらゆる資源開発に努力し、膨大な資産を利用し、ドルを世界通貨にまで高めた。
|