理事長コーナー
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地域の力

PMAJ 理事長 加藤 亨 [プロフィール] :3月号

 2月18日の沖縄PMセミナーに現地で参加してきました。
 沖縄PMセミナーと言うと思い出すのが、2020年の1月末の沖縄PMセミナーのことです。この時、私は、
「PMAJのプラットフォーム戦略~プロジェクトマネジメントで日本を横通しする! ~」
と題した講演を行いましたが、その帰りの飛行機の窓から見えた豪華客船が、あのダイヤモンドプリンセス号でした。その時は、これから世の中が一変することなど、夢にも思っていませんでした。

 今回の沖縄PMセミナーは、
 『沖縄発 新たなIT産業への挑戦 』 ~産学官による沖縄のIT産業の変革~
をテーマに設定し、沖縄発の産学官連携の最新情報を全国へ届けるため、すべての講演を沖縄で活動している方々にお願いしました。
 (セミナーのプログラムは、PMAJのホームページ、沖縄PMセミナー2022ご案内) をご参照ください。)
 これは、地域PMセミナーが、コロナ禍の影響で、その位置づけを大きく変えてきていることの現れです。以前の地域PMセミナーは、各地域でP2M資格を取得した方々の自己研鑽や、地域PM研究部会やPMに関わる方々の知識習得の機会として、一般的なPM関連の最新情報を提供することが中心的な位置づけでした。ところが、コロナ禍の影響でオンラインセミナーという形式に変わったことから、逆に、「地元でしかわからない、地域の最新情報を全国に紹介する。」という位置づけに変わってきています。
 ちょっと大風呂敷かもしれませんが、このような活動が、最終的に「地域の産学連携活動の最新情報を、日本全国を横通しして相互に学び、提供し合うことで、日本を変革して行くエネルギーの渦を作り出す。」ことに繋がれば良いなとも考えています。
 そんな想いが通じたのか、今回のセミナーには、80名以上の方が参加されたのですが、その多くは沖縄以外の方々でした。そして参加者アンケートの中でも、「地域ごとのセミナーは、特色があり面白いと感じました。」、「産学の連携がうまく絡み合っている事例が多く、各講義の講演内容も具体的で、参考になりました。レベルの高いセミナーだったと感じました。」など、沖縄以外の参加者の方々からご評価をいただく意見が多く見受けられ、改めて地域に密着した活動のエネルギーの強さ、人を引き付ける魅力を感じました。沖縄PMセミナーの企画から実行まで仕切っていただいた沖縄PM研究部会のスタッフの皆様の努力に敬意を表したいと思います。
 ところで、最近、都道府県知事がメディアに出る機会が増えているとは思いませんか。思うにこれは、この2年間の新型コロナウイルス感染防止対策の成り行きを見ていたメディア、国民の多くが、「なんだ、実行の主役は都道府県の知事なんだ。」ということに気が付いた結果ではないかと思っています。そして、それに気が付いた知事たちも、自らアピールすることで、世の中を動かしていけることに自信を持ち積極的に活動を開始した表れでもあると思います。
 もちろん、非常事態において国家に権力を集中できない現状に議論があることは理解していますが、その是非はともかくとして、オンラインという武器を手に入れ、行動を開始した知事達が、これからの日本を大きく変えていくかもしれません。
 その直接的な証拠というわけでは無いかもしれませんが、すでに東京一極集中の社会構造が変わり始めています。東京都が発表した1月1日時点の推計人口が1398万8129人で、昨年同期から4万8592人減少し、都の人口が通年で減少したのは、1996年以来、26年ぶりとのニュースが報道されています。もちろん、これはコロナ禍の一過性の出来事と捉えることもできますが、これから起こる未来を予言しているように思います。少なくとも、この機会をとらえて、オンラインという武器を最大限に生かし、地域の特色を踏まえたビジョンを設定し、そのロードマップを示し、それを全国に積極的にアピールし、地域の人口増と活性化を図る知事と、そうでない知事とでは、これから数年の間でさえも、その差は格段に大きくなると予想されます。
 そして、PMAJはオンラインの地域PMセミナーでの情報発信でサポートすると同時に、オンラインでの働き方の基本的な要件となるプロジェクト型業務遂行や、ジョブ型雇用などのスキル、ノウハウの提供やセミナーの実施で、その活動を支援して行きたいと考えています。
 ご興味のある方は、ぜひ、PMAJの活動にご参加ください。一緒に日本を変えていきましょう。

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