グローバルフォーラム
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「グローバルPMへの窓」(第152回)
2021新春、世界に響くP2Mのしらべ

グローバルPMアナリスト  田中 弘 [プロフィール] :2月号

 コロナ禍で旅行、とくに外国への旅行を制限されていると、旅行・講義または講演・大学や協会関係者との交流、を三位一体で繰り返し一年を回してきた者にはいささかストレスがたまるが、You Tubeにはコロナ禍での長距離フライトの搭乗記や、ユーラシア大陸内の長距離寝台列車の旅の模様がアップされており、愛聴している。寝台車の旅では、パリ発モスクワ経由カザフスタンのアルマトイまでの8泊の寝台車の旅や、南仏ニース発モスクワ行きの列車の旅に大変興味を持った。いずれもロシア国鉄の車両で運行されている。以前ニースに行った際にロシア人が多いことにびっくりしたが、彼らは新興成金ばかりではなく、普通の中流階級の人たちも列車でニースに行くのだと知ってびっくりした。
 また、ウクライナのキエフ発ハンガリーのブダペスト行きの寝台特急ブルートレインは、2008年から13年までウクライナを訪れるたびに夜行寝台列車で移動を繰り返していたので、懐かしさがつのる。日本にもブルートレインと呼ばれる夜行寝台特急列車があったが、ブルートレインはウクライナが生みの親だ。

 先月号でも触れたが、今月、(一財)海外産業人材育成協会(AOTS)から日本プロジェクトマネジメント協会が受託した、世界の発展途上国全域に向けた3時間のオンラインP2Mセミナーを1月20日と26日の2回、実施したが大成功裏に終了した。
 AOTSにとって公式のオンライン研修は、はじめての試みであったが、1回目はアジア、ヨーロッパ、アフリカ対象で、14カ国から360名、2回目は中南米対象で5カ国50名の参加があった。  AOTSは、日本でAOTS研修を修了した方々の同窓会が発展途上国全域に76あり、この同窓会が集客を担当してくれるが、400名という数は3時間のセミナーであり、そうそう獲得できる数ではない。
 セミナーは、”The Growing Role of Project and Program Management in All Weathers”と題し、プロジェクトマネジメントとプログラムマネジメントの要諦を解説し、New Normalityに当面する世界で、P2Mがいかに有用であるかを訴求する内容で、P2Mへの興味を喚起し、来年度以降のAOTSでのレギュラー2週間研修(PPTP 研修)の集客を促進する目的で企画したが、新春早々P2Mのしらべは、途上国全域に鳴り響いたことになる。
 主催者も必勝の構えで準備を行ってこられたので、筆者自身も倍旧の準備をして臨んだおかげで、進行は円滑に進み、タイムマネジメントも時計を見る事なしに誤差1分以内で収まった。個人的には昨年10月以来4カ月で、世界50カ国1,100名にオンラインメッセージを届けたことになる。

AOTS オンラインP2Mセミナー  この研修の最後に、過去のPPTP研修履修者を中心に有志5名から素晴らしいフィードバックをオンライン登壇でお寄せいただいたが、メキシコ代表のRoberto Pulido Llano氏のメッセージの一部を、引用させていただく。
 親愛なる田中さん、本日のP2M 世界発信誠におめでとうございます。そして私からフィードバックをオンラインで差し上げる機会を光栄に思います。確かに、私たちは困難な時代を過ごしております。2020年は普通に生活できる年ではありませんでした。しかし、P2M-PPTP19研修世代を代表し、またPMAJ-P2M International Practitioner Credentialを付与された者として、将来に向けて絶えまぬ準備を行い、キャリアと私生活を豊かにすることを再度決意しておりますことをお伝えいたします。
 もちろん、2019年11月東京研修センターに集った際にはCOVID19の来襲は予測できませんでした。しかし、このニューノーマルにあって、PPTP研修が、来たるべきことに備えており、社会の進化の必然性と戦略的思考の必要性を説いていたことを鮮明に覚えております。
 このグローバルな21世紀の展開、日本でのAOTS研修の経験について、同僚や友人に、日本のP2Mモデルと、技術的な問題に非常に強い他のグローバルPMモデルを対比することは、価値実現の在り方について、月の向こう側を知ることのようなものだと言っております。特に、P2Mは実施しているポートフォリオ内のプロジェクトまたはプログラムを概念化し、短期と中期の価値を最大化する方法と長期ビジョンのメリットを理解するための豊かなコンテキストを提供してくれます。P2Mのいうところの長期、それは間違いなく新しい世代に引き継がれて実施されることでしょう。
 ちなみに、AOTS様と田中教授には、日本の生活、宗教、電車、飲食、人、街路、ビジネスを深く理解する機会を与えて戴きましたことに感謝します。これにより、東京での研修中に展開された理論的知識の伝授とチーム演習をよりよく理解することができました。東京研修センターでの2週間の研修は、いわば、私たちが知らなかったニューノーマルに備える訓練でもあったといえます。
 田中さん、PPTP19研修でできた参加者同僚のネットワークは今も生き続けております。去年はマケドニア(注:2名研修に参加)に集いPPTPの学習を振り返り、友情で盛り上がろうと計画しておりました。COVIDで実現は延期となりましたが、ニューノーマルで実現できそうな時期に再度計画したいと皆で考えております。
 最後に、PPTP2019世代を代表し、AOTS様に貴重な経験の機会を頂戴しましたことを心から感謝いたします。 ♥♥♥

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