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「エンタテイメント論」(141)

川勝 良昭 Yoshiaki Kawakatsu [プロフィール] :12月号

エンタテイメント論


第 2 部 エンタテイメント論の本質

6 創造
●筆者への個人的相談の「A-3」
 自分は大会社に勤める管理職社員である。定年は数年後である。管理者としてやるべき事以上の事をやっていると自負している。会社はいろいろな深刻な問題を抱え、「今のまま」では将来は「ヤバイ」と「冷静に認識」している。今、何を考え、如何に行動すべきか? 定年後、どうするべきか? 教えて欲しい。

 上記の「A-3」の相談者に筆者が回答した内容とそれに関連する事を以下に記述した。もし参考になる事があれば幸いである。なお筆者への個人的相談の全貌(A-1~3、B-1~3)は、前号のエンタテイメント論(140)に記載した。

出典:専門相談
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●A列車に乗る人物
 「今のまま」では自社の将来が「やばい」と冷静に認識していても、上司(社長、役員、管理者)からの命令を粛々と実行し、「管理者としてやるべき事以上の事をやっている」と自負しながら、数年後の「定年」を迎える人物が多い。

 筆者は、この様な人物が乗る列車を「人生の列車(★)」の中の「A列車」と命名した。この「人生の列車」にはA列車、B列車、C列車、D列車、E列車、X列車の6種類がある。もっと他にも乗る列車があるが、複雑になり、分かり難くなるので現時点では6種類に止めた。★この列車の内容は、順次、本稿で説明していく。

 ちなみに筆者は「ある事」で「A列車」の表現を思い付いた。筆者は東京都内の某有名ジャズ・ライブハウスでThe Kings Trio+One(ピアノ・トリオ+女性歌手)の名前で毎月出演。20数年の最長連続出演プロバンドになった。筆者はピアノを担当し、各ステージの終わりに有名なジャズ・スタンダード・ナンバーの「C Jam Blues」と併せて弾く曲が「Take The A Train(A列車で行こう)」である。これが「ある事」である。

 なおJazz演奏ではInter Play(演奏者間相互刺激演奏)が必ず行われる。この事がヒントになって「(抗)悪夢工学」での「本人の性格評価軸」が構築された。このJazz演奏はこの他にも様々な効用を筆者にもたらせてくれた(別途の機会に紹介)。

「人生の列車」のどれに乗るか?

●B列車に乗る人物
 「今のまま」では自社の将来が「やばい」と認識した時、上記と異なる行動をする人物がいる。例えば「既存事業の改善」や「新規事業の実現」を可能にする「具体的なアイデア」を自分の上司から命令されなくても、自発的、自主的、個人的に考える、又は社内の友人達や知人達と共に考える。その結果、生まれたアイデアを基に企画書を作り、上司に提案する一方、その実現のための具体的な行動を始め、あらゆる障害壁を突破して成果を出す人物がいる。この様な人物が乗る列車を「B列車」と命名した。

出典:挑戦する企業人
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 B列車に乗る人物は、自分が属する組織から課された「本来の職務」を遂行しつつ、自分が如何に忙しくても、数年後に「定年」になるとしても、一切関係なく、「本来の職務」を越えて行動し、挑戦する。この人物に一番関心と関係がある事は、自社が「ヤバイ」こと、それを救う事である。

 昔、多くの日本企業の現場で「自主管理活動(JK活動)」が行われた。それに近似する上記の様な活動を筆者は「自主創造活動(JS活動)」と仮称した。

 もしJS活動を既にしているならば、「管理者としてやるべき事以上の事」をやっていると胸を張れると云える。もし活動していないならば、今、直ちに活動を始めてはどうか。もしその活動によって成果を出せば、社長から三顧の礼を尽くして「定年延長」や「取締役就任」などを自分に懇願してくるだろう。JS活動こそ企業を救い、日本を救う活動になる。

●B列車に乗る人に勧める「デック思考」
 最近、「デック思考」に対する「ある評価」が「口コミ」で広がった。その結果、様々な業種、業態、規模の企業、設計事務所、研究機関、大学などから講演、研修、講義の依頼が以前に増して多くなった。しかもその為の出張先は、東京都内に限定されず、最近は、名古屋、大阪などに広がり、遂に北は青森、南は鹿児島から依頼が来る様になった。「口コミ」の拡散速度と拡散範囲の凄さに驚嘆した。と同時に如何に多くの人が「優れた発想」を求めているかを痛感した。

