理事長コーナー
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明るい未来を創るプログラムマネジメント

PMAJ 理事長 加藤 亨 [プロフィール] :6月号

 最近は、YouTubeで様々な番組が視聴できます。自分の興味に応じて内容を選べるので、結構気に入ってYouTubeサーフィン(?)を楽しんでいます。
 そんな折、竹中平蔵氏が「ショックセラピー(ショック療法)」という言葉を解説している番組に出くわしました。ショックセラピーというのは、ソビエト連邦崩壊に伴って、旧東ヨーロッパの国々が民主化、資本主義経済へ移行する際に提唱された方法のことで、「社会構造を一気に変えてしまうこと」だそうです。
 「日本は急激な変化には向かないのでショックセラピーは合わないよ。」と思うかもしれませんが、歴史的な認識としては、日本はショックセラピーによって変化に対応し、そして大きく発展してきたというのが定説のようです。
 具体的な例としては、明治維新がそうであり、戦後の民主化も、体制を一気に変えるショックセラピーであり、その結果、日本の経済は大きく成長してきた、逆に言えば、普段はなかなか変わることができないということだそうです。
 そういわれてみれば、社会保障改革など、ずっと以前から議論されている割に、ちっとも変わらないという事例はいくらでもありそうです。
 その社会保障費ですが、今、「2035年問題」というのが大問題となっているのをご存じでしょうか。
 2035年問題とは、「団塊世代が後期高齢者(75歳以上の高齢者)に突入し、ほかの世代を含めた総人口の約3分の1が高齢者になることで起こる社会問題。」ということで、具体的には、
  (1) 介護職員の人員不足
  (2) 医師、看護師、病床、病院の不足
  (3) 年金制度の崩壊
  (4) 労働力不足
 などの問題が顕在化し、日本の経済は危機に直面するという予測です。
 竹中氏は、これとは別に、2035年には世界中でガソリン車が規制で売れなくなり、日本経済を支えている自動車産業が凋落し日本の産業が非常に大きな危機に直面する、と警告を鳴らしています。
 ちなみに、明治維新は1867年、第二次世界大戦の終戦は1945年、そろそろ日本にショックセラピーが必要な時期になっているのかもしれません。
 さて、暗い話ばかりしていても「明るい未来を創る」テーマにはふさわしくないので、ちょっと話を変えて、竹中氏は別の番組で、「日本の発展の原因は、人材が居たこと、変化への対応力があったこと」とも言っています。その一つの要因に、福沢諭吉氏の著書「学問のすすめ」があったと指摘しています。この本は、当時の日本の人口が3千万である中で3百万部売れ、10人に1人に読まれたと言われています。福沢氏はその中で、日本人に対して、「民主主義国家の主権者となるべき、自覚ある市民に意識改革すること」を説いています。
 これから10年後に、日本に大きなショックセラピーが必要となると想定した時に、やはり身に着けておくべきは、一人一人が自覚ある市民として、変化を主導して行く意識ではないでしょうか。
 そのためには、個人に対しては、自分の人生のビジョンを決断し、ロードマップをデザインし、目標達成に向けて計画を決める「マイプログラムの策定」をお勧めします。
 企業や公共組織に対しては、SDGs達成に向けたビジョンを設定し、ロードマップを描き、使命達成を目指すプログラム経営の実践をお勧めします。
 PMAJは、そんな個人や企業、組織の取り組みを、日本全体に広く共有することで、日本が来るべきショックセラピーに対する構造変革を達成し、環境と調和した持続可能な発展に進めるよう、さまざまな取り組みで支援して行きたいと考えています。
 そんな事例の集大成が、9月15日、16日のPMシンポジウム2022に集結します。
 今年のテーマは、
 「明るい未来を創る」~イノベーション、SDGsを支えるプログラム & プロジェクトマネジメント~
 皆さんのご参加を心よりお待ちしております。

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