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オンラインセミナー考

PMAJ 理事長 加藤 亨 [プロフィール] :11月号

 日本では、緊急事態宣言も解除され、感染者数も急激に減ってきており、飲食店への時短要請も解除されつつあります。
 このまま、コロナ禍が終息し、一日も早く以前の生活に戻ることを願う人も多いと思います。しかしながら、一度変化した流れは簡単には元に戻らないことも多々あります。オンライン形式のセミナーや会議は、その代表的な例ではないかと感じています。
 今回は、私が昨年から今年にかけての緊急事態宣言下で、数多く実施させていただいたオンラインセミナーでの経験から、私なりのオンラインセミナーの心得をお話しして、皆さんがオンラインセミナーの視聴者となる場合でも、講師となる場合でも、あるいはオンライン会議に参加する場合でも、何らかのお役に立つかもしれないポイントを紹介したいと思います。
 オンラインセミナーで、講師を担当する場合でも、あるいは受講者として参加する場合でも、一番の課題が、「双方向性がない」「緊張する」「反応がわからず不安」といったような、精神的な課題かと思います。
 私も、昨年の夏ごろにオンラインセミナーが始まった当初は、カメラを見て話すことに違和感、緊張感を覚えましたが、慣れてくると視聴者にどのように自分が映っているかが想像できるようになり、強調する時はカメラに真正面に向いて近づき、身振りを交えて言い切り、落ち着いて聞いてもらいたいときは、ちょっと後ろに下がり、目が見えないくらいの笑顔でゆったりと話すなど、自分のペースで講義を行えるようになりました。
 実は、このように話せるようになったのは、昨年、2020年11月11日のNHKのガッテンという番組の「心をつなぐ パワー!ビデオ通話の極意 」がきっかけとなったという面もあります。かなり参考になる内容だと思いますので、可能であればNHKオンデマンドで視聴してみてください。
 この番組を見て以来、オンラインセミナーの講師を担当する時は、講義の最初にこの番組の内容を簡単に紹介するようにしています。
 まず、人間は会話をするときに聞き手が反応をしないと不安になり、落ち着いて話せなくなりますということを伝えます。
 だから私は、せめて自分だけは反応しているように見えるように、自分でうなずいたり笑ったりするようにしていることも伝えます。
 そのうえで、受講生の皆さんも普段通りに、うなずきながら聴いてください。冗談を言ったら笑ってください、とお願いしてしまいます。
 そのうえで、ガッテンの中で紹介されていた、ある大学の先生は、オンラインの講義の場合、視聴者の中に「うなづき係」というサクラの学生を入れて、ギャラリービューの画面のなかで、意識的にうなずいてもらうようにしたら、つられて受講生もうなずくようになり、全体の理解度が高まったという話しも紹介して、反応することの効果を伝えます。
 これくらい事前に話をしておくと、受講生もだんだんにうなずいてくれたり、笑ったりしてくれるようになりますので、非常に話がしやすくなります。
 これ以外にも、つかれたら伸びをしても良いし、首を回しても構いません、分からないときは首をかしげてくださいなど、こちらから対応の要求をしてしまいます。
 日本人は控えめですので、また、オンラインの場合は一人で視聴するケースが多いので何も伝えないと、じっとしたままカメラを睨んでいるようなことになりますので、せっかくのセミナーも意思疎通が難しくなってしまいます。
 「聞き手は自分の鏡」とよく言われますが、オンラインでも、やはり聞き手は自分の鏡であり、自分から正直に伝えると、相手からも正直な反応が返ってくるようです。
 なお、これはオンラインセミナーに限った話ではなく、オンラインの会議や1対1のオンラインの会話でも適用できる方法だと思いますので、ぜひ、ご活用ください。

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