理事長コーナー
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PMシンポジウム2021の役割

PMAJ 理事長 加藤 亨 [プロフィール] :8月号

 東京オリンピック2020が始まりました。開催に至るまでに様々な議論がありましたが、連日の日本選手の活躍に、緊急事態下で無観客という環境の中でも、控えめながら盛り上がり、東京オリンピック2020プロジェクトの成果物としてのオリンピック競技については、それなりに成功したということになるのではないかと感じています。
 PMのスコープマネジメント講義の中では、「プロジェクトのスコープには、成果物スコープとプロジェクトマネジメントスコープの両面があり、成果物の成功と、プロジェクトマネジメントの成功は別物です。」と語っています。
 東京オリンピック2020プロジェクトについても、単に成果物としてのオリンピック競技の評価で終わらせるのではなく、プロジェクトマネジメントとしての評価について、じっくりと検証することが重要だと思います。なぜなら、今回の東京オリンピックプロジェクトほど、プロジェクトマネジメントの教訓を多く学ぶチャンスとなるプロジェクトは無いのではないかと感じているからです。
 COVID-19がまん延する中でのリスクマネジメントはどうあるべきだったのか、一年延期となった際の変更マネジメントはどのようにすべきだったのか、ステークホルダマネジメントをどのようにすれば、より多くの国民の合意形成ができたのか、プロジェクトのゴールをどのように設定しどのようなミッションプロファイリングを行い、どのようなロードマップを描いていれば、全国民、全世界が一体となって感動を共有するオリンピックとすることができたのか、などなど。

 PMの講義の最初に、「プロジェクトマネジメントはサイエンスではなく、ベストプラクティスの集まりです。PM理論に従えば絶対成功するというものではなく、PM理論を活用すれば成功する確率を高めることができます。」という話をします。
 今回のオリンピックの例を引くまでもなく、プロジェクトマネジメントというものは、プロジェクトの実践の積み重ねの中からベストプラクティスを抽出し、それをPMコミュニティの場で共有し、PMに関わる実務家が、自らのかかわるプロジェクトの成功確率を少しでも高めていく取り組みだと考えています。
 PMAJは、やはりこの「プロジェクトの実践の積み重ねの中からベストプラクティスを抽出し、それをPMコミュニティの場で共有する。」という活動を重視し、継続して展開して行きたいと考えています。そして、その最も重要な役割を果たすのが、PMシンポジウムだと考えています。
 我々は、PMシンポジウムを通して、「実務家が本当に実務で使えるプロジェクトマネジメントのプラクティスや事例を学び、ノウハウを吸収し、新たなツールを取得し、自らの武器を強化して、プロジェクトの成功確率を高め、日本や世界の産業発展の可能性を高める。」ということに貢献して行きたい、PMAJはそのサポート役を果たし続けて行きたいと願っています。
 PMシンポジウム2021では、9月2日、3日のライブ講演をはじめとして、最大64のプロジェクトマネジメント、プログラムマネジメントの実践事例や研究事例を視聴することができます。PMコミュニティで活動している皆様に、間違いなく、多くの学びや教訓、ノウハウを提供し、皆様のかかわるプロジェクトの成功確率を少なからず高める場を提供できると確信しています。
 皆様のご参加を心からお待ちしています。

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