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日本の危機の認識とプロジェクト・マネジメント活用への提言 (30)

渡辺 貢成(芝 安曇) : 11月号

1. アベノミクスに対する問題点の提案
Z. アベノミクスに対する提案は多々あります。一国の総理大臣が最後のご奉仕として実施された事業です。私たちPMAJの役割は、現時点でのアベノミクスの問題点を提出する形となります。しかしアベノミクスに対する批判は種々あります。問題の捉え方によってまちまちですが、正しい内容をお伝えできません。それはアベノミクスグループと財務省の方針が正反対だからです。私たちがアベノミクスの追跡を行ってきたのは、予算と違う使い方をされると、会計の意味がなくなるからです。これが志賀 桜著「【タックス・イーター】-消えゆく税金―初版2014.12.19.―」です。この本には大蔵省管轄時代から財務省に替わったところまで含まれています。初版本で知りうる限りの実質的データから想定されるデータを使って、どこに問題があるか想定します。しかし、財務省の経理の手法と、一般人の経理の手法が違います。一般人の経理は複式法です。財務省は単式です。ここに官僚のずるさがあります。複式で算出するときは、品物の用途が変更しません。単式では用途が変わっても金額で数量がおなじなら、財務省内に金が残っていることになります。買う部品が違っても苦情が出ません。金は残っているからです。民間が操作すると罰金モノです。しかし、内容を提案するには、真実かどうか責任があります。そのため私の履歴を添付してありますので、ご一読してください。次にPMAJのエースの方々のご意見を頂きたいが、私の評価への批判や、最新データからのご意見をのべて頂ければ幸甚です。しかし無理せず落としどころのお話なども有効的かとおもわれます。
私はアベノミクスからスタートすることを考える前に、志賀 桜著【タックス・イーター】―消えていく税金―:を読んで、日本の危機に対する著者の心配事が現実味を得ていることから、追跡することを考えました。答えは著者に同感することになりました。そのため急遽私の履歴書を添付しました。

2.芝 安曇(ペンネーム) : 履歴紹介
  早稲田の応用化学を卒業し、プロジェクト・マネジメントを実施する小さな会社に入社しました。社長は東大卒の怪物で、担任教授からの後任教授依頼をけって、最新鋭の業種である「プロジェクト・マネジメント」の普及を邁進した人物です。この会社は八幡製鉄の専務から見込まれて、鉄の直接還元法の研究を主に実施しました。
私の入社は1957年で、「プロジェクト・マネジメント方式」を採用することですべての業務を実施する最新型企業でした。入社時に“化学プラントにおけるプロジェクト・マネジメントを活用する手法”なる米国の海賊版を読んで、この職業で一生食えることを確信しました。プロジェクト・マネジメントを10年間実施し、1967年日揮(株)にスカウトされ、九州石油の製油所建設、次にシェル石油ドミニカ共和国製油所建設(エンジニアリング・マネジャー)を務め、建設後、初回試運転は開始から1か月間事故なしの連続運転に成功し、この種のプラントで初の無事故の快記録だとの報告を得ました。シェルは試運転から商業運転にはいるまで、3か月かかると、3か月分の貯蔵能力を用意していました。日揮がシェル石油にプラント運転を提供したのは、1月1日からで、シェル社員による、試運転作業が行われました。我々日本人は運転パネルで拝見していました。ノートラブルです。奇跡でした。シェルからは世界一だと評価された。次に大型プラントの受注に成功しました。私の次の建設はブラジル石油公社(大型製油所の設計と現場管理)でしたが、その後世界的なオイルショックがあり、一時石油産業は原子力に勝てないとうの話があったのを機会に、1975年原子力事業本部にスカウトされ、2年間営業活動をした後、電力関係のプロジェクト部に転籍し、低レベル放射線廃棄物処理部門で低レベル放射線廃棄物保存所の建設(建設責任者)、その後高度技術開発本部を設立し、原子力部門、宇宙開発部門、大深度地下開発部門の責任者になりました。当時は陸上の土地の値上がりが大きかったため、大深度地下開発の研究を通産省直下の研究グループに参加していましたが、当時宇宙開発事業団が進めている【国際宇宙ステーション開発】を速やかに完了させるため、宇宙開発は宇宙ステーションに関連する62社の担当職員を事業団の近隣に事務所を設け、事業団からは2名の課長出向、関連会社は総勢100名程度が新事務所で働くことになり、有人宇宙システム株式会社が設立されました。
私は62社社員をプロジェクト・マネジメント手法で効率よく働くための企画部長(常務)となり業務の効率化を図りました。2年後残り3年に私は専務となり、全製品をケープ・ケネディからの宇宙研究室の建設打ち上げ日に間に合わせました。打ち上げは米国NASA長官が参加し、日本の制作品の美しさがNASA関係者から評価された。NASAに評価されたことで私の役目は終了した。

