○ JAXAプロマネになる方はPMP®がいる
JAXAの組織力強化と技術力強化の改善で、課題になったのは、プロジェクトチームに配属するプロマネとプロジェクトエンジニアはどういう能力で選ぶのか、彼らのキャリアパスはどこで規定されているか、などでした。その当時、JAXAは、プロジェクト運営に必要な技術力や運営力があるかどうかの国際スタンダードでの評価基準がありませんでしたので、上司が候補者を日常業務で評価しながらその地位に必要な能力が備わったかどうかで判断してきました。そのため、体制、コミュニケーションやインテグレーションの議論をしていて 各人が自分の定義で話すので話がかみ合わないことがしばしばありました。改善検討チームが、「何らかの客観的な資格認定のようなものがないか?」 と模索していて、JAXAのマネジャークラスに提案を求めていました。私は、渡辺さんとの付き合いでPMP®を知っていたので、PMP®をとらせることを提案しました。
提案は、採択され、プロジェクトチームに配属されるプロマネとプロジェクトエンジニアになる方には、PMP®をとらせることになりました。候補者は、PMP®取得のため外部の会社のPM研修を受けることになりました。また、チーフエンジニアリング室を設置し、プロジェクトの総合技術チェックやPM/SEのレベルアップのため、プロジェクトのL&LやPM/SEのガイドブック (2) をまとめて職員に周知、NASAや欧州宇宙機関と連携してPMの国際講座への職員を派遣する業務を行うことになりました。「きぼう」日本実験棟やISS無人輸送機HTV「こうのとり」、小惑星探査機「はやぶさ2」のプロジェクトメンバーもPMP®をとっています。一方NASAは業務を行いながらPMを身に着けさせるようにしていて、PMP®の資格を持っている方は少ないです。「きぼう」開発で長く付き合った日本担当マネジャーのラルフ・グラウ氏は名刺にPMP®を印刷している珍しいマネジャーでした。
ちなみに、システムエンジニアリングの強化は、INCOSE(The International Council on Systems Engineering)を導入しています。(3)