今月のひとこと
先号   次号

 風刺ゲーム 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :7月号

 雨上がりの街を歩くと様々な匂いが漂ってきます。特に梅雨から初夏にかけては草木の葉や枝が大きく伸びる時期のせいか、独特の青臭い匂いが強いように思います。野球にサッカー、ゴルフ、今年は濃い匂いが立ち込める中での開幕となりました。無観客ということもあって違和感満載です。この違和感を「変革」が起きるときの感覚だと、思い起こせる時が来るといいなあと思います。

 昨今の報道は、感染症関連を除くとスキャンダルに満ちています。今に始まった話ではないと仰る方も多いとは思いますが、マスコミを通して伝わる評論家諸氏の発言も、非難の仕方が真っ当過ぎて外野席に身を置く側としては今一つ面白くありません。特に政治家絡みのネタは政策に対する評価を含め、もう少し興味を持てるような取り上げ方ができないものかと感じています。政治ネタを得意とする漫画家や噺家は頑張っていますが、ここ数年は見たり聞いたりして留飲を下げたという記憶もなく、今一つ脚光を浴びるケースが少ないように思います。
 不謹慎だとのお叱りを受けるかもしれませんが、スキャンダルや政策をゲームに展開したら面白くなるのではないかと思い付きました。マスコミ各社は過去に実施した世論調査のデータを大量に抱えています。スキャンダルに関する意識調査、ある政策を行ったときあるいは行おうとした時の賛否調査、政策が行われたあるいは行われなかった時の意識調査等があり、さらには関連する選挙結果や各種経済指標の変化等膨大なデータもあります。こうしたビッグデータ分析にAIを活用することも考えられます。ロールプレイングゲームやシミュレーションゲームに落とし込むことができれば結構おもしろいものが出来上がるのではないでしょうか。
 「人生ゲーム」的な要素を組み合わせて、市町村議員選挙から、都道府県・国会議員選挙、首長選挙等の当落、与党に野党、大臣や首相などと立場をアップダウンさせるのも面白さを増すと思います。「大政治家」にランクアップした直後に選挙に落選して「只の人」になり、巻き返しのドラマが展開していくということだと、政治離れが顕著な若い人も面白がって興味を持ってもらえるように思います。
 平安時代から江戸時代にかけて落首というものが、当時の政治を痛烈に風刺していたそうです。路上への立て札といった手段ですから、万人に伝えるということは難しいはずですが、長期間続いていたということはそれなりに支持する人がいたということです。現代は伝える手段も豊富で、様々な事象が大勢の人に届けられていますが、肝心なことが伝わっていないのではないかと思う時があります。ゲーム化は単なる思い付きではありますが、ストレートな伝達が溢れる現代において落首の役割を果たすモノの候補として考えてもいいのではないかと思うのです。
以上

ページトップに戻る