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「エンタテイメント論」(174)

川勝 良昭 Yoshiaki Kawakatsu [プロフィール] :9月号

エンタテイメント論


第 2 部 エンタテイメント論の本質

7 本質
●エンタテイメント自体への回帰
 本稿では最近まで「エンタテイメント」自体を論じるのではなく、「優れた発想(アイデア)」を生み出す為の「創造理論」と其れに基づく「創造技法」、即ち「発想法」を解説する事にかなり長い期間を掛けた。特に「発想法」の実例として「デック思考(夢工学式発想法)」を紹介し、其の「在り方」と「やり方」を解説した。

デック思考(夢工学式発想法)

 此れ迄の「発想理論」と「発想法」の解説は、一見、エンタテイメント論のテーマから外れていたと思われたかもしれない。しかし実際には外れるどころか、エンタテイメント論との関係は極めて深いのである。何故ならエンタテイメントは発想を促す一方、発想を阻害する要因を排除する機能を持つからである。この事を背後で解説していたからである。

 「夢」を持ち、理性、感性、人間性を結集させた時、「優れた発想(アイデア)」が生まれる。此の「優れた発想(アイデア)」を基に、人々の理性、感性、人間性に訴え、感動を与えた時、「本物のエンタテイメント」が生まれる。逆にエンタテイメントを活用すると、上記の通り、「優れた発想(アイデア)」の生成を促進させたり、固定概念や先入観などの発想阻害要因を排除させる働きを発揮する。更にエンタテイメントの機能(楽しい事、感動する事など)を挿入、浸透、蓄積させる事で「新しい、優れた、好まれる製品やサービスを創る事が可能になる。「優れた発想(アイデア)」と「エンタテイメント」は相互補完関係にあり、相互絶対不可欠(Crucial & Critical)関係にもある。

 しかしエンタテイメントの重要性と必要性、経営・業務への応用性などを指摘する経営学者、経営コンサルタント、企業人(社長&社員)等は、筆者の知る限り、皆無である。そもそも彼らはエンタテイメントを「歌舞音曲」の部類と誤解、曲解、蔑視、無視しているからであろう。

 さて直近では「人生100年時代」の到来を紹介した。此の時代、我々は如何に対処し、如何に生きるべきかを解説した。此の「人生100年時代」の解説も、一見、エンタテイメント論のテーマから外れていたと思われたかもしれない。しかし実際には外れるどころか、エンタテイメント論との関係が極めて深い。

出典:資料:人生100年時代の生き方 川勝良昭

 人生100年時代に「やり甲斐」と「生き甲斐」を持って生きる為には「経済的充足基盤」と「精神的充足基盤」を形成する事が絶対不可欠(Crucial & Critical)であると筆者は解説した。

 特に「精神的充足基盤」の形成は、「金」を投下すれば得られるものではない。此の基盤の中で大きい比重を占めるものが趣味(道楽)を含む本人が「楽しめる物事」である。此の物事を手に入れて基盤を形成する為には、本人は相当の時間、労力、工夫、そして金を投下する事が絶対不可欠(Crucial & Critical)なのである。更により高次な精神的充足を得る為には、本人は他者を喜ばせ、感動させる「本物のエンタテイメント」を獲得し、其れを提供する事なのである。

●本物のエンタテイメントの実例紹介
 さて此処で、世界中が感動したタイのCMを紹介したい。是非、視聴して、日本の民放のCMと比較して欲しい。人々に感動を与える「本物のエンタテイメント」とは何か? 考え、感じて欲しい。

●今後の「エンタテイメント論」の方向性
 現在、議論しているエンタテイメントの「本質」は、奥が深く、まだまだ解説し尽くせない。しばし継続させたい。其の後は、エンタテイメントの「応用(活用、適用)」を解説する予定である。

 今回、エンタテイメント自体に回帰する為に、また本稿を最近、読み出した読者の為に、今一度、エンタテイメント論の原点に戻って解説したいと考えている。

 ついては次号から解説される概要は以下の通りである。
  1. ■そもそもエンタテイメントとは何か?
  2. ■何故、多くの日本人は、エンタテイメントを誤解、曲解、軽視、蔑視、無視するのか?その深層心理は何か?
  3. ■何故、多くの日本人は、エンタテイメントを無視するくせに、「おもてなし」のホリピタリティーを重視するのか? その深層心理は何か?
  4. ■何故、多くの日本の大学でホリピタリティー学は教えられているのに、エンタテイメント学やエンタテイメント論は教えられていない。そもそも研究する学者がいないからエンタテイメント学やエンタテイメント論は生まれない。筆者のエンタテイメント論が日本で唯一の存在とは寂しい。
  5. ■日本のエンタテイメント業界の現状はどうなっているのか?
    >日本のTV業界、映画業界、アニメ業界、マンガ業界、Youtube、SNS等の現状
  6. ■エンタテイメントとビジネスとの関係はどうなっているのか?
    >新商品開発、新サービス開発、新店舗開発、新事業開発、新都市開発などとの関係
  7. ■世界のエンタテイメント業界はどうなっているのか?
  8. ■日本のエンタテイメントの未来はどうなるのか?
    >エンタテイメントとメタバース、エンタテイメントとメタ & リアル融合など

出典:メタバースの世界
出典:メタバースの世界 .eideticmarketing.com/Metaverse_Insight_Contents_

●今後の「エンタテイメント論」も楽しく、気楽に読んで欲しい。
 今後のエンタテイメント論では、ゴリゴリの理論を解説し、小難しい議論を展開する事が時にはあるだろう。しかし基本はあくまで楽しく、気軽に、絵、写真を見ながら様々な事を想像しながら、読んで貰える様な内容にしたい。でなければ「エンタテイメント」にならないからだ。

出典:楽しく、想像しながら読む。
出典:楽しく、想像しながら読む。
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imagination

 此の機会に、読者から本稿の内容や今後の解説の方向などに関して質問、疑問、意見などを是非、聞かせて欲しい。

 また読者自身の仕事、生活、趣味(道楽)、遊び、そして人生がエンタテイメントと如何なる関係にあるか?などについて、此の機会に考えてみて欲しい。そして湧いてきた質問、疑問、意見などを是非、聞かせて欲しい。喜んで対応させて貰う。

出典:質問と回答 出典:意見
出典:質問と回答
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出典:意見
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 筆者に質問、疑問、意見などを出す場合は、PMAJ事務局に連絡して欲しい。また筆者と直接のコンタクト(電話、ZOOM会議、対面会談など)を望む場合は、同事務局から筆者のメールアドレスや電話番号を聞いて欲しい。
つづく

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