理事長コーナー
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ソーシャルディスタンスとソーシャルリレーションシップ

PMAJ 理事長 加藤 亨 [プロフィール] :8月号

 コロナウイルスの感染防止対策として、「ソーシャルディスタンスを開ける」ことが重要だと言われています。最近では、開ける必要があるのは物理的な距離(フィジカルディスタンス)であって、ソーシャルディスタンスでは無いということで、「フィジカルディスタンスを開ける」と言い換えることになっているようです。コロナウイルスといえども、人間同士の物理的な接触を阻止することはできても、社会的な連携、あるいは精神的な連帯を阻止することはできないという人類の意思表示なのだと思います。
 「クラップ・フォー・ケアラーズ(医療従事者らへの拍手を)」という運動は英国から起こったと言われていますが、SNSなどを通じて、世界中に広がり、日本においても多くの自治体、地域、企業などでも実践されています。
 また、世界中のアーティストやアスリートが、自分たちも非常につらい状況に居るにもかかわらず、YouTubeやSNSを通じて、仲間との連携の強さを発信し、ひとびとに勇気を与えようと行動しています。
 このような運動、行動、活動を見ていると、フィジカルディスタンスは開けざるを得なくても、ソーシャルリレーションシップを強化して行くことができれば、どんな困難であれ、人類は必ず克服していけるだろうと信じることができます。

 PMAJの活動の中に、地域のPM研究会の活動があります。北海道、東北、中部、関西、中四国、九州、沖縄の各地域に、その地域のメンバーによるPM研究会があり、年に1回、各地域のメンバーが企画してPMセミナーを開催しています。
 今年の最初のPMセミナーとして、北海道PMセミナーが7月10日に開催されました。今年は、コロナウイルスの感染防止のため、全面的にオンラインでの開催に切り替えました。当初は、地域のPM研究会の継続性を確保するため、たとえ少人数でも継続していこうとの想いで進めていましたが、予想に反して、昨年約40名だった参加者が、170名を超える方々に参加をいただいての開催となりました。
 参加された方も、昨年は北海道在住・在勤の方がほとんどを占めていたのに対し、今年は、日本全国だけでなく、海外から参加された方も居たと聞いています。
 これは、もちろん、魅力あるプログラムを企画し、様々な調整をこなし、慣れないオンラインでのセミナーの運営に懸命に取り組んできたメンバーの方々の努力の成果だと思いますが、もう一つの見方として、コロナウイルスによりフィジカルディスタンスを取ることを強制される生活の中で、やはりソーシャルリレーションシップを求める方々が、非常に多かったことの現れでもあったのではないかと考えています。
 PMAJは、どんな時代にあっても、PMコミュニティの連携を促進する場を提供し続けることが重要なミッションの一つだと考えています。コロナウイルスの感染防止が求められる現状にあっても、各種の講習会やPMセミナー、定例会、ネットワーキングなどを、オンライン形式で、継続して提供し続けていく責任があると考えています。
 そして、それらの活動の集大成としてのPMシンポジウムを、9月10日、11日にライブ配信で、9月10日から25日の期間はオンデマンド配信で、提供してまいります。多くの方々のご参加を心よりお待ちしています。

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