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「リスクの回避、あるいは移転?」

プラネット株式会社 中 憲治 [プロフィール] :10月号

COVID‐19の感染は収まらない、しかし“経済を止めるな!”ではないが、プラネットでも、この9月に実に半年ぶりに集合型・対面方式の公開セミナーを再開した。
中止していた間も、受講希望者はあり、リモート型研修に変更するか、感染対策を実施して再開するか検討を進めていた。結局、リモート型の公開セミナーは克服しなければならない課題も多く、感染予防対策を確実に施したうえで再開することとした。会場となる施設の運営者側も、セミナールームの換気を100%内外気交換型に改修するなどの幾つもの対策を講じていた。全国、取分け東京都の感染者数の推移は多少減少気味で、緊急事態宣言の発令の可能性も少ないと判断し、9月から再開と決定した。
感染予防対策の中で、一番悩んだのは実は昼食の提供をどうするかであった。会食・飲食中の感染の事例が多いこともあり、従来は弁当をセミナールーム内で喫食する方式をとっていたが、この方式では、感染リスクが高いと判断し、代替案を検討した。①セミナールーム内で壁に向けて設置した机に一人のレイアウトとする、②レストランを予約し、喫食する、③昼食の提供を行わない、受講者には個別に昼食を摂ってもらう。結果的には②のレストランでの喫食とし、感染予防対策を事前に確認して行うこととした。
セミナー終了後、関係先から連絡があり、「世間では、昼食の提供をやめている企業(セミナー実施会社)も多い、昼食の提供を再考して頂きたい」との要望があった。
③の昼食の提供を行わない方法を摂れば、セミナー実施会社としては、リスク(受講者が昼食中に感染する)回避できる。しかし、受講者はどういう行動をとるであろうか?中には、感染を恐れ昼食を摂らないという、リスク回避行動をとる人もあるだろう。多くの人は、コンビニで弁当を買い、一人で喫食する(これはリスク軽減行動にあたる)、あるいはレストランでなどで喫食するなどするであろう。昼食中の感染の発生確率が、②と比較してどの程度軽減できるかは不明である。③の方式は、リスク回避対策とは言えない、セミナー実施会社にとってのリスク移転対策でしかない。言葉を変えていえば、ある意味での責任逃れといえなくもない。このような事例が多くある社会であることも事実である。
以上

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