理事長コーナー
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新たなヒントが見つかる2週間

PMAJ 理事長 加藤 亨 [プロフィール] :9月号

 今、プロジェクトマネジメントの役割が大きく変わってきていると思いませんか。
 1980~90年代において、プロジェクトマネジメントはプラントなどの大規模工事の工程管理、スケジュール管理手法として注目されていました。
 その後、90年代~2000年代にかけて、システム開発への適用が広がり、スコープ管理、成果物・構成管理へと広がり、2000年から2010年代に向けて、ステークホルダーマネジメントの重要性が高まると同時に、より広い視座、視点からプロジェクトを捉えるという観点で、プログラムマネジメントとの関連が注目されるようになってきました。
 2010年代に入り、ISO21500の国際標準化をきっかけに、PPP(ポートフォリオ~プログラム~プロジェクト)という更に広い視座、視点からとらえると同時に、アジャイルプロジェクトという形で、利用者を巻き込んで、動くソフトウェアで検証しながら小規模開発を繰り返してゆくという、ある意味、開発と運用とが一体となったプロジェクトマネジメントの進め方が注目を集めるようになっています。
 宣伝するわけではありませんが、P2Mは、もともと組織全体でプロジェクトマネジメントを適用するというコンセプトで体系化されていますので、ミッションプロファイリングという形で、ミッションからプログラム、プロジェクトへ展開してゆく視点を持ち、3Sモデルという形で、構想(スキーム)から構築(システム)し、運用(サービス)のサイクルで事業価値を創造するという、プロダクトライフサイクルをも統合したマネジメント体系を提供しています。
 最近のアジャイルプロジェクトの方向性についても、事業環境の変化が激しい中で、3Sモデルを回すサイクルが短くなり、システムとサービスの役割がオーバーラップしてきているという視点から説明することができます。
 宣伝はこのくらいにして、ここで言いたかったのは、プロジェクトマネジメントの役割が、環境変化の中で、管理手法としての役割から、組織マネジメントやプロダクトライフサイクルを統合したマネジメントの方針を示す役割へと大きく変わってきているということです。
 では、これからはどうなっていくのでしょうか。日々、大きな環境変化への対応に追われているビジネスの実務家の皆さんにとってはそこが大きな課題だと思います。
 そのヒントは、PMシンポジウム2020の中にあります。
 今回のPMシンポジウム2020は、ご案内の通り、完全オンラインという形で実施します。それは、新型コロナウイルス感染防止の対応として止むを得ない方法として決定されました。ところが、最近、主催者として、講演の録画を事前に確認する作業を進めている中で、とてつもないメリットに気が付きました。それは、「PMシンポジウム2020の録画を全て視聴すれば、現代日本の置かれている状況と、抱えている課題の全体像を俯瞰することができる。」ということです。ネタを明かせば、「プロジェクトマネジメントの役割が大きく変わってきている。」という今回のテーマも、この録画の事前確認をする中で浮かびあがってきたイメージです。
 昨年までのPMシンポジウムは、ご存じの通り、タワーホール船堀に来所いただき、参加したい講演の会場を選んで視聴する形式で行われていました。この場合、どんなに頑張っても二日間で15時間の講義を聴くことしかできませんでした。今年のPMシンポジウムは、2週間にわたり、すべての一般講演の録画を視聴することができます。
 PMAJの開催するPMシンポジウムの特徴は、なんと言っても、日本全国で行われている取り組みの最新情報、実務で適用した事例、実務家の生の体験談、現場の苦労話など、ビジネスの最新情報や現場の事例の豊富さにあります。
 今まさに、プロジェクトマネジメントの役割が大きく転換しようとしている中で、日々、大きな環境変化への対応に苦労されているプロジェクトマネジメントの実務家の皆さんにとって、このライブ2日間、録画配信2週間の講演を視聴していただくことは、「必ず皆さんのビジネスの課題解決にとっての何らかのヒントを得ることができる。」体験となると確信しています。
 PMシンポジウム2020は、9月10日、11日にライブ配信で、9月10日から25日の期間はオンデマンドによる録画配信で行われます。ぜひ、多くの講演を気ままに歩き回ってみてください。きっと、新しいヒントが見つかると思います。

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