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自分のキャリアに納得する力

井上 多恵子 [プロフィール] :1月号

 国家検定 キャリアコンサルティング技能検定2級の試験を受けるために、キャリアの勉強を行った中で、特に印象に残ったサビカスの理論から、キャリアの意味付けについて考えてみたい。

■サビカスの「5つのキャリアストーリーインタビュー」
(Uchiga Life (uchiga-ilife.com)から一部引用
現在のキャリアカウンセリングの第一人者とも称されているサビカス。5つの質問に回答することで、「人生において、一本のラインのようにつながったキャリアストーリー」を語り、自分のライフテーマを明らかにすることができるという。変化が激しく、「長期的な目標を追求しつつ統一感のあるキャリアを形成することが難しい現状で、キャリアに統一感のある意味や価値観を与える解釈の枠組み」が、ライフテーマの位置づけだ。多様な人それぞれのストーリー。
自分のキャリアに意味づけし、「なぜその仕事をするのか」について、自分で納得することができるのなら、やってみる価値はある。ましてや、失業や転職、廃業など個人のキャリアの危機的な状況にこそ、ライフテーマを振り返ることが重要ならば、来年会社から卒業する私は、やってみたほうが良さそうだ。ということで、質問に回答してみた。

■キャリアに統一感のある意味や価値観を探すための5つの質問と、私の回答

1. 「こどもの時に誰に憧れ、尊敬していた人がいましたか?その人のことについて話してください」
・質問のねらい :
ロールモデルを問う質問で、もともとのその人の性格や特性を知ることができる。ロールモデルを選択することは、幼少期における最初の職業の選択。
・私の回答 :
しばらく考えてみたら、小学生の時の担当の先生が脳裏に浮かんだ。今は、コーチや研修のファシリテーターをしている私が最初に選択した職業が先生なので、過去と現在が繋がっていることになる。その生徒の成長を願う先生にプレゼントされた「やればできる」という言葉は、その後の私の人生を支える言葉となっている。私の中でチャレンジしたい、自己肯定感を高めたい、という気持ちが、当時からあったからなのだろう。

2. 「普段よく観る雑誌やテレビ番組、サイトはありますか。それはどういったところがおもしろいですか。テーマや内容を教えてください。」
・質問のねらい :
興味のある環境や活動などを特定すること。
・私の回答 :
どの媒体であれ、人の心の動きや人の成長を扱ったものに興味がある。

3. 「今、本や映画などで好きなストーリーは何ですか。そのストーリーを教えてください。」
・質問のねらい :
「今」置かれている状況を浮かび上がらせ、未来に向けての方策やヒントも与えてくれる。
・私の回答 :
映画『トップガンマーベリック』で、大ベテランが自らの信念に基づき、若者を育て信頼関係を育んでいくストーリーが好き。その大ベテランの姿に、シニアになっている私の今の状況を重ね合わせたからだと思う。シニアとして私が若者と接する際のヒントを提供してくれているのだろう。

4. 「あなたの好きな名言・格言は何ですか」
・質問のねらい :
自分自身に対してどのような戒め(失敗したりすることのないように、前もって注意を与えること)を持っているかということを知ること。
・私の回答 :
映画『いまを生きる』の中の「今を生きろ」というせりふが、好きな名言の一つだ。初めてこの映画を観た時、この質問が、直球玉のように自分に投げられた気がした。「今を生きていない」自分がいたから。コーチングも学び、Be present. (その場にいる)ことの大事さも学び、この名言を日々実践しようとしているものの、気が付くと、過去や未来のことが脳の中を占めていたりする。そういう意味では、この名言は、「今を大事に」という戒めになっている。

5. 「幼い頃の印象に残っている思い出は何ですか。3歳から6歳までに起きたことについて3つのストーリーを聴かせてください」
・質問のねらい :
今の状況や自分自身をどう捉えているのかを理解する。現在の視点から過去を語るときに、現在あるいはこれから直面する転機を乗り越えていくためのヒントになる現在のこだわりが、無意識のうちに、浮かびあがる。
・私の回答 :
兄と喧嘩しながら一緒に馬から落ち、落ちてもまだ喧嘩していた。大きなボールを兄に取られたくないと、足で押さえたまま、お菓子をもらった。水を全く恐れることなく、意気揚々と泳いでいた。これらから浮かび上がる私のこだわりは、チャレンジ、ガッツ、やりきる力のように思う。

■回答を繋ぎ合わせて見えたこと
シニアになっても、今を大事に、ガッツを持ってチャレンジし、やりきることで、自己肯定感を高めたいと思っている自分がいることに気づいた。そんな自分なら、これからも大丈夫な気がしてきた。

皆さんも、この5つの質問に回答してみると、これまでのキャリアへの納得感と、これからに向けて役立つ気づきを得ることができるかもしれません。

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