そこで久しぶりに通産省傘下のエンジニアリング振興協会の専務理事を訪問しました。理由はエンジニアリング振興協会の機関紙にエッセイを書いたところ、無味乾燥だった機関紙が好評となり、出版を企画し、2年分のエッセイを本にしました。芝 安曇著【プロジェクト・マネジャー自在氏の経験則】の発刊に当たって、推奨文を書いていただきました。その時にエンジニアリング振興協会は本年12月に日本プロジェクト・マネジメント協会を発足させることになっている。事務局長の候補を探していたが事務局長を引き受けてくれという依頼で、これに応じました。
1996年に米国のプロジェクト・マネジメント協会が1995年の米国によるグローバリゼーションの実施を期して、プロジェクト・マネジメントの活用を広げるため、知識体系ガイド(PMBOK® ガイド)第3版の宣伝と、PM資格者の拡大を記念した宣伝を行なった。日本のエンジニアリング振興協会もグローバリゼーション下での発展を祈念して、日本発のプロジェクト & プログラム・マネジメントを実施する協会を発足し、プロジェクト・マネジメントの資格者育成で日本の発展を取り上げた。エンジニアリング振興協会はそのため、千葉工大小原重信教授に主査をお願いし、見識者70名弱を集めて、【P2M標準ガイドブック】を完成させ、多くの資格者を育てた。PM協会での芝安曇の役割は事務局長5年間、シンポジウムには2,000人の集客に成功した。米国PMIのシンポジウム参加者は3,000~4,000名といわれ、日本は米国に次ぐ2位をキープしている。
芝 安曇氏の役割は事務局長の後は広報の編集長5年、標準ガイドブック改定委員長、P2M資格試験講習会の講師:1部プロジェクト・戦略マネジメント(小原重信)2部プロジェクト・マネジメント(渡邉貢成=芝安曇)3部プログラム・マネジメント(渡邉)第11章コミュニケーション・マネジメント(小石原  渡邉、)PMR資格試験審査員、P2M研究会(OWモデル研究会主査)、日本プロジェクト・マネジメント協会2014年(82歳)表彰第1回  特別賞(金賞)獲得

3.今後の展開
   アベノミクスで進めてきた計画は現在の環境では停滞されると考え、これから先のことを考える段階となったとしましょう。
 ここで皆様方のご提案を頂きたいと考えています。私の本棚から抜き出した長期展望の本を紹介します。
  1. ①世界を不幸にしたグローバリズムの正体 初版2002.5.31.
    著者 : ジョセフ・E・ステグリッツ
  2. ②これから情報・通信市場で何が起こるのか―IT市場ナビゲーター2005年度
    初版2005.1.27.   著者 : 野村総合研究所
  3. ③全予測 2030年のニッポンー世界、経済、技術はこう変わる―初版2007.2.27.
    著者 : 三菱総合研究所・産業・市場戦略研究部
  4. ④時代を見つめる目  初版2013.10.20.  著者 : 寺島 実郎
  5. ⑤冷戦大恐慌 どうなる世界経済 初版2020.11.1. 著者 : 渡邉 哲也
  6. ⑥資本主義の終焉と歴史の危機  初版2014.3.19. 著者 : 水野 和夫
  7. ⑦嘘と感情論で封殺された 5つの日本の真実 初版2021.7.31. 著者 : 高橋 洋一
  8. ⑧デフレの正体-経済は「人口の波」で動く
  9. ⑨老楽国家論 反アベノミクス的生き方のススメ 初版2013.11.20. 著者 : 浜 矩子
  10. ⑩成功ではなく、幸福について語ろう  初版2018.5.25. 著者 : 岸見 一郎

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