今月のひとこと
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 別性があります 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :7月号

 6月の後半から日本の各地で猛暑日が続いています。猛暑日とは1日の最高気温が35℃を超える日を指すそうです。平年ですと学校が夏休みになる7月後半から8月の天気ということで、6月から猛暑日が続くのは異例なのだそうです。このままだと今年の夏は酷暑になるとの報道が増えてきました。ちなみに酷暑とは文字通り酷く暑いという意味ではありますが、特段の基準はないそうです。数年前にも同様の状況がありましたが、その年は7月になって雨の日が増えて冷夏になったような気がします。今年はどうでしょうか。

 女性活躍推進法に伴い、この4月から情報公開義務付け対象企業が増えました。PMAJにおいても、複数の講演者が登壇するPMシンポジウム・PMセミナーでは、女性講演者の割合が高くなるように留意しています。そういった背景もあり、今年のPMシンポジウムでは例年以上に女性の講演者が多くなっています。講演者選定の基準を変えたわけではないので、様々な方面での一流の講演者による興味深いテーマの講演が揃っているという点は例年どおりです。参加者の皆さんにはしっかりと楽しんでいただきたいと思います。
 事務方として講演者と連絡を取らしていただいているのですが、パンフレットに表記するお名前とは別に戸籍上の名前があるという方が例年よりも多いことに気づきました。例えば、講演料を振り込むために銀行口座をお訊ねするのですが、口座名義は戸籍上のお名前にしているのだとの説明を加えられる方が多いのです。PMシンポジウムで講演を依頼する講演者はいずれも各分野における第一人者といわれるような方ばかりです。当然ながら、年齢的にも結婚されている方の割合が高くなるわけですが、女性の場合戸籍上は夫の姓としている方が多くなっています。仕事で使う姓を変えたくないので、籍を入れていないという方もいらっしゃいますが、ほとんどの方は戸籍上に別のお名前をお持ちになっています。
 講演をしていただく場合、そのような意図はないのですが、女性に銀行口座名義を訊ねることにより既婚・未婚の別を質問していることになっているのです。通称登録を可能としている銀行もありますが、講演料お支払いの際は源泉徴収もしなければならず、戸籍上のお名前を聞かざるを得ないのです。講演を業としている方ならば法人経由で講演料を受け取るという方法もありますが、PMAJが招聘する講演者の大半はプロジェクトの研究者や実践者であり、講演のための法人設立・利用とは縁がない方が多数です。事務処理の必要からとはいえ、割り切れなさを感じざるを得ません。
 女性活躍推進上の様々な課題と比べれば、大きな問題ではないと思う方が多いかもしれませんが、一つの障壁となっていることは間違いありません。各界で活躍する女性の多くが講演等をとおして世の中に発信していこうとする際、「私は既婚者で別の名前をもっている」という説明を強いられています。夫婦別性とまでいかなくても、銀行や税務署の手続きを改めさえすれば改善できる問題ではないかとも思うのですが、何とかならないものでしょうか。
以上

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