グローバルフォーラム
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「グローバルPMへの窓」(第164回)
外国語と友達となろう

グローバルPMアナリスト  田中 弘 [プロフィール] :7月号

 ロシア対ウクライナ戦争では、ウクライナ側に立った報道がほとんどであるが、ロシア連邦の状況はどうであろうか。ロシアにかなり関わりを持った筆者であるが、国民の生活の状況は正確に把握できないが、部分的な観察によると次のようなことが言える。

  1. 1) ロシア連邦政府は、ウクライナ侵攻からしばらくは、国民の反政府的言動を厳しく統制していたが、あの広大な国で、言論統制を実施し抜くことは不可能なのであろうか、最近は、ほころびが目立つ。例えば、筆者の、影響力がある友人は反戦を公言しているし、政府が明らかに排除したグローバルメディア以外のグローバル通信は生きている。実際、筆者も友人と問題なく連絡ができている。
  2. 2) 経済制裁下で、首都モスクワの庶民の生活がどの程度影響を受けているかであるが、経済的に余裕がある人たちのグローバル・ブランド志向は封印されているものの、庶民が生活物資に困る状況は生まれていない。地方に行けば、他の国でも生まれている20%程度の物価高以外は影響がないようだ。
  3. 3) ウクライナ国民と異なり、ロシア国民の海外渡航や海外移住の道はあり、開戦後50万人程度の知識人が海外に移住していると報道されているが、移住が成功するかどうかは、未知である。かつてロシア連邦崩壊後、トップ科学者が米国やヨーロッパに移住して成功しているが、今のロシアの科学者やその他プロフェショナルにグローバル価値があるかどうかは疑問である(筆者意見)。ウクライナのIT/DXエンジニアは西欧で引っ張りだこであるが、ロシア人はそこまでいってない。
  4. 4) ロシアの連邦大学・州立大学には、大変な数の研究者がおり、研究者のノルマは、国際的な科学ジャーナルに年間で2本から5本の学術論文を掲載することであるが、ロシアの科学者は一流ジャーナルから排除される傾向にあり、これに着目した信頼性の低いヨーロッパのジャーナルが論文募集のビジネス・アプローチを強めている。筆者にもお誘いのスパムメールが週に10本ほど届く。

 4月から7月までが、今年ほどヒマな年はこれまでになかった。かねてより4月から6月はワークロードが低い傾向があったが、昨年の5・6月は多忙を極めてロシア向け研修を行なっていた。一昨年、昨年と熱心に取り組んだセミナーのビデオ作りも飽きてきた。そこで考えたのは、南ヨーロッパの3か国語の言語知識とスキルを上げることで、フランス語、スペイン語に加えてポルトガル語の勉強を、インターネットを使用して行っている。
 幸い、ブラジル向けのP2M研修を今年度後半に実施する計画があり、セミナー教材をポルトガル語で作ることと、通訳を入れるものの、プロジェクトマネジメントに関しては、ブラジル人が話すことの95%くらいまで理解できるようにという目標も立てている。教材は既にできたし、ポルトガル語(正確にはブラジルのポルトガル語)の You Tubeビデオも90%程度理解できるようになった。
 ラテン語から派生したロマンス語(フランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ルーマニア語)の基本知識はかれこれ60年前の学生時代に習得して、その後もつかず離れずで、付き合ってきたという経緯があるので、このようなことができる。面白いのは、ヒアリング力は高速な外国語のナレーションにくらいつく集中力であるので、3つの言語のどれか一つでも90分くらい我慢して毎日聞いていると、3つの言語同時にヒアリング力が上がるということだ。しかし、当該国に滞在していない、業務で当該言語を使用しない場合は、ヒアリングの練習を中断するととたんにヒアリング力が落ちる。それが年齢の壁である。

 かつて外国語をものにするには、多くの日本人は、多大な授業料を払い、時間を使っていた。今は、学生も社会人もインターネットを利用して月額千円以下で、あるいはYou Tubeにいくらでもある無料の語学あるいは多数の外国語のビデオでいとも簡単に数か月で外国語を習得している。もちろん、習得するレベルは、その人の基本的な知力と外国語の知識によるが。
 筆者もインターネット学習の恩恵を最大に利用している。例えば月額950円でインタラクティブなフランス語会話講座を利用しており、また、You Tubeビデオを利用して、ヒアリング力を磨いている。AIの時代であるので、当たりを付けた外国語のビデオを2つぐらい見ると、芋づる式に当該語のビデオが表示される。

 もう一つ目標がある。来年4月頃、COVID19感染状況が落ち着いていれば、フランス、スペイン、ポルトガル、モコッコ(フランス語、スペイン語が通じる)を旅したいという計画である。当初は、エールフランスを利用してフランスと南米チリに行きたいと思っていたが、エールフランスのサンチアゴ便は廃止されていつ復活するか分からない。 🤍🤍🤍

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