 「ある評価」とは、多くの人が知っている「デザイン思考」は、発想段階で「ブレーンストーミング」を活用する。それに「デック思考」を加えて発想すると、より多くの発想が促進され、「優れた発想」を生まれることが分かった。「デック思考」+「デザイン思考」=「発想促進強化法」と認識された事が「口コミ」の内容である。

 しかし筆者は、「デック思考」に一切拘っていない。どんな発想法でもOKである。「優れた発想」が生まれ、それを基に「新しい事業」が実現し、成功すればよいと考えている。

●B列車に乗る人に伝えたい「デック思考の体得=水泳やピアノの体得」
 泳げる様になる為やピアノを演奏できる様になる為には「水泳技法」、「ピアノ技法」を学び、頭手足体を駆使して、相当の金、時間、労力(反復練習)等を投下する事である。更に水泳競技に出場して優勝するため、ピアニストとして舞台に出演できる様になる為には、更なる訓練と各種の投下が求められ、「技法」に加え「理論」も学び、より多くの「経験」を積み重ねる事である。この様な必要性は、子供でも理解している。

出典:水泳練習と水泳競技
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出典:ピアノ
練習と
Jazz Live House
演奏風景
出典:ピアノ練習とJazz Live House演奏風景 出典:ピアノ練習とJazz Live House演奏風景

 しかし多くの人は、デック思考、デザイン思考、KJ法、NM法など所謂「発想技法」は、「頭」で理解し、「頭」を使えば発想が可能と認識している。これは全くの誤解である。デック思考に限らず、他の発想法を体得するには、水泳やピアノと同じ様に、頭手足体を駆使して、相当の金、時間、労力(反復練習)等を投下する必要がある。

 「頭」で理解して「技法」を仕事に直ぐに活用する事は、訓練もせず、いきなり水に飛び込み泳ぐこと、練習もせず、いきなりピアノの鍵盤を弾いて曲を演奏することに相当する。前者は溺れて死ぬ。後者は音楽にならない。何故、こんな「当然の理」が理解されないのか? 少なくともB列車に乗る人は理解して欲しい。

出典:会議と苦闘と発想
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●「E列車」に乗る人
 A列車に乗って来た人物は、定年後、退職金、年金、貯金の「3金」を基盤に「E列車」に乗ることが多い様だ。しかし定年後、新しい会社で勤務するとか、定年後に起業するなど様々な「列車」がある。紙面の制約から他の列車の事は次号で述べることとさせて欲しい。

 ちなみに筆者は2020年3月で80歳になる。しかし多くの企業や研究機関などから「経営や業務」の相談が数多くある。断れず、経営コンサルタントを続けている。しかし「貴方のお陰で危機を脱出できた。ありがとうございます」と感謝されると「遣り甲斐」を感じる。筆者の残り少ない人生を思うと「生き甲斐」に変質している。しかし可能ならE列車に乗りたい。

 全ての仕事から解放された「E列車」に乗っている人物に筆者から伝えたいことがある。しかし筆者の人生の生き方を押し付ける気は毛頭ない。

 それは、100歳まで生きる算段など一切考えず、健康管理を健康診断で対応し、「汗と疲労」を伴なうシンドイ運動はやらない(素人判断で運動すると命を落とす)。好きな時間に起き、好きな飲食を味わい、好きな趣味、道楽など好きな事をする。金のある人間も、金のない人間も、その「満足度」は、大して変わらない研究結果を認識し、上記の「3金」の範囲で、明るく、楽しく、生きることを薦めたい。何故なら、人は年齢を問わず、いつ病死したり、急死するか分からないからだ。

 高齢者は、病死、急死の可能性が高い。急死でない限り、高齢者の多くの人は、自宅か、病院のベッドに横たわり、窓の外に目をやり、一人で考える瞬間が訪れる。

 その瞬間、「俺の人生、私の人生、最後の人生は、好きなことをやって満足であった」、「やり残したことはない」と自分自身に言える自分でありたい。

 人生の価値を死の瞬間まで維持して有意義に、楽しく乗り切る人生最後の「E列車」こそ、「人生の列車」の中で最も価値のある列車と云える。

出典:人生の価値
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つづく

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