理事長コーナー
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世界は変わった。私たちは変われるか。

PMAJ 理事長 加藤 亨 [プロフィール] :5月号

 新型コロナウイルスの脅威が私たちの生活に大きな影響を与えています。
 最も大きな影響は、人命への影響でしょう。日本でも多くの方々が亡くなりました。全く予想もしていなかった病気によって、突然、生命を閉ざされた方々とその家族の方々の無念はいかばかりかと想うと胸が痛みます。心よりご冥福をお祈りします。また、自らの生命のリスクを承知しながらも、最前線で戦い続けている医療従事者の方々には、心よりの感謝を送りたいと思います。
 経済への影響も深刻です。多くの国で、都市が閉鎖され、経済活動が停止されました。人々の生活を支援するために、巨額な経済支援が行われていますが、損失をすべて補填することは難しく、経済的な損失は1930年代の世界恐慌を上回るともいわれています。
 われわれの生活スタイルも一変してしまいました。世界中で人の移動が制限され、自宅での待機が要請あるいは指示されています。多くの学校が休校となり、飲食店の多くも休業を余儀なくされています。東京の街並みから人影が消え、ゴールデンウイークを前にして、航空機や新幹線、旅館の予約のほとんどがキャンセルされたとの報道もあります。
 その一方で、これまで普及の進まなかった、テレワーク、Web会議、オンラインセミナーといったリモートワークを活用した業務スタイル、生活スタイルが急速に進んでいます。また、SNSやYouTubeを通した個人やグループからの情報の発信も急激に増加しています。この勢いは今後も加速し、新型コロナウイルスの脅威が治まり、経済、社会活動が再開されたとしても、さらに加速し続けるのではないかと予想します。
 私も緊急事態宣言以降、原則として在宅勤務をしていますが、その間、さまざまなWeb会議やオンラインのセミナーに参加してきました。中でも印象的だったのは、「世界は変わった。私たちは変われるか。」をテーマとした、NEW WORLD 2020というオンラインイベントでした。主催者、講師、そして主催者発表で3000人を超える参加者が、完全にオンラインで参加する形で実施されていました。改めて、オンラインでのイベントの可能性に注目せざるを得ませんでした。
 私が、今回の一連の出来事を通して感じたのは、「リモートワークのインフラはこんなに簡単に使えるようになっていたのか。」という驚きと、「なんて便利なんだ。」という感動でした。
 ちなみに、PMAJの運営会議や理事会も殆どがWeb会議形式で行われました。初めはパソコンやビデオの設定や操作に戸惑ったり、運営のルールが徹底せずにトラブルもあったりしましたが、慣れてしまえば、普通に議論もできますし、遠距離で参加しにくい方々も参加しやすく、普段よりも多くの参加者が得られるなど、会議の活性化に繋がるという効果も見出すことが出来ました。
 新型コロナウイルスについていえば、日本の感染者の数は、経済活動を維持したままでの緊急事態対応ということで、海外から警鐘も受けましたが、今の段階では爆発的な感染拡大を起こさずに持ちこたえているようにも見えます。とは言いながらも、有効な治療薬やワクチンが開発されるまでは、外出自粛要請がすぐになくなり、従来通りの経済・社会生活が戻ると考えるのは楽観的すぎるかも知れません。
 京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授は、ご自身が立ち上げたホームページの中で、「ウイルスへの対策は、有効なワクチンや治療薬が開発されるまで手を抜くことなく続ける必要があります。」として、ウイルスと共存していくことが必要であることを強調しています。
 この原稿を書いている時点では、5月6日に緊急事態宣言が解除されるかどうかも分かりませんが、間違いなく言えることは、緊急事態宣言が解除されるにせよ延期されるにせよ、当面はこれまでの感染防止対応を徹底しつつ、ウイルスとの共存を維持させていかなければいけないということだと思います。そのためには、新たに広まったリモートワーク活用の流れを積極的に取り入れ、新たなスタイルの活動を展開していく必要があると思います。まさに、「世界は変わった。私たちは変われるか。」ということが、今、問われているのかもしれません。
 PMAJとしても、この流れに対応するため、リモートワークやオンラインイベントの活用技術やノウハウを蓄積し、設備を整え、体制を構築していくことが必須だと感じています。ご興味のある方は、ぜひ、事務局までご連絡ください。

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