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日本の危機の認識とプロジェクト・マネジメント活用への提言 (2)

東京P2M研究会 渡辺 貢成: 5月号

Z. 先月号で地域開発再生協議会の動きがよくわかった。「Iさんの素敵な提案が、説明すら許されずに没になった」というところで、協議会の問題は終わらせることにした。また地域開発の問題も再検討する必要があるが、Iさんから今後の議題について提案をいただいている。
( 1 ) 大きなテーマ
1 ) 戦後から今日まで続いてきた日本的「タテ社会の構造と時代遅れ的な機能」の問題点。
(1990年以降のこの組織の活躍状況と成果を調べる)
参考資料:
中根千枝著【タテ社会と現代日本】
小熊英二著【日本社会の仕組み】雇用・教育・福祉の歴史社会学
2 ) アメリカ経営と日本経営比較:(日本企業は彼らに勝てるか?)
仲元俊二著【アメリカ経営56のパワーシステム】
3 ) 欧米企業におけるPMの役割とその効果と日本におけるPMの採用への課題
(特に米企業のグローバリゼーションへの対応とPMの活躍と日本的縦割り組織の中でのPMの活躍度)
楠木健・山口周著【「仕事ができる」とは、どういうことか】
セス・ゴーデイン著 佐藤可士和監訳【「見えてる人」になるたった1つの法則】
芝安曇著【プロジェクト・マネジャー自在氏の経験則】
4 ) 地域開発再生協議会と“アベノミクス”
笹谷秀光著【協創力が稼ぐ時代】ビジネス思考の日本創生・地方創生
北野唯我著【天才を殺す凡人】なぜ才能は殺されるのか?
岸良裕司著【優れた発想はなぜゴミ箱にすてられるのか?】
5 ) 国債の発行とその活用に対する大きな問題
(バブル崩壊後の国債発行と目的、“アベノミクス”以降の国債発行とその効果)
高橋洋一著【日本は世界一の政府資産大国】
高橋洋一著【高橋洋一、安倍政権を叱る】
6 ) グローバリゼーションの中での日本はどうなるか
(日本のグローバリゼーション戦略とは何か見えてこない)
ジャック・アタリ著【21世紀の歴史】未来の人類から見た世界
ジャック・アタリ著【2030年ジャック・アタリ未来予測】6つの要因
橘玲著【上級国民・下級国民】(やっぱり本当だった)
マッキンゼー・アンド・カンパニー責任編集【日本の未来について話そう】
                     ―日本の再生への提言―

Z. Iさんの専門はPMそのもので、他の分野の評論家ではない。彼が最も実行したいことは、日本の企業がPMをもっと活用して、再度日本が世界の最前線で活躍できることを目指すことだ。しかし、日本の組織は年功的組織のおきてが厳しく、失敗を許さない慣習がのこされている。一方PMはその責任のすべてをプロジェクト・マネジャーに任すために、長年の苦労で得た現在の地位が一瞬にして崩壊する可能性があるPM方式より、「日本のタテ社会」が残されている。この体質改善が彼の願いである。
今テーマが6つもでましたが、優先順位を決めてください。
Iさんどのテーマから話を進めるか決めてください。
I. はい、承知しました。1)から始めれば、問題点が洗い出せるので都合はいいのですが、それでは肝心の問題への到達がおくれます。
幸いなことに昨夜(4月23日)21:00からBSで「欲望の資本主義2020スピンオフ」ジャック・アタリ(ミッテラン大統領顧問、欧州復興開発銀行初代総裁「欧州を代表する知性」)大いに語るが放映されました。
この話の中で6)グローバリゼーションの中で日本はどうなるかを問題視されていますが、日本人の誰もが深堀していません。アタリの話の中に、なるほど!とうならせることが検討されています。話はそこから入ります。よろしいですか。
Z. 結構だな。彼の話を聞いてみたい。
I. 2030年ジャック・アタリ未来予測:6つの要因があります。
本日は4.日本円の暴落を説明します。
1. 中国に起因する世界経済危機
2. 過度な保護主義への傾倒
3. 欧州における自国通貨への回帰
4. 日本円の暴落
5. アメリカの金融崩壊
6. 原油価格がもたらす混乱

1 ) 今後の各国の経済政策への評価
経済政策の評価基準を決め、測定した結果トップレベルは
☆スカンジナビア諸国 1位
▲日本は残念ながら常時ブービー的存在で現在下位から4位
★日本への忠告
i. 巨額な債務と低金利は破綻をおこす。しかし人口減少を続けていながら一人当たりのGDPが増加しているため、危機に気がついていない。
ii. 女性がより仕事をしやすいようにすること(簡単にはいかないが)
幼児手当を受けられるようにすること
大規模かつ積極的な住宅計画
乳幼児を預け入れられる保育園、幼稚園増設計画
iii. 47のパラメータを測定している
人口統計、債務削減、女性の社会的地位向上フランスは20位である。
iv. 積極的家族政策が必要 (出生率の向上策)
10年間は出生率を向上するために大金を増やこと:結果が見えないから相当の覚悟が必要である。
フランスは1945年からこれらの政策を実施し、出生率2.2以上と大成功
移民の出生率はそれほど高くない。GDPの5~7%を費やすことで成功した。
教師陣が充実すれば経済も発展する。
v. 消費税より子供たちのより良い未来のために何をすべきか注目すべきである
日本でも他国と同様に特権階級家族に生まれた息子は、労働階級の息子より、人生で成功するチャンスが多い。このことからアタリは地方出身者、労働者、中小企業の起案家も皆が最高の大学で学び、良いキャリアを築ける可能性があることを国民に示す政策が重要である。
どの国もそうであるが、私たちは社会の流動性よりも、行政問題にフォーカスし過ぎである。これには様々な新しいツールが必要である。
vi. 自分の子供が自分より裕福になれないことを、どうにかしたいと思う貧しい人も、一生懸命働けば、せめて子供は自分よりいい将来が訪れるという可能性があればいい。一生懸命働いてもよい将来が訪れるチャンスが皆無ならば革命がおこる。
すべての職業にとって重要なのは社会的つながり、社会的関係です。良い社会的関係にある人は、より良い学校に進学し、より良い大学で学び、より良い会社に入り最高の仕事を手に入れるが、コネクションのない人は逆になる。

アタリ氏は「現在の日本人は目の前の2030年に日本がどうなっているかを、考えることすらしていない」とみている。

Z. ありがとう。6月号は何を話してくれるかな。
I.
1 ) 戦後から今日まで続いてきた日本的「タテ社会の構造と時代遅れ的な機能」の問題点。(1990年以降の活躍状況と成果)を説明します。

以上

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