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真のWhyを把握する力

井上 多恵子 [プロフィール] :11月号

 「Whyの皮をめくり、あなたの真のWhyを把握しない限り、周りに大きな影響力を与え続けることはできない」Brendon Burchardというアメリカ人のコーチが10月に主催したInfluencer Summit(影響力を与える人達が集うサミット)で、化粧品ブランドを立ち上げ急成長させたJamie Kern Limaが語っていた言葉だ。作った化粧品を売り込む過程で、 “No”を言われ続けたという。テレビショッピングチャネルでも“No”と言われ、「なぜダメなのか?」と聞いたところ、「本当に真実を知りたい?誰も、君のように太っていて美しくない人から化粧品を買おうと思わないからだよ。」と言われたという。
 
 その言葉を聞いた時彼女の心の中に芽生えたのは、怒りではなく、「化粧品を作りたいと思った真の理由」への確信だったと言う。それは、起業家として有名になることでも、お金持ちになることでもなかった。「彼女自身の真のWhy―化粧品を作りたいと思った理由」は、「世間が決めた『美しさの定義』によって、小さい頃からコンプレックスを感じ続けてきた自分や他の女性達が、自分自身に対して自信を持つことができるようになること」。その想いがあったからこそ、数えきれないNoを乗り越え成功できたのだと言う。ようやくつかんだテレビショッピングチャンネルでの10分間の枠。周りの人達から受けた「美人のモデルを出演させ化粧品のイメージを高めるべし」というアドバイスに違和感を覚えたJamieは、自分の直感に従い、すっぴんで、彼女のコンプレックスの原因の一つだった顔にあるあざ(注)インタビューで正確に聞き取れなかったので、実際にはあざではないかもしれません)を見せた。彼女以外にも、多様な女性達を登場させ、「化粧品を売るための常套手段」と真逆の戦術を取った。その結果、10分間の枠で商品が爆発的に売れた。
 
 Jamieの話を聞いて、思った。「私自身の真のWhyは何?」。PCから目をあげると、ホワイトボードに貼っている「私は、関わった方が影響力を高めることができるよう導く灯台」と書かれた紙が見える。某セミナーで、「自分を何かに例えて自分のミッションを語ると良い」というアドバイスを受けて、貼ったものだ。目に触れるところに掲げておくことで、モチベーションを維持できると言われて、貼った。確かに、貼ってあることで、意識は高まる。しかし、眠気と戦っている時にそれを見て、うたた寝せずに頑張れたことは残念ながら一度も無い。それは、この言葉が、「表面上のWhy」にすぎないからではないだろうか。
 
 この問いに答えるためのヒントを先日見つけた。Dr. Ivan Misnerが提唱している
”Emotionally Charged Connection you have with your work”(仕事に対して持つ感情的なつながり)だ。通常子供の頃に経験した感情的な出来事が、自分を形づくるベースになっているのだと言う。それは、金銭的なものや頭からくるものではなく、心からくるもの。Dr. Misnerは、“If you don’t know why you do what you do, you’ll never fulfill your professional dreams.”(なぜあなたがその仕事をしているのかをあなたが知らなかったら、あなたのプロフェッショナルな夢を実現することは、決してできない)とまで断言している。(出典 ;  リンクはこちら)
 
 そこで考えてみた。
 
問い: 「関わった方が影響力を高めることができるよう導びきたい」のはなぜ?
答え: 自分の強みを活かせるから。
問い: 「自分の強みを活かしたい」のはなぜ?
答え: 「自分の強みを活かすことができる」と嬉しいから。
問い: 「自分の強みを活かすことができる」となぜ、嬉しい?
答え: 自分に自信が持てるから。
問い: 「自分に自信が持てること」は私にとって、なぜ大事?
答え: 自分に自信が持てない自分が嫌だったから。
問い: 「自分に自信が持てない自分が嫌だった」のはなぜ?
答え: 何かが上手くできなくて、笑われたのが嫌だったから。
 
 たどり着いたこの答えが、私の原点。特に思い出すのは、小学6年生の時に塾に通っていた時、つるかめ算が理解できず居残りをさせられ、それでもわからず、時間切れで帰ったこと。インスタントラーメンの作り方を読んでもわからず、全然違う作り方をしようとして、兄弟に笑われたこと。それらがトラウマとなり、「自分ができず馬鹿にされる」状況をできるだけ避けるように生きてきた。冷静に考えれば、たわいのない笑いをされただけかもしれない。私は超でこぼこ人間で、他の人が普通に出来ることができない領域はたくさんあるけれど、力が他の人よりある領域も持っている。だから十分自信を持って良いはずなのに、今でも乗り越えられていない。綺麗にパワーポイントが作成できず、「なぜこれぐらいできないんですか?」と言われ、落ち込み、こう相手に対して思っていた。「もっと優しく接してくれたっていいのに。。。」と。
 
 現時点でたどり着いた私の真のWhy。それは、「どんな人でも落ちこぼれ感をいだかず、学び成長し続けることが楽しいと思える環境を提供し、自信の輪を広げていくこと」あなたも、あなたの真のWhyを探してみませんか?

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