「第265回例会」報告
例会部会長 枝窪 肇 : 5月号
【データ】
開催日時: |
2021年3月26日(金) 19:00~20:30 |
テーマ: |
「PMシンポジウムのウェビナー化とリスクマネジメント」
~PMシンポジウム2020の舞台裏~ |
講師: |
吉野 良成 氏/日本ユニシス株式会社 製造ビジネスサービス本部 システム一部 推進室 上席スペシャリスト |
日頃、プロジェクトマネジメントの実践、研究、検証などに携わっておられる皆様、いかがお過ごしでしょうか。今回は、3月に開催された第265回例会についてレポートいたします。
【第265回例会 報告】
~はじめに~
2020年は新型コロナウィルスが世界規模で感染拡大した影響で、人々のありとあらゆる活動に多大なる影響が出て、それにより、これまで当たり前だったことが当たり前でなくなりました。
PMAJでも例年開催しているPMシンポジウムの開催に向けた活動で、例年とは全く異なる取り組みを余儀なくされたということで、そうした中、どのようにしてPMシンポジウムを開催・成功に漕ぎ着けたのかを、企画リーダー/運営リーダーを務めあげられた吉野氏よりご講演いただきました。
~講演概要~
① リスクマネジメントなくして成功なし
PMシンポジウムはPMAJが主催する、プロジェクトマネジメントに関わる国内最大級規模の有料イベントです。
PMシンポジウム実行委員会では、年間サイクルを企画フェーズと運営フェーズに分け、積み上げた知見を元に洗い出した主要なタスクを実行しながら、事前準備から当日運営、振り返りまでを行っています。
2020年度も企画フェーズまでは例年通りに進めることができましたが、その後、雲行きが怪しくなりました。しかし、PMシンポジウムはPMAJにおける年間最大の収入源でもあり、開催できなければ協会存続の危機となるかもしれないことから、「2020年度内に必ず開催する」ことを前提に、大会の開催方式やウェビナーの配信方式など具体的な方針を検討し直しました。その結果、基調講演と特別講演は当初予定の開催日時に無観客でライブ配信し、一般公演とベンダーセッションは事前録画したものを開催日から2週間の期間でオンデマンド配信することに決定しました。
開催に向けた上記基本方針は5月中旬には決定したものの、「初物リスク」「期間リスク」が満載でした。そこで、例年とは違い、実行委員会内で複数のワーキング・グループ(WG)を立ち上げて並列での準備を進めました。そして、実現に向けた様々なアプローチを、PM技法などを駆使しながら実施し、リスクを回避しながら準備を進めました。過去のほとんどのノウハウが再利用できない状況の中、デジタルツールも有効に使い、会議運営の効率化にも務めました。
こうして実施したPMシンポジウム2020では、すべての講演で参加者の満足度が80%を超え、有料視聴登録者数も目標には届かなかったものの過去最高人数を更新するなど、成功を収めることができました。
② 事前録画収録方式に関する考察
事前録画型ウェビナーの収録方式3種(Web会議ツールを用いる、PowerPointのみで録画する、OBS Studio等の動画配信ソフトウェアを用いる)の紹介と、これらの収録方式の特徴や長所・短所、使い分けのヒントを紹介しました(詳細は省略)。
③ OBS Studioを用いた録画方法とシステム構成
収録方式を検討する中で、OBS Studioを用いた録画は映像構成の自由度が極めて高く、高品質の動画を効率よく収録可能であることから、そのシステム構成と録画方法を紹介することにしました(詳細は省略)。
~筆者所感~
コロナ禍でのPMシンポジウムの企画・運営は。開催方式という根本的な部分からの見直しが必要となり、想像以上の困難が立ちはだかったことを、実際の現場で筆者も感じておりました。そんな中でもPMシンポジウム2020が成功裏に開催できたのは、今回のご講演で紹介いただいたような取り組み、特にリスクマネジメントを吉野様主導できっちりと実践できたからと実感しています。
今回の事例を通じて、リスクマネジメントの重要性を、あらためて認識することができましたこと、ならびに、例会という機会を通じてご紹介いただけたことに、心より感謝を申し上げます。
ご講演の資料は協会ホームページの「ジャーナルPMAJライブラリ」の月例会開催資料に、発表資料をアップロードしていますので個人会員の方はご参照いただければと思います。
最後になりますが、吉野様には、本年度もPMシンポジウムの企画リーダーを担う中、また、業務でお忙しい中ご講演いただき、心より感謝を申し上げます。
なお、我々と共に部会運営メンバーとなるKP(キーパーソン)を募集しています。ご興味をお持ちの方は、日本プロジェクトマネジメント協会までご連絡下さい。
以上
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