今月のひとこと
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 講演の録画撮り 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :8月号

 夏真っ盛りです。オリンピック会場では文字どおりの熱戦が繰り広げられています。ビクトリーブーケというのだそうですが、メダリストに授与される小振りの花束がいいですね。どの花束にもヒマワリとリンドウが入っているなと思っていたら、日本各地から5種類の花を集めて作っているのだそうです。他の3種類はトルコギキョウ(福島)、ナルコラン(福島)、ハラン(東京)です。ヒマワリは宮城、リンドウは岩手です。長期保存がきかない生花ですから、1ヶ月もの間コンスタントに開花させ続けるって大変なことだと思います。パラリンピックではヒマワリがバラ(宮城)に代わるそうですが、瑞々しい花束がメダリストに渡されることを期待します。

 昨年はコロナ禍の影響で、PMシンポジウムの講演をオンラインで視聴することになりました。録画のスキルもノウハウもないまま手探りで採録しました。1年経って再び録画撮りに臨んでいますが、機材のレベルも少し充実して手探りの状態は脱しました。
 とはいうものの、講演される方の大変さは変わりません。録画撮りに慣れていないということがあるかもしれませんが、カメラを通して視聴者に語り掛けるという行為のストレスは相当なものではないかと思います。
 まず、反応が返ってきません。例えば、言葉に詰まるとか言い間違えた時に受講者の反応が見えません。「おやっ」という表情を見て一呼吸置くとか言い直すといった講演者と受講者のコミュニケーションが成り立たないのです。録画ですので、一度止めて同じ個所を撮り直すことも可能ですが、撮り直すべきかどうかと迷いを引きずったまま先に進めてしまうことの方が多いようです。
 講演の内容を理解してもらえているかどうか分からないということもあります。これも、受講者とのコミュニケーションの問題です。受講者はうなずくことによって納得したというメッセージを発し、ポカンとした顔で分からないということを伝えます。理解されていればより深い内容を伝えようとし、分からないのであればよりかみ砕いて説明しようとするのが講演者です。
 PMシンポジウムの講演者には参加者の所属業界、職務、年齢構想といったざっくりとした情報が事前に伝えられています。その情報を基に話し方だとかをある程度まで組み立てて講演に臨むのですが、例えばPM関連の新潮流とか最新技術といった分野では参加者の顔色を見ながら解説のレベルを上下させていたように思います。録画では視聴者の顔色が見えないので、ある程度のレベル感を設定したうえで講演を組み立てていくことになりますが、手応えというものが全くないので不安のストレスは膨らみます。

 今年のPMシンポジウムでは64講演が予定されています。そのうち、54講演が事前に録画されたものです。それぞれ、大変な苦労をされて準備を進められ、ストレスと闘いながら録画撮りに臨まれています。音声や映像といった面では、昨年よりも改善されているので、より快適に視聴いただけると思います。録画に臨む講演者の苦労に思いを馳せる必要はありませんが、軽微な言い間違いなどは聞き流して講演の内容をしっかりと受け止めていただきたいと思います。アンケートも用意されているので、講演の主旨に対する意見や感想を書いていただければ、講演者・視聴者相互に有意義なシンポジウムになると期待されます。
以上

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