今月のひとこと
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 早送りで視聴 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :10月号

 真っ赤な曼殊沙華が姿を隠し始めると月が替わって、10月1日は「日本酒の日」。全国各地で様々なイベントがありました。10月頃から新酒作りが始まることや、10月が酉の月にあたることが制定理由だそうです。「酉」には醸造物を仕込む瓶の意味があり、お酒と同様に発酵食品である「醤油」の日も10月1日となっています。朝夕の空気が「涼しい」から「冷たい」に変わってくると燗酒が恋しくなってきます。9月開催のPMシンポジウム2022では、京都府伊根町の酒蔵から向井久仁子杜氏をお呼びしました。杜氏は従来にない全く新しい日本酒を開発された方ですが、お話の後半では酒粕を始めとする発酵食品と健康のお話をされました。日本酒には大量のアミノ酸が含まれているなど、酒飲みが言い訳に使いたくなる話をたくさん仕込むことができました。

 PMシンポジウムはコロナ禍に伴いオンライン開催に切換へ、今年で3回目となります。全64講演のうちの10講演をライブ講演としていますが、その録画を合わせて全講演をオンデマンドで視聴できるようにしました。コロナ禍の前は、会場に1,000人を超える参加者が溢れていましたが今年の会場参加者は60人ほどです。参加者総数は大きく変わっていませんので、1,000名を超える多くの方が自宅や職場からネット経由で参加されます。ネットで視聴することになって、少々変わった現象が起きています。
 1つは、ライブ講演を視聴せずに録画で見ようという参加者が一定割合いるということです。会場のみでの開催だった当時、お仕事の都合などで講演を受講できないという方から何とかならないかとのご要望をいただいていました。録画での視聴を可能としたことから、やっと、このご要望に応えることができましたが、リアルタイムでの視聴ではないので申し訳なく思っていました。しかしながら、リアルタイムではなく録画で見るという方が意外と多いのです。かつて1,000名を超える参加者に会場にお越しいただいていましたが、当然のことながら皆さん開催日に合わせてスケジュールを調整されていました。その調整にあたって、リアルタイム視聴の優先順序が必ず上位にあるとは限らないと改めて知ることになりました。参加にあたって判断すべきことが「講演を受講するかどうか」の二択から、「講演をいつ視聴するか」に変わってきたということです。
 もう一つは、録画の視聴の際に1.5倍とか2倍に早送りしている方がかなり高い割合でいるということです。実数を把握できてはいないのですが、訊ねるとほとんどの方が早送りで視ていると答えます。映画やドラマのネット配信やTVの録画を視聴する際、早送りで視る人が増えていると聞きます。また学校のオンライン授業で録画配信しているケースでも早送りで視聴する生徒が多いと聞きます。どうやら、世の中全体で早送り視聴が流行っている様です。仮想空間(メタバース)の中にいる講演者のアバターが早口の講演をしていて、参加者がそれを視聴しているということかもしれません。このことがどのような影響を及ぼすのか、何らかの問題を含んでいるのかどうか、注視していきたいと思います。
以上

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